司法書士と聞いて、登記業務をイメージする方は少なからずいらっしゃるかもしれませんが、裁判業務をイメージする方は少ないかもしれません。
従来、法廷で代理人として訴訟活動を行うことができるのは弁護士に限られていましたが、司法書士法の改正によって、司法書士にも簡易裁判所での訴訟代理権が認められております。
ただし、代理権の認められる範囲は、簡易裁判所で扱う事件に限られ、簡易裁判所で扱う事件は、訴訟で求める金額が140万円の以内の事件に限ると決められています。
また、地方裁判所以上の事件については、従来どおり訴状や答弁書、準備書面等の裁判所へ提出する書類の作成が司法書士の業務として司法書士法に定められています。
この場合は、140万円以内という制限はありません。
例えば、ある人にお金を貸したが、その人がなかなかお金を返してくれないといった場合、一般的には、訴訟を提起するなど、裁判所を利用する対応方法を想定します。
しかし、訴訟手続きは、時間も手間も費用もかかるというデメリットがあります。
そこで、まずは内容証明郵便を活用してみることをお勧めします。
内容証明郵便は、ただの手紙に過ぎませんので、強制的に相手にお金を払わせるといったことはできませんが、内容証明郵便を送っただけで、相手がすんなりお金を返してくれたというケースも中にはあります。
内容証明郵便をうまく活用すれば、時間も費用もかけずに、一定の成果を期待することができます。
ただし、相手がお金は返さないという態度を頑強に取った場合は、それ以上の効果は期待できませんので、訴訟を提起するなどの方法を検討せざるを得ないでしょう。
裁判所から訴状が届いた場合、それをそのまま放置しておくことは、思わぬ不利益を被ることがあります。
たとえ、内容に身に覚えのない訴状であったとしても、裁判所に答弁書を提出せず、かつ、呼出しを受けた日時に裁判所へ出頭しなかった場合には、訴状の内容のとおりに判決が下されてしまう可能性があります。
さらに、判決が下されてもなお放置した場合には、給与などの財産が差し押さえられてしまうことになりかねません。したがって、裁判所から訴状が届いた場合には、ご自身で裁判所に出向いていただくか、法律の専門家に相談するなどして、適切に対応をしていく必要があります。
以上のように、裁判所から届いた書類を放置するという対応はご法度なのですが、一方で、裁判所からの郵便であると誤信させるような名称を用いた悪質な架空請求を行っている業者もありますので、このような場合には、相手業者に対して一切連絡等を取らないという対応が必要になります。裁判所からの書類であると思われる場合でも、怪しいと思ったら裁判所に出向いて相談をしてみるか、法律の専門家に相談されるのが良いでしょう。
お金を貸したが返してもらえない、交通事故に遭ったが示談交渉が難航している、アパートを退去したが大家さんが敷金を返してくれないなど、日常生活では様々なトラブルに巻き込まれる可能性があります。そのようなトラブルに見舞われた場合、事案に応じて、内容証明郵便を送付するとか、相手方と連絡が取れるのであれば示談交渉を行うとか、連絡が取れない場合や交渉がまとまらない場合などは裁判所に訴訟を提起するといった方法で、法律に従った妥当な解決方法を探っていくことになります。
しかし、そういった場面は日常生活で頻繁に起こるものではありません。突然そのような場面に身を置かれて、どうやって対処していけばいいのかわからないという方もいらっしゃるかと思います。そのため、そういった状況に身を置かれた場合には、まずは法律の専門家に相談されることをお勧めします。
裁判で勝訴判決を得た場合や、公正証書を作成している場合でも、相手方が任意に支払いをしてくれないというケースもあります。そのような場合、任意の支払いが見込めない以上、国家機関の力を借りて強制的に取立てを行うという手続きが必要になってきます。それが、強制執行という手続きになります。
手続きの内容をごく簡単に説明しますと、まず、裁判所に対して申立てを行います。その際は、判決や公正証書も裁判所に提出することになります。すると、裁判所から相手方の財産(不動産や預金・給与等)を差し押さえるという命令が発令されますので、相手方はその財産を自由に処分することができなくなります。そして、裁判所がその財産を強制的に処分してお金に換えることによって、そのお金を申立人や他の債権者に配当していくことになります。
強制執行の申立てを行う際に注意すべきことは、相手方がどのような財産を有しているかを事前に調べることを忘れないということです。なぜなら、強制執行により差し押さえの対象となる財産は、あくまでも相手方の所有している財産に限られますので、めぼしい財産を有しない者に対して強制執行を行っても、差し押さえることができる財産が無いという結果に終わることもあるからです。
その場合には、お金を払ってもらえないだけでなく、結局、費用倒れになってしまう可能性が高いといえます。