スタッフ日記

相続登記(不動産の名義変更)の義務化がスタート 令和6年4月1日開始

  2022/03/13    相続・遺言

こんにちは,司法書士の髙井和馬です。

 

民法・不動産登記法等の改正により,相続登記が義務化されることになりました。
相続登記とは,土地や建物,マンションなどの所有者が亡くなった際に相続人の名義に変えるために法務局へ所有権移転登記の申請手続をすることです。いわゆる,不動産の名義変更と言われているものです。

 

これまで,権利に関する登記(不動産の名義変更など)は,基本的に当事者に対して公法上の申請義務を負わせていませんでした。相続登記の申請が義務とされていないため,すぐに相続登記をしないケースが多く,長い期間を経ることにより,相続関係者の数も増え,土地の所有者が容易に特定できなくなるという事態が生じていました。所有者が分からないと売買などの取引をすることができず,再開発や公共事業の支障ともなっていました。

 

このような所有者不明土地の問題を解消する方法として相続登記の義務化が議論されるようになり,今般の法改正となりました。

 

相続登記が義務化されたことにより,相続登記の申請に期限が定められ,相続や遺贈により不動産を取得した相続人に対し,自己のために相続があったことを知り,かつ,その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が義務付けられました。

 

また,「正当な理由」がないのに登記申請義務に違反した場合には,10万円以下の過料の適用対象となります。なお,「正当な理由」の具体的な類型については,通達等であらかじめ明確化する予定とされております。

 

相続登記の義務化は令和6年4月1日に施行されます。そして,相続登記の義務化は,施行日前に相続の開始があった場合についても適用されます(遡及適用)。

 

相続登記は,相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり,相続人が多数いる場合には相続人を特定するために,たくさんの戸除籍謄本を収集する必要があり,手続に時間がかかる場合もあります。相続登記の未了の物件があり,手続にお悩みの場合は,早い時期に司法書士にご相談することをお勧めいたします。

相続まめ知識⑥ ~死亡する順番と相続人の範囲(1)

  2020/02/28    ブログ, 相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

ブログや事務所通信の読者の方から少しでも好意的な反響があったら,ちょっと渋々感を出しながら再開しようと準備していた「相続まめ知識」連載ですが,当然,そのような声は待てど暮らせど届きません。

 

ブログの話題が尽きてきたので,自主的に再開したいと思います(;_;)

 

今回の話題は,「死亡する順番と相続人の範囲」です。

 

 

上の相続関係で,祖父と父が相次いで亡くなってしまったケースを想定してください。

 

ポイントは,先に亡くなったのが祖父なのか父なのかによって,祖父の財産を相続できる人の範囲が異なるという点です。

 

①祖父が先に亡くなったケース

祖父が死亡すると,その相続人は祖母(祖父の妻)と父(祖父の子)です。

その後,祖父の相続について手続きをしないまま父が死亡すると,父が祖父から相続した「祖父の財産を相続する権利」は,母(父の妻)と子(父の子)が,相続人としてそのまま引き継ぎます。

その結果,祖父の相続人は,もともと祖父の相続人だった祖母と,父の死亡により祖父の財産を相続する権利を取得した3人となります。

 

②父が先に亡くなったケース

これに対し,父が先に亡くなり,その後に祖父が死亡した場合は,事情が異なります。

祖父の妻である祖母は問題なく相続人になれますが,本来,祖母と一緒に相続人になる予定だった父は既に死亡しています。そのため,父は祖父の財産を相続する権利がありません。

(権利や義務は,生きている人にしか帰属しません。)

この場合には,以前にも 相続放棄の記事 で触れたのですが,法律には「代襲相続」という規定があり(民法887条2項),それによって相続人の範囲を決定することになります。どのような規定かというと,「既に死亡してしまった人の代わりに,その子が相続する権利を承継する。」というものです。

今回でいうと,既に死亡している父の代わりに,その子が相続する権利を承継します。規定されているのは「その子」だけなので,母(父の妻)は,祖父の相続について権利をもつことはありません。

その結果,祖父の財産を相続する権利は,祖父の妻である祖母と,父の相続権を代襲した2人となります。

 

このように,祖父と父のどちらが先に亡くなるかによって,母が相続人にあたるかどうかが違ってくるのです。

換言すれば,どちらの夫が長生きするかが,この家族における嫁と姑のパワーバランスに絶大な影響を及ぼすということになります。

愛する妻のために,それぞれの夫は是が非でも長生きしなければいけません。

 

では,さらに話を掘り下げます。

非常に稀なケースにはなりますが,祖父と父,両方ともお亡くなりになっているのは明らかだけれども,どちらが先に亡くなったのかが確認できないという場合は,どうなるのでしょうか。

実は,このようなマニアックなケースについても,法律にはきちんと規定があります。

 

どういう規定かというと。。。

 

長くなってしまったので,続きは次回にします。

乞うご期待!

 

相続まめ知識⑤ ~相続◯✕クイズ(3)

  2019/06/14    ブログ, 相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

前回記事で,先輩の高井が6月8日に円山動物園に行ったらしいと知りびっくりです。

私もちょうど同じ日に,子どもを連れてゾウを見に円山動物園に行ってきました。

 

甲第1号証 ゾウの写真

 

私は気づきませんでしたが,鼻くそをほじりながら歩く姿を高井に目撃されていないか,とても心配です。

(もちろん鼻くそをほじってたのは,私じゃなく息子です。)

 

さて,(私にとって)長く厳しかった相続◯✕クイズも,今回が最終問題です。

今までの知識の総まとめのつもりで,取り組んでいただければ幸いです。

前回記事 の経緯から,これまでのクイズの結果をふまえて回答してもろくなことにならないのはお察しかもしれませんが,一応,前回の知識のおさらいをします。

 

知識4 亡くなった人の子どもが相続放棄をした場合,孫は相続人にならないので,孫が自分も相続放棄をする必要はない。

 

 

では,問題です。

 

第5問(超上級)

妻も子もいない人が,若くして多額の負債を抱え死亡した。相続人にあたる父母が相続放棄をした場合,父母の両親(亡くなった人の祖父母)が借金の相続を避けるためには,自らも相続放棄をする必要がある。

◯か✕か。

 

 

正解は。。。

 

 

◯です!

 

なんと,今度は前回記事の第4問とは逆の結論が正解になります∑( ̄ロ ̄|||)

もう訳がわからないですね。

 

 

なぜこのような違いが生じるかの答えは,亡くなった人の祖父母が相続人になる根拠と,亡くなった人の孫が相続人になる根拠の条文の,表現の違いにあります。

 

長文かつ退屈になるのは分かりきっていますが,いちおう司法書士のブログなので,詳しく解説したいと思います。

 

 

相続人になる人の範囲を規定した民法887条,889条は,次のような規定になっています。

 

第887条 被相続人のは,相続人となる。

(以下省略)

 

第889条 次に掲げる者は,第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には,次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一 被相続人の直系尊属。ただし,親等の異なる者の間では,その近い者を先にする。

(以下省略)

 

注目していただきたいのは,889条では「直系尊属」(←親に限らず,祖父母,曾祖父母など,直系かつ目上の親族をすべて含む)となっているのに対し,887条では直系卑属(子に限らず,孫,ひ孫以降を含む)ではなく,「子」(←孫以降は含まない)となっているところです。

 

第4問 で説明しましたが,被相続人の孫は本来,相続人の地位(順位)をもっていません。子に死亡・相続欠格・廃除があったときにだけ,「代襲相続」という特別なルールによって,例外的に相続の権利を与えられます。

そして,子が相続放棄をしたときは,その特別ルールの適用がありません。

 

一方,被相続人の祖父母は,そのような特別ルールではなく,民法889条によって直接,相続人の地位(順位)があります。

そのため,自分よりも親等の近い者(亡くなった人の父母)がいなければ,必然的に相続人になります。

父母の相続放棄があると,父母は最初からいなかったと考えるため(前回の知識3),祖父母は相続人になり,孫の権利や義務を受け継ぎます。

 

そうすると,今回,祖父母が孫の借金の相続を避けるためには,自分も相続放棄をする必要がある,という結論になるのです。

 

ここまでの作文で疲れたので,だいぶ説明をはしょりましたが,ご理解いただけましたでしょうか。

 

 

さて,これまでの相続クイズを通じて,私が一体何をお伝えしたかったかというと,相続,特に相続放棄において,中途半端な知識は命取りになるということです。

(途中,意地の悪い出題をしたことに対する言い訳ではありません)

 

相続放棄は,自分が相続人であることを知ったときから3ヶ月以内という短い期間に行わなければならず,かつ,一度相続放棄をする,またはそのチャンスを逃すと,やり直しやキャンセルは一切できません

 

裁判所に出す申述書の薄っぺらさ(A4用紙2枚)に驚かれることのある相続放棄の手続ですが,一見ただの紙切れに見えるその申述書には,これまでのクイズで触れたようなややこしい法律知識が,みっちりと詰まっている,こともあります。

 

ということで,この記事をお読みいただいている皆さん,特に前回と今回の出題でうっかり引っかかってしまった方は,相続やその放棄の問題に直面した際には,必ず当事務所にご相談いただければ幸いです。

 

相続まめ知識④ ~相続◯✕クイズ(2)

  2019/05/28    ブログ, 相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

前回に引き続き,今回も相続◯✕クイズです。

今回は,前回クイズで得た知識をもとに,さらなる難問にチャレンジしてもらうことになっていました。

ということで,まずは前回の3問の知識をおさらいします。

 

知識1.亡くなった人に子どもがいない場合,その人の親が相続人になる。

 

知識2.亡くなった人に子どもはいたが,既にその人(子ども)が亡くなっていた場合は,その子どものさらに子(孫)が相続人になる。

 

知識3.相続放棄をした人は,その相続において,最初から存在しなかったのと同じように取り扱われることになる。その結果,相続放棄をした人が存在したから相続人ではなかった人(次順位の相続人)が,繰り上がって相続人になる。

 

よろしいでしょうか。

では,これらの知識をフル活用して,次の問題にチャレンジしてみてください。

 

大事なことなのでもう一度。

上記の知識をふまえて,回答してください。

 

 

第4問(超上級)

死亡したおじいさんに大きな借金があったため,父(おじいさんの子)がその相続について家庭裁判所に相続放棄の手続をした。この場合,父の子(おじいさんの孫)は,自分も相続放棄の手続をしなければ,おじいさんの相続人として,おじいさんの借金を負うことになってしまう。

◯か✕か。

 

難しいので,ヒントです。

お父さんが相続放棄をしたということは,お父さんは最初から相続人でなかったことになりますね。そうすると,相続放棄をしたお父さんがいたために相続人でなかった孫は,どうなるでしょうか。

 

 

 

さて,正解は・・・

 

✕です!

残念でした。ひっかけ問題です(ノ∀`)アチャー

 

前回の知識をもとに考えると,父が相続放棄して最初から相続人でなかったことになると,父がいないことで相続人になる父の子(知識2)が,繰り上がって相続人になる(知識3)と思いがちです。そうすると,父の子も相続放棄をする必要があるように思えてきます。

 

しかし,知識2(代襲相続)について定められた民法887条2項は,実はこんな規定になっています。

 

第887条

2 被相続人の子が,相続開始以前に死亡したとき,又は第891条の規定(相続欠格:引用者注)に該当し,若しくは廃除によって,その相続権を失ったときは,その者の子がこれを代襲して相続人となる。

 

つまり,この規定の適用があるのは,被相続人の子が死亡,相続欠格または廃除によって相続権を失ったときだけで,相続放棄で相続権を失ったときは入っていません
そのため,父が相続放棄をした場合にはこの規定が適用されず,そもそも父の子(おじいさんの孫)には相続権が発生しないことになります。

相続権がないのだから,相続放棄をしなくても,おじいさんの借金を背負う心配はないのです。

 

 

皆さん,私の思惑どおり不正解だったでしょうか??

ほどよく私に対する不信感が芽生えたところで,今回はおしまいです。

次回は,◯✕クイズ最後の問題にチャレンジしていただきます。

 

今回,まんまと騙されてしまった方は,そのモヤモヤした気持ちを抱えたまま,次回の記事をお楽しみにお待ちください( ̄∀ ̄)

 

相続まめ知識③ ~相続○✕クイズ(1)

  2019/04/10    相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

今回も,引き続き知って得する相続まめ知識をお届けします。

 

最近,4歳の息子が〇✕クイズにはまったせいで,休日は我が家がクイズ地獄になることにちなみ,今回の記事も〇✕クイズ形式でお送りしたいと思います。

 

では,さっそく問題です。

 

 

第1問(初級)

家族関係によっては,亡くなった人の親も,相続人になることがある。

〇か✕か。

 

 

正解は・・・

〇です。

お子さんのいない方が亡くなった場合,ご両親や祖父母がご健在のときは,それらの方が相続人になります(民法889条)。

自分の子どもが自分の相続人になる,というのは皆さん把握しているかと思いますが,逆のパターンもあるということです。

 

簡単すぎたでしょうか。では次は中級編です。

 

 

第2問(中級)

おじいさんが亡くなった時に,既に父(おじいさんの子)が亡くなっていた場合,父の子(おじいさんの孫)が,父を飛び越えておじいさんの相続人になる。

〇か✕か。

 

 

正解は・・・

〇です。

民法には「代襲相続」というルールがあり,被相続人(亡くなった人)の子が被相続人よりも先に死亡していたときは,その子(被相続人の孫など)が代わりに相続人になることになっています(民法887条2項)。

被相続人に子が複数いたときに,子が生きている家系はおじいさんの遺産をもらえるのに,子が亡くなっている家系は何ももらえないのでは不公平なので,このような規定が設けられたといわれています。

 

ちゃんと正解できましたでしょうか。

それでは,次が今回の最終問題です。

 

 

第3問(上級)

父が亡くなり,母とひとり息子が相続人になる場合,ひとり息子が相続放棄をすると,母だけが父の相続人になる。

〇か✕か。

 

 

正解は・・・

✕です。

以前の記事 にも書きましたが,相続放棄をすると,その人は最初から相続人でなかったことになります。

第1問で触れたとおり,亡くなった方にお子さんがいないと,その両親などが相続人になります。したがって,必ず母だけが相続人になるとはいえません。

 

 

いかがでしたでしょうか。

今回は,相続に詳しい方であれば余裕で正解できるレベルの問題だったかもしれません。

しかし,次回の記事では,今回の3問の知識をふまえて,さらに難しい問題にチャレンジしてもらいたいと思います。

 

どのような内容か,お楽しみにお待ちください!

 

 

相続まめ知識② ~平成30年相続法改正(2)

  2019/03/06    ブログ, 相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

気にかけていたのは間違いなく私だけでしょうが,連載すると見得を切ってしまった手前どうにかしなければと思っていた,相続まめ知識をお送りします。

今回は,昨年決まった相続法の改正点のうち「生存配偶者の居住権」についてです。

 

今回の相続法改正では,新たに「配偶者居住権」「配偶者短期居住権」という2つの権利が創設されました(制度のスタートは2020年4月から)。

どちらも,不動産所有者が亡くなった際に同居していた配偶者の保護を目的にしたものですが,想定している状況や権利の内容に違いがあります。

 

1.配偶者短期居住権

不動産所有者が死亡した後,配偶者が自宅を出て他に移ることを前提に,移転までの猶予期間を保証する制度です。

あくまで移転までの一時的な権利なので,その内容は必要最低限の範囲にとどまっています。

(権利の及ぶ物理的な範囲や不動産の使い方が限られ,登記もできない)

 

これまでも最高裁判所の判断により,生前から被相続人と同居していた方が暫定的に保護される仕組みはありましたが,それだけではカバーできないケースがあることが指摘されていました。

新設された「配偶者短期居住権」には,そのような範囲をカバーして,これまでの判例法理を補強する狙いがあるようです。

 

2.配偶者居住権

不動産所有者の死亡後,配偶者が不動産そのものを相続しなくても,長期間(場合によっては配偶者が亡くなるまで)そのまま住む権利を保証してもらえる制度です。

具体的には,不動産の所有権(所有するものを,売る・使う・壊すなど何でもできる権利)から「居住権」(住む権利)だけを分離し,配偶者が「居住権」だけを相続できるようになりました。

 

長期間続く権利だからか,上記の配偶者短期居住権に比べて保護の範囲が広く,権利を登記することもできます。

 

「居住権」は,完全な所有権よりも財産的な評価が低くなるため,相続財産のなかで不動産の価値がずば抜けて高く,配偶者が不動産を所有権で相続してしまうと他の相続人との配分がアンバランスになるケースなどで,この制度が活用できるといわれています。

 

なお,この「配偶者居住権」を設定するには,

不動産所有者が生前に遺言を作り,その中で配偶者に「居住権」をあげる旨を記載しておく

②不動産所有者が亡くなった後,相続人の全員一致で配偶者が「居住権」を取得することを決定する

③相続人の話し合いがまとまらない場合に,家庭裁判所に設定してもらう(ただし,特に配偶者を保護する必要がある場合に限られる)

の,いずれかをする必要があります。

 

ただ,相続人やその関係者が100%円満な関係であれば,不動産の名義や財産の配分にかかわらず配偶者は安心して住み続けられるわけで,税金対策以外であえてこのような制度を持ち出さなければならないケースには,少なからずトラブルの火種があるのではないかと思います。

 

そのような場合,相続人の全員一致に期待するのではなく,不動産所有者が積極的に遺言を作成しておくべきなのはいうまでもありません。

(なお,ここでは触れませんが,配偶者居住権を設定する遺言の表現には押さえるべき勘所があるため,遺言書の作成は専門家へのご相談をお勧めします。)

 

さらに,相続人間の対立が決定的であれば,居住権をもつ配偶者への嫌がらせ目的で第三者に不動産を売却したりする輩が出てくる可能性もあり,そうなると居住権の登記も必須です。

 

相続に関係し,遺言が必要で,登記もできる。

まさに司法書士にうってつけの制度。

 

配偶者居住権を設定するための遺言など,相続について気になることがある方は,ぜひ,当事務所にご相談ください!

 

相続教室(家族信託編)開催のご報告

  2018/12/18    相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

ペイペイの2割引キャンペーンの直前に新型iPadを購入したと思われる及川が,買い時に一片の悔いを残していやしないかと,気が気ではありません。

(私は私で何を買おうか考えているうちにキャンペーンが終了してしまい,悔いが残った。)

 

さて,去る12月18日(土),札幌市中央区の「かでる2・7」で,当事務所恒例の相続教室を開催しました。

今回も,最新の相続対策の手法である「家族信託」を中心に,事前の相続対策の重要性と,既存の各制度の弱点などについてご案内させていただきました。

 

今回は新しい試みとして,講師ひとりが前に立ってただ話を聞いてもらうのではなく,講師を含めた参加者全員が車座になり,講師の髙井・粒来と司会の及川の掛け合いを交えて進行するという,パネルディスカッションのような形でやってみました。

 

↑こんな感じでした。

参加者をあてて血祭り発言させるような外道なことはしませんでしたので,次回の参加をご検討いただいている方はご安心ください。

 

工夫の甲斐あってか,ご参加いただいた方から熱心なご質問をいただくこともでき,企画側としても,とても楽しく進行させていただくことができました。

年の瀬のご多忙のところ,またお足下の悪いなかご参加いただきました皆様には,この場を借りて厚く御礼を申し上げます。

 

次回開催は4月13日(土)の予定です。

今回は都合が悪く参加できなかったという方も,ぜひ,お楽しみにお待ちください。

 

家族信託教室 開催のご報告

こんにちは。粒来です。

 

去る8月18日(土),札幌市中央区の「かでる2・7」で,恒例の相続教室を開催しました。

(長期間ブログの更新をサボっていたのは,教室の準備で忙しかったからということにしておきます(´д`;))

 

昨年1月に相続教室を始めた当初は,遺言や成年後見など,従来から相続対策としてなじみのある手法を中心に紹介していました。

しかし,皆さん自主的に参加されるだけあって,相続対策については既にある程度の知識をお持ちです。

 

せっかくお越しいただくのだから,何か目新しくオリジナリティのある内容を提供できないものかと考えて,前回から内容を一新し,革新的な相続対策として注目を集めている「家族信託」にスポットを当てた企画にしています。

 

 

講師はいつもの通り,

先輩司法書士の髙井と,

 

私,粒来が務めました。

 

今回も,個人のお客様から不動産会社,金融機関の方など,幅広い年齢層や業種の方にご参加いただくことができ,あらためて家族信託の注目度の高さを感じました。

 

お忙しいところご参加いただきました皆様には,この場を借りて改めてお礼を申し上げます。

 

次回開催は,12月15日(土)13:30~の予定です。

内容は,未定鋭意検討中ですので,お楽しみにお待ちください!

 

相続まめ知識① ~相続放棄の思わぬ落とし穴(後編)

こんにちは。粒来です。

 

前回の続きです。

 

「亡くなった夫には自宅不動産とともに借金がある。不動産も借金も妻である自分が引き継ぐことにしたが,万一にも亡夫の借金のことでひとりっ子の息子には迷惑をかけたくない。そこで,遺産分割協議でなく,息子に相続放棄をしてもらうことにした。」

この場合に息子さんが相続放棄をすると,一体どうなるのか。

 

前回のブログで,相続放棄をすると,被相続人との関係で「最初からその人が存在しなかった」ことになると説明しました。
そうすると,今回,ひとりっ子の息子さんが相続放棄をすると,亡くなったご主人には「財産を相続すべきお子さんが,もともといなかった」ことになります。
つまり,今回の相続は「お子さんのいない夫婦」と同じ取り扱いになります。

 

法律上,お子さんがいる夫婦の場合,相続人の範囲は「配偶者と子」です。
では,お子さんがいない夫婦の場合,残った配偶者だけが相続人になるかというと,そうではありません。この場合,「被相続人の直系尊属(親など)」または「被相続人の兄弟姉妹」が,お子さんに代わり,繰り上がって相続人になるのです。

 

今回,被相続人の奥さんは,プラスもマイナスも,被相続人の財産も自分に集約させようと考えていました。しかし,そのために息子さんの相続放棄という選択をしてしまうと,相続財産を集約させるどころか,一般的に息子さんよりも関係の希薄な,ご主人の親御さんやご兄弟を,相続関係に巻き込むことになってしまうのです。

 

これで新たに相続人になった人達がみな元気で協力的であればまだ救いがありますが,折り合いが悪い方や認知症の方がいて,とても相続について話し合える状況ではなかったら,どうなってしまうでしょうか。

最悪の場合,不動産の名義変更はできず,債権者はご主人の親御さんやご兄弟相手に取り立てを始めるという,当初の思惑とは真逆の結果を招いてしまうことになります。

 

 

相続放棄を検討する際は,3か月という短い熟慮期間もあいまって,どうしても亡くなった方の財産や負債の状況ばかりに目が行きがちです。

しかし,財産ばかりに気を取られて相続関係の検討を怠ると,今回のような落とし穴にはまってしまうことがあるので,注意が必要です。

 

 

ということで,今回は相続放棄の注意点についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。

「生兵法はケガの元。やっぱり相続は司法書士に依頼しよう!」と思っていただけたのであれば,もうけもの幸いです。

 

早くも連載ものにすると宣言したことを後悔し始めていますが,次回以降もネタの続く限り,皆様のためになる相続まめ知識を提供していきたいと思います。

ぜひ,お楽しみにお待ちください!

 

相続まめ知識① ~相続放棄の思わぬ落とし穴(前編)

  2018/05/24    ブログ, 相続・遺言

こんにちは。粒来です。
だんだんブログの話題に困ってきました。
そこで,これから何回かに分けて,数ある相続のルールのうち,特に間違いや勘違いが起こりやすいポイントについてご紹介していきたいと思います。

 

1回目の今回は,『相続放棄』が相続関係に及ぼす影響について。

 

当事務所に寄せられる相続のご相談で,たまに「自分は相続財産を一切受け取るつもりがないので,相続の放棄をしたい。」という方がいらっしゃいます。

ただ,ご相談の結果,そのような方が実際に『相続放棄』の手続を選択されることはそれほど多くありません。

なぜかというと,相続財産を受け取らない方法には,『相続放棄』のほかに『遺産分割協議』というものもあり,ご相談の結果,そちらの手続を選択される方が多いからです。

 

相続放棄は,家庭裁判所に申述をすることにより,被相続人(亡くなった方)との関係で,自分が最初から相続人でなかった(≓存在しなかった)扱いにする手続です。
はじめから相続人でなかったことになるため,その後は相続手続に一切関与する必要がなくなります。また,被相続人のマイナスの財産(借金など)を引き継ぐ義務も,当然になくなります。
相続人間に争いがある場合や,被相続人に財産以上の負債がある場合には有効な方法なのですが,裁判所を通す必要があるので,手続に手間と時間(あとは司法書士費用)がかかります。

 

これに対して遺産分割協議は,自分が相続人であるという前提で,相続人全員の協議により,相続財産の分配方法を決めるものです。この話し合いで自分が相続する財産をゼロにすれば,わざわざ相続放棄をしなくても,相続財産を受け取らないという選択ができます。

遺産分割協議は「話し合いでプラスの財産の分け方を決める」もので,裁判所での手続も不要なので,相続人間で争いがなく,被相続人に大きな負債もなければ,非常に手軽で有効な方法です。

 

 

・・・と,このような説明をすると,だいたいは遺産分割協議で話を進めていくことになるのですが,なかにはこういう方もいらっしゃいます。

 

「亡くなった夫には自宅不動産とともに借金がある。不動産も借金も妻である自分が引き継ぐことにしたが,万一にも亡夫の借金のことでひとりっ子の息子には迷惑をかけたくない。そこで,遺産分割協議でなく,息子に相続放棄をしてもらうことにした。」

 

ところが,このケースで息子さんが相続放棄をすると,場合によってはとんでもないことになってしまいます。

 

どういうことかというと。。。

 

長くなってしまったので,続きは次回にします。

乞うご期待!