スタッフ日記

借金問題でお困りの方へ ~任意整理の手続について(その4)~

  2022/03/20    ブログ

こんにちは,司法書士の髙井和馬です。

前回は,任意整理の手続の流れについて,ご説明させて頂きました。

今回は,前回の記事でも触れましたが,任意整理の費用についてご説明させて頂きます。

 

当事務所では,任意整理の報酬を,1件あたり22,000円(税込み)に設定しております。

 

任意整理の報酬のことで問い合わせを受けることもあり,1件あたり22,000円(税込み)という報酬設定については,「22,000円以外に報酬がかかることはないのか」「他の事務所と比べて報酬が安いのではないか」と質問を受けることもあります。

 

しかし,任意整理の手続の報酬は,1件あたり22,000円(税込み)以外にかかりませんし,安すぎるということもないと考えています。現に,法テラスを利用した場合も同じくらいの報酬になります。

 

現在,報酬の設定は各事務所ごとに自由に設定して良く,テレビCMなどに広告をかけている事務所は費用を安く設定すると利益が残りませんので,高めに設定する必要があります。

当事務所では,地元札幌に根ざして借金問題に力を入れて取り組んでおり,全国展開をするための広告費がかかっていないことから,そもそも費用を他の事務所と比べると安く設定をすることができます。

 

また,当事務所では,5人の司法書士が在籍しており,面談やその後の打ち合わせ,債権者との分割和解の交渉や過払い金の回収等,全て担当の司法書士が責任をもって行います。

 

そして,任意整理の報酬を1件あたり22,000円(税込み)にしている理由があり,それは,各債権者への返済がスタートするときまでに積み立てて頂いたお金で司法書士費用を全額清算できるようにするため,報酬額を2万2000円に設定しております。

 

任意整理の手続(受任通知送付から和解契約・返済スタートまで)は,4ヶ月程度の時間がかかります。

 

各債権者への支払がスタートするときに,まだ司法書士報酬の支払いが残っている場合は,それだけで負担が大きくなってしまいます。

 

さらに,司法書士報酬を依頼者様のご負担の少ない額に設定することで,すぐに分割和解の交渉に入ることができ,早期に和解契約を締結することができます。

 

任意整理の場合,債権者は,将来の利息は免除してくれますが,和解日までの利息・損害金を求める業者は多く,1日でも早く分割返済の和解をまとめることで,今後の返済額を少しでもおさえることができるからです。

 

当事務所では,これまで6000人以上の方の債務整理・借金問題を解決してきた実績があります。

ご相談の際に,債権者名や取引期間,借入額やこれまでの取引状況などをご説明いただければ,任意整理をすることによって,今後の返済額をいくらまで減額できるかなど,返済計画の見通しを具体的にご提案することができます。

 

借金のことで悩んでいる方,任意整理を相談したいと考えている方は,遠慮なく当事務所にご相談ください。相談は無料となっておりますので,相談ダイヤル(0120-913-317)にお電話いただくか,Web相談フォーム(24時間受付中)からお問い合わせください。

また,事前にご予約をいただければ,土曜日・日曜日や夜間のご相談も受け付けております。

 

最後に債務整理のご依頼を頂いたご相談者様の声をご紹介させて頂きます。

 

【ご相談者様の声】

 

債務整理 ご相談者様の声 ①

債務整理 ご相談者様の声 ②

債務整理 ご相談者様の声 ③

債務整理 ご相談者様の声 ④

債務整理 ご相談者様の声 ⑤

18歳の君へ贈る言葉

  2022/03/16    ブログ, 債務整理

歳食って体が大きくなっただけで偉くなったと勘違いする、そんな時代が僕にもありました。

 ― 粒来祐介(司法書士 1983~)

 

突然すみません。

何の話かというと,今年の4月1日以降,法律上の成人年齢が従来の20歳から18歳に引き下げられるというお話です。

(参照:政府広報オンライン

柳沢幸雄先生の名著を期待してページを開いた方ごめんなさい。

 

今回の改正によって,18歳からいろいろな契約を一人でできるようになります。自分で商売もできます。親からしつけを受けたり住む場所に口を出されることも(少なくとも法律上は)なくなります。

ただしお酒,タバコはダメです。競馬もダメ。

なお,パチンコはもともと18歳からOKですが,債務整理の仕事をしている立場からはお勧めしません。

 

自分の若かりし頃を振り返ると(←書いてからまるっきりおっさんの表現だと愕然とした)18歳くらいの頃は謎の万能感にあふれていたように思います。

自分にできないことは何もないんじゃないかくらいの。

 

でも,残念ながら全然そんなことはありませんでした。

社会のエグい仕組みなんてほとんど知りませんでしたし,だいたい自分の親がどれだけ頑張って自分を養っていたかさえ分かっていませんでした。

 

そこで今回は,4月に晴れて成人を迎え,社会の荒波に漕ぎ出す18歳の諸君にひとこと物申したいと思います。

 

世の中,悪人が悪人の顔をしているとは限りません。そんなだと誰も騙されてくれないからです。鶴見中尉よりアシリパちゃんのほうが実はヤバい奴だったなんてことも普通にあります。

 

ただ,そういうことはこんなおっさんに言われたところでなかなか響きません。自分で体験して時には砂を噛むような思いをして,実際にやってみないと分かりません。

そういう意味で,成人年齢の引き下げは皆さんが大きく成長するためのチャンスかもしれません。

 

たくさんチャレンジしてください。勝負をしなければ勝つこともあり得ません。失敗できるのは若者の特権です。見境なくがんがんリスクを取ってください。勝率1%なら100回やれば1回は勝てます。

 

そしてその結果,もしも多額の借金を負ってしまうようなことがあったら,当事務所にご相談ください。必ず力になります。

 

 

お分かりいただけたでしょうか。

くれぐれも騙されないでくださいね。

 

おまとめローンと債務整理(後編)

  2022/02/24    ブログ, 債務整理

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

前回の記事は,おまとめローンは借入残高と利率の兼ね合いで返済しやすい仕組みになっているため,一見借り手に優しく見えるというお話でした。

 

しかし,相続や保証でいきなり多額の借金をかぶったような場合を除き,毎月返済に追われるようになった原因は,借金がなくても既に家計収支が赤字だったことにある方がほとんどです。

特に毎月の返済で精一杯の方は見落としがちかもしれませんが,借金がなくても赤字なら,毎月の返済額をいくら下げたところで新たな借入れをせずに返済を続けるのは不可能です。

おまとめローンで完済した元の借入先は,完済で限度額の枠がまるっと空いて再び借入れをしやすい状態になっており,実際,おまとめローンの債務整理を依頼される方は,多くがおまとめによりいったん完済した業者からもその後に借入れを再開してしまっています。そうなると,おまとめローンが逆に借金増加のきっかけとなり,かえって自分の首を絞めることにもつながりかねません。

 

毎月の返済に追われている方は,つい気を取られがちな目先の返済の軽減ではなく,借金の原因がどこにあり何を修正しなければならないのかをしっかりと見極めるの重要ではないかと思います。

そのような方に必要なのは,おまとめローンではなく債務整理です。

毎月の返済に追われながら自身の生活について冷静に考えるのは非常に難しいと思います。債務整理をすることでいったん返済を止め,債権者からの取り立てのない状況でじっくり自身の生活を振り返ってみる機会が必要です。

 

おまとめローンの利用を検討していること自体は,借金問題を何とか解決しようと前向きに考えている証だと思います。

その気持ちを維持して正しい方法を選択できれば,借金問題の解決はあと一歩です。

 

問題解決に向けた具体的なメニューを用意するのは我々専門家の仕事ですが,以前のブログ記事でも言及したとおり,債務整理をする場合,借金の少ない早期段階の方が整理の選択肢が多くなります。

ご自身の借金に危機感をお持ちの方は,ぜひ,少しでも早い段階で弊事務所にご相談いただければ幸いです。

 

おまとめローンと債務整理(前編)

  2022/02/15    ブログ, 債務整理

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

当事務所は債務整理のご相談が非常に多くありますが,よくいらっしゃるのが,複数社の債務を1本化する,いわゆる「おまとめローン」を利用されている方です。

 

法律では,借入額が大きくなると利息の負担が減るようになっています。

具体的には,1契約あたりの借入額が10万円未満の場合に許容される利率の上限は年20%ですが,借入額が100万円以上の場合は年15%とされています。

(参照:日本貸金業協会「お借入れの上限金利は、年15%~20%です」

 

実際,貸金業者の契約も借入残高の増加に伴って利率が下がることが多いため,複数社から小口で借りるよりも1社からまとめて借りた方が利息が減り,結果として返済の負担が少なくなることがよくあります。

また,複数あった借金がひとつになることで負債の管理も楽になります(貸金業者談)。

 

そうすると,特に毎月の返済に追われ借金に苦しむ方にとって,おまとめローンは非常に合理的で魅力的な商品に映るのではないかと思います。

 

しかし冒頭で触れたとおり,おまとめローンを利用してもそのまま完済には至らず,結果的に債務整理を余儀なくされることがよく起こります。

相談を受ける身としては,おまとめローンは本当にいうほどよい商品なのかと考えざるを得ません。

 

そこで後編の記事では,実際の依頼者からのお話で分かった,おまとめローンで陥りがちな落とし穴についてご紹介したいと思います。

 

どのような記事か,お楽しみにお待ちください!

 

今年の抱負

  2022/01/24    ブログ

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

先日,小学1年生の長男が児童会館で書き初めをしてきました。

なかなか味のあるできばえだったことに加え,揮毫の内容も7歳児の書くようなものじゃなく可笑しかったので,自宅の居間に飾ることにしました。

 

長男 書き初め

「笑門来福」

 

この言葉,今では一般に広い意味で使われていますが,もともとは家庭生活を指して使う言葉だったようです。

 

貼ったのは,朝起きて寝室から出るとまっさきに目につく場所です。

今年は,毎日この言葉をかみしめて生活しようと思います。

(家庭が平和であるためには私が仕事をがんばらなければならないので,笑ってばかりもいられませんが。)

 

では,本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

株式会社等設立時の定款認証手数料の一部引下げ

  2021/12/26    ブログ

株式会社や法人の設立手続においては,定款(会社や法人の目的,組織,活動に関する根本となる基本的な規則)を作成し,それに公証人の認証を受ける必要があります。

この定款の認証手数料は,現在,一律5万円とされているところ,起業促進の観点から手数料の引き下げの検討がなされ,資本的規模の小さな会社に対する定款認証の手数料をその規模に応じて引き下げることになりました。

具体的には,一律5万円と定められている定款の認証手数料の一部が次のとおり改定されます。

(1)資本金の額等が100万円未満の場合
→ 3万円
(2)資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合
→ 4万円
(3)その他の場合
→ 5万円

 

この改正は,令和4年1月1日以降に定款の認証を受ける株式会社等が対象となります。

また,公証人の手数料は株式会社等の資本金の額等によって区分されています。この資本金の額等が定款に記載されていない場合は,「設立に際して出資される財産の価額」が基準となります。定款の中には,「設立に際して出資される財産の最低額」を記載しているものもあり,その場合は「5万円」の手数料となるため注意が必要です。

 

株式会社の設立時の定款認証の手数料は一部引き下げとなりましたが,設立費用をおさえたいという方は合同会社の設立も検討の一つなります。

 

合同会社の設立では,そもそも定款認証が不要であり,設立時の登録免許税も株式会社が15万円のところ,合同会社では6万円となります。

会社の設立手続でお悩みの方は,是非,当事務所までご相談ください。

司法書士のお仕事紹介~商業登記編⑦ 実質的支配者 まさかの続編~

  2021/11/22    ブログ, 登記

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

だいぶ前の記事 になりますが,株式会社の設立の際,司法書士などが公証人に対し,設立会社の実質的支配者が反社会勢力でない旨を申告しなければならなくなったとご紹介しました。

この制度が,去る7月に一部改正されました。

 

改正点は,実質的支配者が反社会勢力ではないという事実を,赤の他人である司法書士でなく,実質的支配者本人から(表明保証という形で)申告できるようになったことです。

どなたが見てもそりゃそうだろうと思っていただける内容かと思いますが,制度改正のきっかけになったとされる実例が,冗談みたいな話だったので晒し上げご紹介します。

 

 

ある司法書士が定款認証の代理申請をした際,届け出た実質的支配者の氏名と生年月日が,公証人が把握する反社会勢力リストの人物と一致してしまうという事案がありました。

こういう引きの弱い人物はどこにもいます。私じゃなくてよかった。

 

その際の公証人と司法書士とのやりとりがこちら↓です。

司「今回設立する会社の,実質的支配者にかかる申告書を提出します。」

公「・・・この人物は反社会勢力の可能性がある。ついては,背中や腕に反社人物と推定される特徴がないか直接確認してきてください。」

司「 」

 

この公証人はいったい何を考えていたんでしょうか。

これがバラエティ番組ならBPO審議入り待ったなしです。

 

私だったら依頼者を公証人のところに連れて行き,公証役場を抗争現場にしてやっていたかもしれません。しかし,この司法書士は冷静でした。

依頼者に直接確認するのは難しいと判断して,警察に相談しました。

 

その際の警察と司法書士とのやりとりがこちら↓です。

司「公証人から,反社かもしれない人物に入れ墨がないか直接チェックしてこいと指示されて困っています。」

警「・・・司法書士に,いったいどんな権限があってそんな調査をしてるのかね。」

司「 」

 

 

このエピソードを聞いた時にまず思ったこと。

公証人も警察も,闘う相手を間違ってやいませんでしょうか。

 

どう考えてもこの騒動最大の被害者は,運悪く板挟みになってしまった司法書士です。

その司法書士が,なぜ関係各位からフルボッコにされているのでしょうか。

 

 

このような経緯で,1名の尊い犠牲のうえに問題点が浮き彫りになり,冒頭の制度改正が実現しました。

改正すべき点はそこだけじゃないような気もしますが,それはそれとして,問題点,特にわれわれ司法書士が割を食うだけの謎手順がすぐに改められたのは,とてもよかったと思います。

この改正がなければ,真冬の北海道でも,依頼者に半袖薄着で事務所にお越しいただくようお願いしなければならないところでした。

 

おそらく依頼者が反社じゃなくても怒られます。

 

司法書士のお仕事紹介~商業登記編⑥ 恐怖の「みなし解散」~

  2021/10/08    ブログ, 登記

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

前回は,商業登記をしないでいると過料の請求を受けるというお話でしたが,今回は,会社によっては過料より痛いかもしれないペナルティのお話です。

 

前回の記事で,株式会社の役員は,メンバーに変更がなくても任期が到来するたびに更新の登記をしなければならないとご紹介しました。

そして,株式会社の役員の任期は,最長でも10年です。

したがって,きちんとルールを守っている会社は,必ず10年に1回以上の頻度で登記をしています。

10年以上登記記録に動きがない会社は,登記をするのを忘れているか,あるいは既に営業実態がなく,放置されている会社のどちらかです。

 

そこで,最後の登記から12年を経過しても登記記録に動きがない株式会社は,法務局から状況確認(警告)の通知が送付されることになっています。

ただ,もしそのような通知が来てしまっても,あわてず法務局に通知の返答をするか,怠っていた登記の申請をすれば,さしあたり大きな問題にはなりません。

 

問題は,そのどちらもしなかった会社です。

通知に対して何もリアクションをしないと,その会社はもはや営業実態がないと法務局に判断され,なんと,法務局に勝手に会社の解散(≒廃業)の登記をされてしまいます。

これを,「みなし解散」といいます。

 

法務局が解散させた会社は,法人の代表者がいなくなります。

(誤解を招く表現でしたが,登記をしなかった罪で社長が法務局の職員に連れ去られるわけではありません。解散により代表取締役の地位を失ってしまうということです。)

そのため,会社名義の契約などができなくなります。

 

また,解散した会社は法律上,廃業に向けた行為しかできないので,営利目的で事業を継続することも許されません。

どれほど順風満帆な会社でも,法務局の手続きを無視したという一事をもって,事業の停滞を余儀なくされてしまうことになります。

たかが登記,されど登記です。

 

なお,一応の救済措置として,みなし解散の登記がされてから3年以内であれば,会社を復活させる登記(会社継続の登記)をすることが可能です。

しかし,たとえ継続の登記をしても,一度されてしまった解散の記録は消えません。

登記記録を見ただけで,法律上やらなければならないことを怠り,お仕置きを受けた会社というのが一目瞭然になってしまいます。

これも地味に痛い。

 

ちなみに,この「みなし解散」の制度,会社の種類が有限会社や合同会社の場合には存在しません。

有限会社や合同会社は役員(社員)の任期に制限がなく,定期的に必ずしなければならない登記というものがありません。そのため,ルールをきちんと守っていても,ずっと登記の機会がないことがあり得るからです。

有限会社を新しく作ることはできませんが,合同会社は設立が可能ですので,ご自身がずぼらとの自覚がある法人設立希望の方は,株式会社でなく,合同会社を選択してもよいかもしれません。

どうしても株式会社でいきたいという方は,もう観念して当事務所にご依頼ください(*^_^*)

 

以上,今回は,情け容赦ない「みなし解散」の制度についてご紹介しました。

 

だんだんと記事のネタがなくなってまいりました。

次回は,引き続き商業登記にまつわる話題を絞り出してご紹介するかもしれませんし,もしかしたら私の家族のよもやま話でお茶を濁すかもしれません。

 

どのような記事になるか,お楽しみにせずにお待ちください。。。

 

司法書士のお仕事紹介~商業登記編⑤ みんな大嫌い「罰金」のお話~

  2021/08/20    ブログ, 登記

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

今回は前回記事に引き続き,商業登記申請にかかるお金のお話です。

しかも今回は,負担しても一文の得にもならない「罰金」についてです。

 

前回記事 は,商業登記は数件に分けて申請するよりまとめて1件で申請したほうがお得になるという話でした。

そうすると,商業登記は放っておけるだけ放っておいて,どうしても必要に迫られた時にまとめてやるのがいちばんお得なんじゃないかと考えてしまう方がいらっしゃるかもしれません。

しかし,そうは問屋が卸しません。

 

商業登記についての最初の記事 で,商業登記制度の目的は会社に対する世間一般の信用の維持にあると書きました。

そうすると,商業登記記録の内容は常に正しくなければならないということになります。

登記の情報がいつ時点のものか分からない古くて不正確なものかもしれないとなると,そんな登記を信用して取引をして大丈夫なのかという話になってしまいます。

そのため,商業登記では法律上,登記事項に変更が生じてから2週間以内に登記をすることが義務づけられており(会社法第915条),それを怠った場合は100万円以下の過料に処せられることになっています(会社法第976条)

 

特にやっかいなのが,平成18年の会社法施行により,任期が2年から最長10年まで伸長された,株式会社の役員の変更登記です。

任期を伸ばせば登記の回数が減ってコスト削減につながるため,少なくとも私が設立登記を担当した株式会社はほとんど,役員の任期を最長の10年に設定しています。しかし,そうすると今度は,利益を上げるために商売に集中しなければならない事業者の方が,10年に一度しか来ない登記のタイミングを忘れず管理できるのかという問題が生じます。

(誤解されがちですが,役員変更は他の登記と違い,メンバーに変更がなくても任期更新の登記をしなければなりません。これも落とし穴の一つです。)

 

現状,登記を怠ったことについて実際に過料のペナルティが発動されるのは,よりによって一番引っかかりやすいこの役員変更の登記だけといわれています。

実際は2週間を過ぎたからといって直ちに過料に処される運用にはなっていないようですが,年単位で放置するとさすがに問題になってきます。

 

過料が来る場合,登記を忘れていた年数×1~3万円くらいの金額になることが多いようです。

したがって,もし5年間登記するのを忘れてしまうと,最悪15万円くらいの過料が来る計算になります。

これはちょっと忘れるわけにはいきません。

 

じゃあ,どうすればよいかという話ですよね。

毎度しつこくて大変恐縮ですが。。。

 

やっぱり,登記は司法書士に任せてください。

 

ということに尽きます。

 

当事務所の場合,ふつうの役員変更登記にかかる司法書士費用(実費を除く)はせいぜい2~3万円です。

この費用で,法務局に対する登記申請はもちろん,別途作成しなければならない株主総会議事録や株主リストなどの作成も行います。ご希望があれば,次回の登記前のタイミングでリマインドを差し上げることも可能です。

2~3万円という金額を軽んじるつもりはありませんが,この金額で10年間,余計な登記や罰金のことを考えず本業に集中できると考えれば,費用対効果は悪くないのではないかと思います。

 

いかがでしょうか。

だんだんと,商業登記は司法書士に任せようという気持ちになってきましたでしょうか。

ぜひそのお気持ちをそのままに,今すぐ定款登記事項証明書を握りしめて当事務所にご相談いただければ幸いです。

 

なお,本記事を見て,「結局ポジショントークかよ,やっぱり司法書士は信用できねぇ。登記なんて自分でできらぁ!過料くらい払ってやらぁ!」とかお考えになったひねくれ者剛胆な会社経営者の方。

私は登記を忘れたことに対するペナルティが,罰金だけで済むなんて一言も言っていません。

 

登記懈怠が度を過ぎてしまうとどうなるか。

次回の記事は,もっと面倒で恐ろしい「みなし解散」についてです。

 

どのような記事か,お楽しみにお待ちくださいΨ(`∀´)Ψヒヒヒ Ψ(`∀´)Ψヒヒヒ

 

司法書士のお仕事紹介~商業登記編④ まとめてお得!商業登記申請(後編)~

  2021/06/11    ブログ, 登記

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

今回は, 前回記事 に引き続き,商業登記で登録免許税を節約する工夫についてご紹介します。

 

ポイントは,商業登記制度にある以下のルールです。

 

【ルール1】

商業登記の場合,あった出来事の種類にかかわらず,いろいろな登記をまとめて1件で申請すること(一括申請)が原則

 

【ルール2】

商業登記の登録免許税は,あった出来事(登記事項)ごとにカテゴリー(課税区分)が決められており,1件の登記申請の中に同一課税区分の登記事項が複数あった場合でも,かかる登録免許税は1回分で済む

 

これを,前回の事例にあてはめてみます。

 

前回の事例は,

(1)令和3年4月10日 取締役Aさんが辞任

(2)令和3年4月16日 株式会社Aには監査役を置かないこととし,同時に監査役Bさんが退任

(3)令和3年4月23日 会社名を「株式会社A」から「株式会社C」に変更

というものでした。

 

この事例の場合,(1)の取締役の辞任と(2)の監査役の退任は,いずれも「役員変更」で同一課税区分です。

同様に,(2)の監査役設置会社の定め変更と(3)の商号変更も,実は「その他の変更」で同一課税区分です。

 

したがって,(1)~(3)の登記申請を順次3件ではなく,まとめて1件で申請すれば(上記【ルール1】),重複する課税区分の登記事項が1回分の計算で済みます(上記【ルール2】)。

結果,かかる登録免許税は,「役員変更」の1万円と「その他の変更」の3万円の,合計4万円で済むようになります。

 

ご理解いただけましたでしょうか。

 

さて,ここからは当ブログお決まりの展開ですが。。。

本記事をご覧になり,情報量の多さと面倒くささに困惑しているあなた(特に会社の総務担当の方),私が何を申し上げたいかというと,

 

悪いようにはしないので,観念して登記は司法書士に任せてください

 

ということです。

 

登記はやることの形が決まっている業務なので,インターネット環境と根性さえあれば,自力で登記申請までたどりつくことはおそらく可能です。

しかし,数年に一度の登記のためにネット検索と書類作成に時間を取られた結果,本業の時間が削られ,あげく申請の補正のために何回も法務局に呼ばれるなんてことになれば,会社にとってはむしろ損失ではないでしょうか。

そこまで頑張って登記完了までたどり着いたとしても,今回の事例のように,本来低く抑えられたはずの登録免許税を気付かずに多く納付してしまったりしたら,もう目も当てられません。

 

司法書士にご依頼をいただければ,登記申請書はもちろん,議事録などの添付書類も司法書士が作成します。当然,費用負担についても(合理的な範囲で)なるべく低く済むようアドバイスをします。

また,万一,申請の補正があったとしても,依頼者にバレないようにこっそり司法書士が法務局に行くので安心です。

 

でも,お高いんでしょう?と思ったあなたも,ご安心ください。

商業登記の場合,ほとんどのケースでは,司法書士の報酬よりも,実費の登録免許税の方がよっぽど高額です。

つまり,自力の登記申請でしくじって税金を余分に納めるくらいなら,最初から司法書士に依頼した方が,時間的にも経済的にも断然お得なのです。

 

ネット全盛のこのご時世,定型業務である登記を生業とする司法書士がしぶとく生き残っている理由について,少しでも思いをはせていただければ幸いです。

 

最後に。

本記事をご覧になっていただき,「まとめて申請した方が得なら,登記は何年かにいっぺんまとめてすればいいや。」と思ったそこのあなた。
次回記事では,そうは問屋が卸さない,恐ろしい「登記懈怠」のペナルティについてご紹介します。

 

どのような記事か,お楽しみにお待ちくださいΨ(`∀´)Ψヒヒヒ