スタッフ日記

司法書士のお仕事紹介 ~不動産登記編②~

  2019/12/03    ブログ, 司法書士全般, 登記

こんにちは。粒来です。

 

前回の記事 は,不動産決済の場で平静を装っている司法書士が内心実は神経をすり減らしているというお話でしたが,今回は,そんな不動産決済の場で,実際にあった怖い話です。

 

前回,司法書士は不動産取引において「人」「物」「意思」の確認をしているとご紹介しました。

このうち「人」の確認は,一般的に,当事者ご本人しか持ち得ない身分証の原本の提示を受け,疑わしい点がないか確認する方法で行います。

しかし,不動産は高額なので,時折,売却の権限がないのに売主になりすまし,売買代金を騙し取ってやろうと企む輩が出現します(積水ハウス事件が記憶に新しい,いわゆる「地面師詐欺」)。

 

司法書士も,明らかな書類の偽造を見逃したりすると当然ペナルティーを受けるため,見た目が本物っぽいか以外にも,何カ所か確認のポイントを設けて身分証などをチェックしています。

 

そんな中,ある不動産取引の場で,売主さんからご本人確認資料として運転免許証の提示を受けました。

提示された免許証がゴールドでなく青色だったので,この人はいったいどんな交通違反をしたんだろうと,本人確認とは全然関係のない余計なことを考えていたところ,ふと,免許証の有効期限が交付の5年後であることに気がつきました。

 

運転免許証をお持ちの方はご存じかと思いますが,一般的に,ゴールド免許は更新が5年おきで済みますが,青色の免許証の更新は5年ではなく3年です。

したがって,青色の免許証の有効期限は,ふつうは3年間のはずなのです。

 

冒頭にも書きましたが,不動産決済の場で,司法書士は基本的に平静を装うものです。

例にもれず私も平静を装っていましたが,内心は?の嵐です。

これがもし偽造免許証の詐欺事案だったとしたら,関係当事者が大きな損害を被ってしまいます。

そして,こんなケアレスミスを看過した私にも,責任がないはずがありません(←ここが重要)。

 

結局この時は,その場でインターネットを検索し,警察署のウェブサイトに『過去5年間に軽微な違反(3点以下)1回の方は,青色免許証でも有効期間が5年間になる』と紹介されているのを発見しました。

それとなく売主さんに事情を聞いてみたところ,上記の情報と同旨のお話をされたので,ほっと一安心し,不動産決済はつつがなく終わりました。

(ドタバタしたのは,私の内心だけ)

 

司法書士の仕事は不動産登記の専門知識だけでなく,こんな一般常識も必要なのかと痛感した1日でした。

 

以上,今回は不動産決済で実際にあった怖い話をご紹介しました。

最後までお読みいただいた方の中には,「司法書士はその程度のエピソードで怖いとか騒いでいるのか。」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし,実際,司法書士人生で最もビビった時の話は,とてもじゃないですがこんなブログで笑い話にできるような話ではなかったので,書けなかっただけです。

 

お察しいただければ幸いです。

|ω・`)チラッ

 

いま,会いにゆきます

  2019/11/18    ブログ

 Amazonで買い物をしていたら,いつの間にかAmazonプライム会員になっていたのでそのまま惰性で会員を継続しています。せっかくなので最近の休日はプライム会員特典の映画を観てまして,その中にある「いま、会いにゆきます」という映画を久しぶりに観ましたが,今のところ,私のところに運命の人が会いに来る気配はないです及川です。

 この映画の主人公である秋穂巧(中村獅童)は,司法書士事務所で働いておりまして,司法書士をしている身としては気になるところです。
 所長と思われる司法書士は映画の中では常にお昼寝状態なのですが,一方,当事務所の所長はたまにしか寝ません。
 あと,映画の中で事務所内でテレビに映る天気予報を見るシーンがあるのですが,当事務所にはテレビ自体がありませんね。
 あまり色々な事務所にお邪魔することはないのでわからないのですが,司法書士事務所ってあんなイメージなんでしょうかね。

 さて,以下はネタばれを含みます。

 巧の妻となる澪(竹内結子)は,大学生の時に交通事故に遭い,昏睡状態のときに自分が28歳で死んでしまうことを知ってしまいます。そして,死亡から1年後の雨の季節に自分が蘇ることを知ります。
 また,蘇って自分がもう少しで消えてしまうことを知ってから,息子の佑司に家事を一生懸命教えたり,巧の事務所の同僚の女性に巧と佑司のことを託そうとしたり,佑司が18歳になるまでの12年分の誕生日ケーキを予約しに行ったりします。

 そんな澪さんには,是非,「生命保険信託」をおススメしたい。

 生命保険信託とは,死亡保険金請求権を信託財産とするもので,信託により「年毎,分割して保険金を渡す」とか「支払いには○○の承諾が必要」というように,単に資産を遺すだけでなく,「渡し方」にもこだわることが出来ます。
 これによって,受取人の浪費などを防ぐことができるかもしれません。

 愛する家族のために資産を遺すことが出来る良い方法の一つでしょう(自分の死期を知っているならば効果は絶大)。
 きっと,巧が司法書士事務所に勤めているという設定は,このような対策が万全であるというメタファーであるに違いない。

 さあ,あなたの対策は万全でしょうか。
 信託は特に自由度が高く,なかなか自分だけではどうしていいか分からなくなってしまい,先延ばしにしてしまいがちですが,お早めに時間を取って取り組んでみて下さい。
 その他,認知症対策・相続対策は,出来れば予め専門家に直接ご相談ください。

 当事務所ご連絡いただければ,すぐ,会いにゆきます。

司法書士のお仕事紹介 ~不動産登記編①~

  2019/10/25    ブログ, 司法書士全般, 登記

こんにちは。粒来です。

 

140万円以下の争いごとについて交渉や裁判ができるようになるなど,昔に比べて司法書士が活躍できる場は増えましたが,今も昔も,司法書士のメイン業務といえば不動産登記です。

 

その中でも花形といえるのが,不動産の売買の場に立ち会い,その場で当事者の意向や登記の必要書類を確認して代金決済のゴーサインを出すという,いわゆる「立会業務」です。

 

司法書士は決済の場で,来ているのが本当に当事者本人か(ヒトの確認),売買の対象になっている不動産や当事者の認識に間違いがないか(モノ・意思の確認)をチェックし,かつ,登記申請に必要な書類がすべて揃っているかを確認します。

そして,それらの確認が済んだら,「代金の決済を行ってもOKです」と当事者に宣言します。

そうすると,司法書士が言うなら大丈夫だろうということで,銀行から買主,買主から売主へと,場合によっては億を超えるお金が動きます。

 

したがって,代金決済が済んだ後で,「実は,司法書士の確認不足で登記ができませんでした(๑´ڡ`๑)テヘ」なんてことになると,本当にシャレになりません。

融資した金融機関を出禁になるのはもちろんのこと,場合によっては司法書士のミスで損をした取引当事者から,賠償を迫られる可能性もあります。

 

そのため,決済当日に絶対に間違いが起こらないよう,司法書士は立会の前から,確認に確認を重ねて準備をしています。

 

代金の決済自体は1時間もあれば終わる(しかも大半は待ち時間)あっけない手続であるにも関わらず,司法書士がその場で預かるお金が少ない場合でも十数万円と高額であることから,不動産取引の最後になっていきなり現れ,多額の報酬をひっつかんで高笑いを残して消えていく,みたいなイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんが,それは大きな誤解です。

 

その決済に至るまでに,司法書士は一撃必死のリスクに震えながら(言い過ぎました),入念な準備をしています。

そして,司法書士が預かるお金も,多くは法務局に納める税金,つまり実費です。

 

不動産決済に臨む司法書士は,水面を優雅に進んでいるように見えて,水面下で懸命に足ヒレを掻いている白鳥みたいなものなのです。

 

資格自体の認知度が低く,他士業(特に,名前が似ている行政書士の先生)と間違われることの多い司法書士ですが,その仕事の一端をご理解いただけたなら幸いです。

 

次回の記事では,そんな緊張感あふれる立会の場で,本当にあった怖い話をお届けします。

 

乞うご期待!

 

切手も積もればワクチンになる?

  2019/09/03    ブログ

こんにちは。粒来です。

 

時代はインターネット全盛ですが,裁判所や法務局の手続がインターネットでは完結しないこともあって,司法書士の仕事はまだ郵便でのやりとりが非常に多いです。

 

特に裁判所からは,1通出すのに1000円以上もかかる,「特別送達」という方法で書類が送られてくることがよくあります。

 

この仕事をするまで1000円切手なんて見たこともありませんでしたが,たかが切手と侮ることなかれ,さすがに最高額面ともなるとデザインにも気合いが入っています。

 

昔は「松鷹図」(写真左),今は「富士図」(写真右)

 

どちらも,日本びいきの外国人などには非常に喜ばれそうな渋いデザインです。

 

これは,もしかしたらただ捨てるのはもったいないのでは?と思って調べてみると,なんとインターネット全盛のこのご時世に,使用済み切手の収集家が絶滅せず,多数いらっしゃることが分かりました。

 

そこで,最近は使用済み切手は捨てずにストックしておき,寄付することにしています。

(もちろん,もとは仕事の郵便物なので,個人情報の漏えいは絶対にないよう注意しています。)

 

 

だいぶ貯まりました( ̄ー ̄)

 

とりあえずはネットで調べて,よさそうな団体に寄付するつもりですが,どなたかお勧めの寄付先をご存じの方がいらっしゃれば,ぜひ教えていただければ幸いです。

 

実質的支配者(←ただならぬラスボス感)

  2019/07/31    ブログ, 登記

こんにちは。粒来です。

 

某芸能事務所の闇営業問題のおかげで,「反社会的勢力」という言葉の注目度が一気に上がったように思います。

 

今回はこれにちなんで,司法書士と反社会的勢力との関わりについて,ご紹介させていただきます。

(誤解を招く表現でしたが,そういう意味ではありません。)

 

ちょっと前に,株式会社などの設立時の定款認証手続(会社の基本的なルールを設立前に公証人にチェックしてもらう)に一部変更がありました。

具体的にどういう変更だったかというと,会社の「実質的支配者」が反社会的勢力に属する人物でないかを定款認証時に確認して,該当する法人の定款を認証しないことで,反社会的勢力による法人の設立を妨げるという枠組みが,新たに作られました。

 

要するに,会社設立の手続にフィルターをひとつ設け,ヤク◯(やくまる)さんの悪だくみのための会社を設立しにくくしたということです。

 

規定の内容は,このようになっています。

 

公証人法施行規則

第十三条の四 公証人は,会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十条第一項並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第十三条及び第百五十五条の規定による定款の認証を行う場合には,嘱託人に,次の各号に掲げる事項を申告させるものとする

(以下略)

 

公証人に申告する義務があるのは,定款認証の「嘱託人」です。

そして,司法書士が会社の設立登記を行う場合,多くは,実質的支配者本人ではなく,司法書士が定款認証の嘱託人となります。

つまり,司法書士が公証人に,「今回の設立にかかる会社の実質的支配者は,反社会的勢力ではありません」と宣言する義務を負うことになりました。

 

制度趣旨だけみると素晴らしい制度です。しかし,問題は実効性です。

なじみの方に法人設立を依頼されることもないわけではありませんが,会社設立の依頼者は,どちらかというと初対面の方が多いです。

司法書士は警察や公証人と違い,反社会的勢力に属する人物のリストを持っているわけではありません。目の前の依頼者が反社会的勢力でないことを確認する方法となると,結局のところ,その人の申告頼みになります。

(当たり前ですが,見た目で判断するわけにはいきません。)

 

しかし,司法書士に問われて「私,反社会的勢力です!」と堂々と申告してくれる人は,そもそも隠れ蓑の法人設立など行いません。

詳しく書きませんが,この制度には他にも抜け道があり,残念ながら今回の改正は,司法書士や公証人の責任や手間を重たくしただけの,ザル法の匂いがぷんぷんしています。

 

なお,新しい手続を経て定款認証を受けた後には,公証役場に請求すると,「申告受理及び認証証明書」というものを,無料で発行してもらえるようにもなりました。

これは,当該会社の実質的支配者が反社会的勢力でないことについて,公証人のチェックをクリアしたことの証明書であり,会社設立後に法人名義の預貯金口座を開設する際に,金融機関に提出するなどの活用方法が想定されているようです。

 

 

月末で雑務に忙殺されているところに連日の猛暑が重なり,内容がだいぶ愚痴っぽくなってしまいました。

アメトーーク!でも見て気分転換して,次回はもう少し明るい話題を提供できるよう頑張ります。

 

相続まめ知識⑤ ~相続◯✕クイズ(3)

  2019/06/14    ブログ, 相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

前回記事で,先輩の高井が6月8日に円山動物園に行ったらしいと知りびっくりです。

私もちょうど同じ日に,子どもを連れてゾウを見に円山動物園に行ってきました。

 

甲第1号証 ゾウの写真

 

私は気づきませんでしたが,鼻くそをほじりながら歩く姿を高井に目撃されていないか,とても心配です。

(もちろん鼻くそをほじってたのは,私じゃなく息子です。)

 

さて,(私にとって)長く厳しかった相続◯✕クイズも,今回が最終問題です。

今までの知識の総まとめのつもりで,取り組んでいただければ幸いです。

前回記事 の経緯から,これまでのクイズの結果をふまえて回答してもろくなことにならないのはお察しかもしれませんが,一応,前回の知識のおさらいをします。

 

知識4 亡くなった人の子どもが相続放棄をした場合,孫は相続人にならないので,孫が自分も相続放棄をする必要はない。

 

 

では,問題です。

 

第5問(超上級)

妻も子もいない人が,若くして多額の負債を抱え死亡した。相続人にあたる父母が相続放棄をした場合,父母の両親(亡くなった人の祖父母)が借金の相続を避けるためには,自らも相続放棄をする必要がある。

◯か✕か。

 

 

正解は。。。

 

 

◯です!

 

なんと,今度は前回記事の第4問とは逆の結論が正解になります∑( ̄ロ ̄|||)

もう訳がわからないですね。

 

 

なぜこのような違いが生じるかの答えは,亡くなった人の祖父母が相続人になる根拠と,亡くなった人の孫が相続人になる根拠の条文の,表現の違いにあります。

 

長文かつ退屈になるのは分かりきっていますが,いちおう司法書士のブログなので,詳しく解説したいと思います。

 

 

相続人になる人の範囲を規定した民法887条,889条は,次のような規定になっています。

 

第887条 被相続人のは,相続人となる。

(以下省略)

 

第889条 次に掲げる者は,第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には,次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一 被相続人の直系尊属。ただし,親等の異なる者の間では,その近い者を先にする。

(以下省略)

 

注目していただきたいのは,889条では「直系尊属」(←親に限らず,祖父母,曾祖父母など,直系かつ目上の親族をすべて含む)となっているのに対し,887条では直系卑属(子に限らず,孫,ひ孫以降を含む)ではなく,「子」(←孫以降は含まない)となっているところです。

 

第4問 で説明しましたが,被相続人の孫は本来,相続人の地位(順位)をもっていません。子に死亡・相続欠格・廃除があったときにだけ,「代襲相続」という特別なルールによって,例外的に相続の権利を与えられます。

そして,子が相続放棄をしたときは,その特別ルールの適用がありません。

 

一方,被相続人の祖父母は,そのような特別ルールではなく,民法889条によって直接,相続人の地位(順位)があります。

そのため,自分よりも親等の近い者(亡くなった人の父母)がいなければ,必然的に相続人になります。

父母の相続放棄があると,父母は最初からいなかったと考えるため(前回の知識3),祖父母は相続人になり,孫の権利や義務を受け継ぎます。

 

そうすると,今回,祖父母が孫の借金の相続を避けるためには,自分も相続放棄をする必要がある,という結論になるのです。

 

ここまでの作文で疲れたので,だいぶ説明をはしょりましたが,ご理解いただけましたでしょうか。

 

 

さて,これまでの相続クイズを通じて,私が一体何をお伝えしたかったかというと,相続,特に相続放棄において,中途半端な知識は命取りになるということです。

(途中,意地の悪い出題をしたことに対する言い訳ではありません)

 

相続放棄は,自分が相続人であることを知ったときから3ヶ月以内という短い期間に行わなければならず,かつ,一度相続放棄をする,またはそのチャンスを逃すと,やり直しやキャンセルは一切できません

 

裁判所に出す申述書の薄っぺらさ(A4用紙2枚)に驚かれることのある相続放棄の手続ですが,一見ただの紙切れに見えるその申述書には,これまでのクイズで触れたようなややこしい法律知識が,みっちりと詰まっている,こともあります。

 

ということで,この記事をお読みいただいている皆さん,特に前回と今回の出題でうっかり引っかかってしまった方は,相続やその放棄の問題に直面した際には,必ず当事務所にご相談いただければ幸いです。

 

相続まめ知識④ ~相続◯✕クイズ(2)

  2019/05/28    ブログ, 相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

前回に引き続き,今回も相続◯✕クイズです。

今回は,前回クイズで得た知識をもとに,さらなる難問にチャレンジしてもらうことになっていました。

ということで,まずは前回の3問の知識をおさらいします。

 

知識1.亡くなった人に子どもがいない場合,その人の親が相続人になる。

 

知識2.亡くなった人に子どもはいたが,既にその人(子ども)が亡くなっていた場合は,その子どものさらに子(孫)が相続人になる。

 

知識3.相続放棄をした人は,その相続において,最初から存在しなかったのと同じように取り扱われることになる。その結果,相続放棄をした人が存在したから相続人ではなかった人(次順位の相続人)が,繰り上がって相続人になる。

 

よろしいでしょうか。

では,これらの知識をフル活用して,次の問題にチャレンジしてみてください。

 

大事なことなのでもう一度。

上記の知識をふまえて,回答してください。

 

 

第4問(超上級)

死亡したおじいさんに大きな借金があったため,父(おじいさんの子)がその相続について家庭裁判所に相続放棄の手続をした。この場合,父の子(おじいさんの孫)は,自分も相続放棄の手続をしなければ,おじいさんの相続人として,おじいさんの借金を負うことになってしまう。

◯か✕か。

 

難しいので,ヒントです。

お父さんが相続放棄をしたということは,お父さんは最初から相続人でなかったことになりますね。そうすると,相続放棄をしたお父さんがいたために相続人でなかった孫は,どうなるでしょうか。

 

 

 

さて,正解は・・・

 

✕です!

残念でした。ひっかけ問題です(ノ∀`)アチャー

 

前回の知識をもとに考えると,父が相続放棄して最初から相続人でなかったことになると,父がいないことで相続人になる父の子(知識2)が,繰り上がって相続人になる(知識3)と思いがちです。そうすると,父の子も相続放棄をする必要があるように思えてきます。

 

しかし,知識2(代襲相続)について定められた民法887条2項は,実はこんな規定になっています。

 

第887条

2 被相続人の子が,相続開始以前に死亡したとき,又は第891条の規定(相続欠格:引用者注)に該当し,若しくは廃除によって,その相続権を失ったときは,その者の子がこれを代襲して相続人となる。

 

つまり,この規定の適用があるのは,被相続人の子が死亡,相続欠格または廃除によって相続権を失ったときだけで,相続放棄で相続権を失ったときは入っていません
そのため,父が相続放棄をした場合にはこの規定が適用されず,そもそも父の子(おじいさんの孫)には相続権が発生しないことになります。

相続権がないのだから,相続放棄をしなくても,おじいさんの借金を背負う心配はないのです。

 

 

皆さん,私の思惑どおり不正解だったでしょうか??

ほどよく私に対する不信感が芽生えたところで,今回はおしまいです。

次回は,◯✕クイズ最後の問題にチャレンジしていただきます。

 

今回,まんまと騙されてしまった方は,そのモヤモヤした気持ちを抱えたまま,次回の記事をお楽しみにお待ちください( ̄∀ ̄)

 

その紛争,民事調停がいいかも

  2019/04/01    ブログ

 新元号が「令和」に決まりましたが,いっその事「あいわ」になってくれれば良かったのに及川です。

 

 さて,裁判所での手続きといえば「訴訟」を思い浮かべる人が多いと思います。
 また,「調停」という手続きもありますが,こちらは離婚調停などの家事調停を思い浮かべる人が多いのかなと思います。

 実は,民事調停っていうのもありまして,これが中々,理想的な手続きとなっております。

 

1.手続きが簡単。

法律のことがよくわからなくても,簡単に申し立てることが出来るようになっています。札幌の場合は,簡易裁判所の「手続案内センター」というところに行けば,何とかなるようです。

 

2.費用が安い。

訴訟の半額の手数料です。
また,調停委員という人がいて,紛争の内容に応じて,その分野で経験豊富な専門家が調停委員になったりするのです。裁判所お墨付きの専門家の意見がほぼ無料で聞けるというのはかなりお得なことだと思います。

 

3.非公開なので安心。

傍聴席を気にする必要がなく,秘密は守られます。

 

4.申立てから2~3回の期日で結果が出る(ことが見込める)。

訴訟であれば,1審で半年~1年とか普通にかかります。

 

5.厳格な法律論は置いといて,実情に即した解決が可能

話合いなので,柔軟な解決が可能となります。
他方,判決は,事実に法律を適用した結果に過ぎず,仮に勝訴だとしてもあなたの想いは反映されないことがあります。
したがって,経済的な利益だけを考えれば別かもしれませんが,場合によっては民事調停の方が「納得感」があるかもしれません。

 

 このように,民事調停は理想的な手続きとなっておりますが,現実はまた別の話で,やはりデメリットもあるのです。
 デメリットとしては,「相手方に話し合う気がなければどうにもならない」ということが挙げられます。調停は,出席が強制されず,散々時間を費やした結果,やっぱり合意しないという選択肢が常にあります。したがって,調停を選んだお陰でその分の時間が無駄になることがあります。最初から訴訟の方が良かったじゃん,というパターンですね。
 しかし,合意に至らなくても調停を挟むことで得られる良い面もあります。
 例えば,

 

・相手の出方を伺うことで,色々と推し量ることが出来る。
・争点が明らかになり,訴訟の時に審理が散らからない。

 

 という利点はあるかと思います。

 個人的には積極的に利用を検討していきたいところですね。

相続まめ知識② ~平成30年相続法改正(2)

  2019/03/06    ブログ, 相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

気にかけていたのは間違いなく私だけでしょうが,連載すると見得を切ってしまった手前どうにかしなければと思っていた,相続まめ知識をお送りします。

今回は,昨年決まった相続法の改正点のうち「生存配偶者の居住権」についてです。

 

今回の相続法改正では,新たに「配偶者居住権」「配偶者短期居住権」という2つの権利が創設されました(制度のスタートは2020年4月から)。

どちらも,不動産所有者が亡くなった際に同居していた配偶者の保護を目的にしたものですが,想定している状況や権利の内容に違いがあります。

 

1.配偶者短期居住権

不動産所有者が死亡した後,配偶者が自宅を出て他に移ることを前提に,移転までの猶予期間を保証する制度です。

あくまで移転までの一時的な権利なので,その内容は必要最低限の範囲にとどまっています。

(権利の及ぶ物理的な範囲や不動産の使い方が限られ,登記もできない)

 

これまでも最高裁判所の判断により,生前から被相続人と同居していた方が暫定的に保護される仕組みはありましたが,それだけではカバーできないケースがあることが指摘されていました。

新設された「配偶者短期居住権」には,そのような範囲をカバーして,これまでの判例法理を補強する狙いがあるようです。

 

2.配偶者居住権

不動産所有者の死亡後,配偶者が不動産そのものを相続しなくても,長期間(場合によっては配偶者が亡くなるまで)そのまま住む権利を保証してもらえる制度です。

具体的には,不動産の所有権(所有するものを,売る・使う・壊すなど何でもできる権利)から「居住権」(住む権利)だけを分離し,配偶者が「居住権」だけを相続できるようになりました。

 

長期間続く権利だからか,上記の配偶者短期居住権に比べて保護の範囲が広く,権利を登記することもできます。

 

「居住権」は,完全な所有権よりも財産的な評価が低くなるため,相続財産のなかで不動産の価値がずば抜けて高く,配偶者が不動産を所有権で相続してしまうと他の相続人との配分がアンバランスになるケースなどで,この制度が活用できるといわれています。

 

なお,この「配偶者居住権」を設定するには,

不動産所有者が生前に遺言を作り,その中で配偶者に「居住権」をあげる旨を記載しておく

②不動産所有者が亡くなった後,相続人の全員一致で配偶者が「居住権」を取得することを決定する

③相続人の話し合いがまとまらない場合に,家庭裁判所に設定してもらう(ただし,特に配偶者を保護する必要がある場合に限られる)

の,いずれかをする必要があります。

 

ただ,相続人やその関係者が100%円満な関係であれば,不動産の名義や財産の配分にかかわらず配偶者は安心して住み続けられるわけで,税金対策以外であえてこのような制度を持ち出さなければならないケースには,少なからずトラブルの火種があるのではないかと思います。

 

そのような場合,相続人の全員一致に期待するのではなく,不動産所有者が積極的に遺言を作成しておくべきなのはいうまでもありません。

(なお,ここでは触れませんが,配偶者居住権を設定する遺言の表現には押さえるべき勘所があるため,遺言書の作成は専門家へのご相談をお勧めします。)

 

さらに,相続人間の対立が決定的であれば,居住権をもつ配偶者への嫌がらせ目的で第三者に不動産を売却したりする輩が出てくる可能性もあり,そうなると居住権の登記も必須です。

 

相続に関係し,遺言が必要で,登記もできる。

まさに司法書士にうってつけの制度。

 

配偶者居住権を設定するための遺言など,相続について気になることがある方は,ぜひ,当事務所にご相談ください!

 

新手のヤミ金融か!?

  2019/01/16    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

今回のブログのタイトル,週刊少年ジャンプの某名作漫画由来だと気づかれた方は,一体どれくらいいらっしゃるでしょうか。

 

さて,突然ですがうちの事務所,ヤミ金融の被害相談が非常に多いです。

札幌やその近郊からはもちろん,東京や静岡,福岡あたりまで,まさに全国津々浦々から相談が来ます。

 

ただ,さすがに本州からの依頼は,すべてお断りしています。

まともな司法書士や弁護士は皆そうだと思いますが,基本的に,面談なしに債務整理事件を受任することはありません。

当事務所にお越しいただくことが難しい地域からの相談者の皆様,あしからずご了承ください。

 

 

ところでヤミ金融といえば,私 粒来が長年,ヤミ金の新手の手口ではないかとひそかににらんでいる,日本の悪しき風習があります。

何かというと,バレンタインデーとホワイトデーのシステムです。

 

先日,朝の情報番組で,「ホワイトデーで最も女性に喜ばれるのは,バレンタインのプレゼントの4倍相当のお返しをあげたとき」というふざけた興味深い話をしていました。

 

バレンタインデーからホワイトデーまではちょうど1か月。

「1ヶ月で4倍」ということは,年利でいうとだいたい4800%です。

うしじま君も裸足で逃げ出す高金利。

 

しかし,残念ながら,ヤミ金融を取り締まる出資法が適用されるのは,原則,「お金の貸し借り」についてだけです。バレンタインとホワイトデーは基本的に物々交換なので(私が知らないだけで,見返りに現金を要求している猛者もいるかもしれませんが),出資法を盾にパートナーのカツアゲおねだりから逃げ切るのは,法律的には難しいのが現状です。

 

一方で,物の売買の名を借りたお金の貸し借りに出資法が適用された例もあるので(先輩司法書士の頑張りで,一昔前に札幌で「金貨金融」として摘発されて全国的にも話題になった),ホワイトデーに調子に乗りすぎてしまった方には,ひょっとすると,刑事罰の制裁が下されることになる,かもしれません。

 

ただ,さすがにホワイトデーに奥様や交際相手に高額なプレゼントをせびられたときには,司法書士に相談しないで,自分でなんとかしてください。
札幌近郊からのご相談でも,お断りです(^_^;)