家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件をみると,年々増加傾向にあります。そのうち,遺産の価額が1000万円以下のものが約32%,1000万円~5000万円のものが43%と,実に4分の3が,いわゆる「中流家庭」で占められています。つまり,財産の額にかかわらず,資産構成や家族構成によっては,事前に相続対策をしておかないと,スムーズに相続手続を進めることができないだけでなく,相続を契機に骨肉の争いとなり,家族関係が崩壊してしまうおそれがあるのです。
相続とは,亡くなった方(被相続人)の一切の権利や義務を,法律で決められた一定の範囲の親族(相続人)が包括的に引き継ぐことをいいます。
被相続人が不動産をお持ちだった場合,その不動産も相続人が引き継ぐことになりますが,不動産の権利関係は登記により公示されているため,登記記録上の所有者も被相続人から相続人へ変更することになります。この手続きを相続登記といいます。
被相続人が亡くなっても,相続人は必ず相続しなければならないわけではありません。例えば,被相続人が財産がないのに多額の借金をしていた場合,それを必ず相続人が相続しなければならないとすると,相続人に酷だからです。したがって,被相続人が亡くなったとき,相続人には,以下の3つの選択肢があります。
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