スタッフ日記

司法書士のお仕事紹介~債務整理編⑤ 個人再生(その3)~

  2020/08/27    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

本当は今回から自己破産の手続きのご紹介をしようと考えていましたが,人気ドラマの話題に乗っかってみます。

 

TVドラマの「半沢直樹」が大人気ですね。

物語の後半では,銀行に属する主人公が,経営再建をもくろむ航空会社を巡って,政府とバチバチやりあう様が描かれるようです。

 

そこで描かれているのは,(当事務所が日ごろ取り扱っている個人消費者の事案とは,スケールの大きさや複雑さにおいて天地ほどの差がありますが)いってみれば「企業の債務整理」です。

 

そのドラマの中で,政府側の急先鋒,筒井道隆さん演じる乃原弁護士が,非常に憎たらしいと評判のようです。

劇中,債権者に悪態をついたり机を蹴っ飛ばしたりするなど,非常に横柄な人物として描かれている同氏のセリフに,次のようなものがありました。

 

「銀行には一律7割の債権カットをお願いすることにしました。」

「返答のタイミングは、こちらから連絡します。」

 

なんと,債務者である企業から,本来お金を返さなければならない債権者に対し,一方的に債権の減額を要求し,あまつさえ自由な反論も許さないという姿勢。なんという傍若無人ぶり。

ドラマはもちろん,主人公の属する銀行(債権者)視点で進んでいくので,この弁護士の主張はいかにも不条理に映ります。

 

しかし実は,前回までの記事でご紹介した個人再生の手続きにおいては,上記と似たような債務者本位の取り扱いが,ごくごく普通になされています。

 

再生手続において,債権者は原則として一律平等に債権カットを命じられます(民事再生法231条)。そして,債権者が意見を述べる機会は,債権の金額を届け出る場面(同法94条,225条)と,債権カット等についての最終決議の場面(同法230条)の通常2回くらいしかありません。

(当事務所で依頼者の方がよく利用される,小規模個人再生の場合)

 

ドラマではこれから,安易に負債のカットを推し進めようとする乃原弁護士と,よりよい再建案を模索する半沢次長の対決が見られるのでしょう。

私は日ごろ債務者側でしか仕事をすることがないので,反対の債権者側からの視点や,上記の乃原弁護士の執務姿勢には,少し考えさせられるところがありました。

(当たり前ですが,私は机を蹴ったりしません。悪態はたまにつきますが。)

 

借金の負担を減らすのはあくまで手段であり,大事なのは,依頼者に今後,借金に頼らない安定した生活を営んでいってもらうことです。

 

そのためには,これから半沢次長が大ナタを振るうであろう,企業体質の改善(個人の債務整理でいえば,家計収支をはじめとした生活状況の改善といったところでしょうか。)を行うことも,債務の減額と同じくらい重要です。

 

債権者側から債務整理を描いたこのドラマは,私の隣で,思うさま劇中の弁護士への悪口を言っていた妻とは,たぶん違った意味で楽しめました。

 

ただ,あんたの亭主も実はこの弁護士と似たようなことをやってんだぞ,とはついぞ言い出せませんでしたが。。。

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編④ 個人再生(その2)~

  2020/08/11    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

今回の記事では,前回の記事に続き,個人再生の手続きをご紹介します。

今回は,手続きを進めるための主な条件について説明します。

専門的で地味な話になりますが,ご了承ください。

 

【条件1】破産手続開始の原因となる事実の生ずる恐れがあること

 

まず,任意整理(債務額はそのままで分割方法だけを緩和する)での解決が難しいことが必要です。

個人再生では,裁判所が債権者の請求権を半強制的にカットすることになります。

そのため,権利を制限される債権者とのバランス調整のため,任意整理で普通に支払っていける余裕のある人は,個人再生ではなく任意整理を選択することになります。

任意整理の予算(月額)の目安額は,債務総額÷60です。

毎月返済に充てられる金額が上記の目安額を下回る場合はもちろん条件を満たしますが,それだけでなく,たとえば債権者の中に長期の分割払いに協力しない会社がおり,そのせいで予算オーバーになってしまったような場合にも,同様に任意整理での解決は不可能なので,個人再生で進める条件を満たすことになります。

 

また,収支だけでなく,保有する財産の額があまりに多額でないことも必要です。

特に気をつけなければならないのが住宅です。ローンの残債務額が住宅の価値を上回る「オーバーローン」の状態であれば,住宅の資産価値は事実上ゼロなので問題はないのですが,ローンが完済間近の場合や途中で繰り上げ返済をしている場合,ローン残を差し引いても住宅の価値が残る方がいらっしゃいます。

その場合,住宅の評価額とローン残の差額がそのままご本人の財産となるので,注意が必要です。

 

【条件2】継続して又は反復して収入を得る見込みがあること

 

個人再生は,債務が免除されて終わりの破産とは異なり,減額後の債務を分割で支払っていくことが必要です。

そのため,確実に分割払いを行っていけるかどうかという点にも,裁判所の審査が及びます。

 

その点,まずポイントになるのが,現勤務先の勤続年数と雇用形態です。

だいたい勤続5年以上で正社員であれば,会社の経営状態が危ない等の事情がない限り,裁判所に安心してもらえます。

ただ,必ずその条件を満たさなければダメというものではありません。

必要なのは3~5年の期間,毎月決められた額の返済を続けていけることを理屈で説明することです。

したがって,たとえば季節や時期によって繁閑のある仕事であれば,月次だと不安定でも年間通して見れば収支が安定していると説明したり,一般的にみれば不安定な業態・勤務形態だったとしても,過去の実績や,同条件で勤務する同僚の状況から,この先も収入が安定しているであろうことを説明したりします。

そうすることで,非正規雇用や収入に波がある自営業でも,裁判所に個人再生を認めてもらえる可能性が高まります。

 

いかがでしたでしょうか。

分割払いの予算確保のさえできればよい任意整理と,返済がまったくできない場合に行う破産の手続きは,いずれも対象となる方のイメージがしやすいのですが,中間に位置する個人再生は,具体的にどのような方が対象となるのかも,他の2つと比べて分かりにくい印象があります。

また,今回触れた条件以外にも,個人再生を進めるために満たさなければならない条件が数多くあります。

したがって,個人再生で進められるかどうかは,まずは当事務所にご相談ください。

 

次回は,債務整理の最後の切り札,自己破産についてご紹介します。

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編③ 個人再生(その1)~

  2020/07/01    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

前回の記事 では,債務整理のうち,債権者と交渉して支払条件を有利にする,「任意整理」の手続きをご紹介しました。

 

今回は,任意整理では対処しきれない多額の負債がある場合に,裁判所の審査を経て法律の力で債務整理を行う「法的整理」のうち,住宅ローン支払い中の多重債務者の方にとって起死回生の一手となりうる「個人再生」をご紹介します

 

個人再生は,前回紹介した任意整理と,自己破産(まったく支払不能なので,債務を全額免除してもらう)の中間に位置する手続きです。

つまり,そのままの金額では払えないが,債務を一部免除してもらえれば継続的に支払っていける,という人のための整理方法です。

 

具体的には,対象となる負債の総額が500万円以下の場合,最大100万円まで債務を減額してもらうことができ,そのうえで,減額後の債務を原則3年間の分割で支払っていくことになります。

結果,上記の場合は,毎月の返済の予算を約3万円まで抑えることができます。

 

この個人再生の手続きの最大のメリットは,住宅ローンは手続きから除外し,それ以外の債務だけを整理の対象にできることです。

本来は,「債権者平等の原則」により,住宅ローンも他の債権者と同列に,整理の対象にしなければなりません。しかし,そうすると,住宅ローンの返済が滞るため,担保に取られている自宅を金融機関に処分されてしまいます。

 

しかし,個人再生は住宅ローンを手続きから除外できるので,住宅ローンだけは約束どおり支払いを継続し(=自宅を処分されることなく),他の債務だけを減額できます

そのため,住宅ローンの返済に窮し,他社からも借入をしているうちに債務総額が多額になってしまった方などは,特に利用する価値のある手続きとなっています。

 

なお,自己破産との比較でいうと,破産の場合,欠格や登録取消をしなければならなくなる(=仕事を続けられなくなる)資格が数多くありますが,個人再生の場合,そのような制限はありません。

(具体的には,保険外交員警備員などがそれにあたります。また司法書士弁護士もそうです。したがって,数日前に,破産したとニュースになった弁護士法人については,お察しください。

 

前回記事の事例の椎名さん(債務総額400万円,弁済原資月額4万円。司法書士)の場合も,個人再生を利用すれば,毎月の返済を予算の範囲内に抑えることができ,また,司法書士の資格を喪失することもありません。

まさにいいことずくめ。

 

では,この個人再生を利用するための要件は,ということになりますが,これについては,作文が長くなったので,次回の記事でご紹介したいと思います。

 

次回も,お楽しみにお待ちください。

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編② 任意整理~

  2020/05/28    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

突然ですが,問題です。

 

【問題】

椎名さんは,不足した生活費を消費者金融やクレジットカードの借入(年利15%)で填補しているうち,債務総額が400万円まで増えてしまいました。

椎名さんの返済の予算は,毎月4万円です。

椎名さんがこの借金を完済するには,いったい何年かかるでしょうか。

※ この事例はフィクションであり,実際の人物などとは関係がありません。

 

「400万円÷4万円=100回(8年4か月)」と答えたあなたは,すぐにクレジットカード(特にリボ払い)の利用をやめてください。

正解は,「永遠に完済できない」です。

 

借入金に限らず,利息のつく取引で分割弁済を行う場合,ほぼすべてのケースにおいて,支払ったお金はまず元金ではなく,利息や損害金に充当されます。

400万円を年利15%で借り入れた場合,1年で発生する利息は

400万円×15%=60万円

なので,1か月分の利息は,その12分の1(5万円)です。

毎月4万円を返済しても利息分の返済にも満たないので,上記のケースでは,どれだけ払っても借入金は減らず,逆に毎月1万円ずつ借金が増えていくことになります。

 

この八方ふさがりの状況を打開するのが,任意整理といわれる債務整理の方法です。

債権者と交渉して,将来発生する利息(上記の「年利15%」の部分)をカットしてもらい,返済したお金でダイレクトに借入金の元金を減らしていけるようにします。

毎月支払ったお金が借入元金に充当されれば,返済するたびに確実に借入金が減っていくので,完済するまでの見通しを非常に立てやすくなります。

 

他の債務整理の方法と比べた任意整理のメリットは,個別の借入先について,それぞれ整理するかどうかを選択できることです。

債務整理などで複数債権者の調整が必要な場合,すべて債権者を平等に扱うのが基本となりますが(いわゆる「債権者平等の原則」),任意整理はあくまで個別交渉なので,債権者の了承さえ得られれば,そこまで厳密な利害調整は求められません。

 

そのため,住宅ローンはもちろん,自動車ローンなど,債務整理をすると担保物件が引き揚げられてしまうものは介入を避け,それ以外の借金だけを整理する必要があるケースなどでは,任意整理は非常に有効です。

 

ただし,お金を借りる時の契約で,「借入金には利息が付く」「返済が遅れた場合は一括請求の対象になる」と約束してしまっている以上,たとえ司法書士が介入したとしても,その約束を一方的に反故にはできません。こちらの要望にどこまで耳を傾けてもらえるかは,最終的には債権者(借入先)次第となります。

資金に余裕がある大きな会社ほど,こちらの窮状をふまえた大きな譲歩をしてもらえる傾向はあるのですが,必ずそうというわけではなく,テレビCMに竹中有名俳優を起用しているような会社でも,驚くくらい和解の条件が渋いところもあります。

 

債務整理に協力的な債権者の場合は「将来の利息を全額カットし,5年分割まで返済を猶予する」といったところまで譲歩してもらえることが多いため,任意整理ができるかどうかは,毎月の返済の予算として,債務総額を60回(5年)で割った金額を準備できるかがひとつの目安となります。

 

これが,任意整理の手続きです。

だいたいの流れについて,ご理解いただけましたでしょうか。

 

 

ここで,「ん?ちょっと待てよ。」と思った皆さんは勘が鋭い。

 

冒頭の事例で,椎名さんの借入総額は400万円,返済の予算は月額4万円です。

任意整理を行う場合,毎月の返済に必要になると思われる金額は

400万円÷60=約6万7000円

なので,任意整理では完全に予算オーバーです。

 

このような場合,椎名さんは債務整理ができず,経営する司法書士事務所をたたんで夜逃げをするしかなくなってしまうのでしょうか。

※ この事例はフィクションであり,実際の人物などとは関係がありません。

 

 

そんなことはありません。任意整理以外にも,債務整理の選択肢はまだあります。

 

ということで,次回は,予算オーバーで任意整理で進めることが難しい方,特に住宅ローンが残った自宅を守りながら債務整理を進めたい方に非常に有効「個人再生」の手続きをご紹介します。

 

 

椎名所長,失礼をお詫び申し上げますm(_ _)m

 

 

司法書士のお仕事紹介 ~債務整理編① コロナウイルスの影響が生活に及んでしまってる方へ~

  2020/04/30    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

新型コロナウイルスが,世界的に深刻な経済活動の停滞を招いてしまっています。

 

司法書士は,現在,第一線でウイルスに立ち向かっている医療従事者の方のように,ウイルス対策に直接の貢献をすることはできません。

しかし,コロナ禍から派生して起こる法律問題に取り組み,お困りの方の精神的・経済的な負担を減らすことで,ウイルスの二次被害を軽減し,皆様がこの難局を乗り切るお手伝いをすることは可能ではないかと考えています。

 

そこで,今回から何回かに分けて,この先,経済が疲弊することで直面する方が相当数いらっしゃると思われる,借金返済の問題(いわゆる「債務整理」)について記事にしていきます。

 

 

債務整理というと,どうしても計画性がない,お金にルーズなど,マイナスのイメージが先行してしまいますが,経験上,純粋にそのような原因で整理に至る方はそれほど多くありません。むしろ,今回のウイルス禍や失業などのように,ご自身でコントロールすることができないご事情により返済が困難になり,整理のご相談に至る方が多くいらっしゃいます。

 

そのようなご事情等により当初の計画どおりに債務の返済を行うことが難しくなった場合,債務整理を行うことになりますが,その際は, 任意整理, 個人再生, 自己破産 の3つの方法から,ご本人の資力やご事情(特定の債権者だけは支払いを継続しなければいけない,住宅ローン返済中の自宅は残したい など)にあわせ,手続選択を行うことになります。

 

簡単にいうと,任意整理は債権者と交渉して毎月の返済の負担を減らす方法であり,個人再生・自己破産は,裁判所を利用し,法律により債務の総額自体を変えてしまう(大幅に減額したり,ゼロにする)方法です。

 

それぞれの手続きに一長一短はあるのですが,なかには一般に抱かれているイメージと実体が乖離しているものもあり,また,状況が深刻にならないうちに対処した方が手続きの選択肢を広くとることができることから,債務整理は,最終的に依頼に至るかどうかに関わらず,まずは早期にご相談いただくことが重要です。

 

当事務所は,所長が1993年に開業して以来,業務としてのクレサラ問題がクローズアップされるずっと以前から,積極的に経済的に困窮している方の問題に取り組んできました。そのため,現在も一般消費者の方からの相談が非常に多く,債務整理は当事務所の仕事の柱のひとつになっています。

ご相談 は,どのような方法でも無料となっていますので,お困りの方は,ひとりで悩まず,まずは当事務所にご連絡いただければ幸いです。

 

次回からは,上記でご紹介した債務整理の各手続について,順に詳しくご紹介していきたいと思います。

 

 

本記事をご覧になっていただいた方々が,一日も早く不安のない生活に戻られることを,心から祈念いたします。

 

新手のヤミ金融か!?

  2019/01/16    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

今回のブログのタイトル,週刊少年ジャンプの某名作漫画由来だと気づかれた方は,一体どれくらいいらっしゃるでしょうか。

 

さて,突然ですがうちの事務所,ヤミ金融の被害相談が非常に多いです。

札幌やその近郊からはもちろん,東京や静岡,福岡あたりまで,まさに全国津々浦々から相談が来ます。

 

ただ,さすがに本州からの依頼は,すべてお断りしています。

まともな司法書士や弁護士は皆そうだと思いますが,基本的に,面談なしに債務整理事件を受任することはありません。

当事務所にお越しいただくことが難しい地域からの相談者の皆様,あしからずご了承ください。

 

 

ところでヤミ金融といえば,私 粒来が長年,ヤミ金の新手の手口ではないかとひそかににらんでいる,日本の悪しき風習があります。

何かというと,バレンタインデーとホワイトデーのシステムです。

 

先日,朝の情報番組で,「ホワイトデーで最も女性に喜ばれるのは,バレンタインのプレゼントの4倍相当のお返しをあげたとき」というふざけた興味深い話をしていました。

 

バレンタインデーからホワイトデーまではちょうど1か月。

「1ヶ月で4倍」ということは,年利でいうとだいたい4800%です。

うしじま君も裸足で逃げ出す高金利。

 

しかし,残念ながら,ヤミ金融を取り締まる出資法が適用されるのは,原則,「お金の貸し借り」についてだけです。バレンタインとホワイトデーは基本的に物々交換なので(私が知らないだけで,見返りに現金を要求している猛者もいるかもしれませんが),出資法を盾にパートナーのカツアゲおねだりから逃げ切るのは,法律的には難しいのが現状です。

 

一方で,物の売買の名を借りたお金の貸し借りに出資法が適用された例もあるので(先輩司法書士の頑張りで,一昔前に札幌で「金貨金融」として摘発されて全国的にも話題になった),ホワイトデーに調子に乗りすぎてしまった方には,ひょっとすると,刑事罰の制裁が下されることになる,かもしれません。

 

ただ,さすがにホワイトデーに奥様や交際相手に高額なプレゼントをせびられたときには,司法書士に相談しないで,自分でなんとかしてください。
札幌近郊からのご相談でも,お断りです(^_^;)

 

昔の借金が突然請求された!

  2016/11/16    債務整理

こんにちは,高井です。

過去のスタッフ日記でも紹介しましたが,

11月3日(木),札幌司法書士会で,

 

過去の借金の請求で困っている方のための!

「昔の借金110番」

 

という電話相談会を開催しました。

 

債務整理の相談を受けていると,確かに,

「債権回収会社(サービサー)から,突然,昔の借金を請求された,どのように対応したらよいだろうか」という相談を受ける機会は,多少ではありますが,増えているような気がします。

 

今回,電話相談会を開催するにあたって,債権回収会社(サービサー)による請求の特徴を,私なりに分析したところ,次の3つの特徴があげられるかなと思いますので,ご紹介させていただきます。

 

【その1】

大量に譲り受けた債権について支払請求をするので,中には消滅時効期間が完成しているものもある。

 

サービサーが譲り受けた債権は,商事債権(商法522条)がほとんどであり,債権の消滅時効期間は5年となります。

しかし,譲り受けた債権の中には,もともとの債権が信用金庫や労働金庫,個人のサラ金業者の場合もあります。この場合は,「商行為によって生じた債権」に該当せず,消滅時効期間は10年となります。

したがって,サービサーから請求を受けても,5年経っているから時効で解決できるというわけではなく,もともとの債権者がどこなのかというのを確認することが重要となります。

また,サービサーや貸金業者からの督促状には,「連絡がない場合は法的手続きをとる」と記載があるのに,「和解に応じる用意がある」「〇〇万円に減額する」などの記載がみらることがあります。

これを見て,サービサーに直接連絡をしてしまうと,一部返済などの時効中断措置をとられることがありますので,とにかく,請求書が届いたら,司法書士や弁護士に相談することが大切です。

 

【その2】

サービサーが提起する大量の譲受債権請求事件(裁判手続)の中には,債務者対抗要件に関し,証拠不十分なものも存在する。

 

サービサーが債務者に対し,「自分が債権者である(債権譲渡の対抗要件を具備した)」と主張するには,各債権譲渡それぞれについて,債務者に対し,債権譲渡の通知をしたことを立証しなければなりません。中には,債権譲渡が3度も4度もされているものもあり,この場合は,すべての債権譲渡について,債権譲渡の通知をしたことを証明する必要があります。古い債権の場合,サービサーも中間の債権譲渡が適式にされたことを証明する書類を承継していないケースも散見されます。

したがって,名前も聞いたことのない債権者から請求を受けた場合は,「確かに借りたかもしれない」とすぐに返済をせずに,すべての債権譲渡について,債権譲渡通知が適式にされたかを確認することが重要です。

 

【その3】

裁判手続は,支払督促の手続をとることが多い。

 

サービサーは,大量の譲受債権を請求する関係上,手数料が半額で,書類審査だけで債務名義を取得できる支払督促の手続きをとることが一般的です。

この支払督促という裁判所からの書類を受け取っても,焦る必要はなく,「異議」を出すと支払督促は無効になり,自動的に通常の裁判に移行します。通常の裁判では,裁判期日が指定されて,法廷でサービサーの請求に理由があるのかどうかが判断されることになります。

ただし,「異議」をだすには2週間という期間制限がありますので,支払督促を受け取ったら,まずは司法書士や弁護士に相談するのが良いかと思います。

また,支払督促は,オンラインシステムを使って申し立てることができます。この場合,支払督促は,裁判所の封書では届かず,縦長のハガキで支払督促が送達されます。ハガキの周りを切り取って中を見るようになっていて,中に書いてある文字も小さいため,まさか,裁判所からの書類が送られてきたと思っていない方もいらっしゃるので,注意が必要です。

 

 

 

 

 

昔の借金110番

  2016/11/13    債務整理

こんにちは,高井です。

私が所属する札幌司法書士会では,

 

過去の借金の請求で困っている方のための!

「昔の借金110番」

 

という電話相談会を,11月3日(木)に開催し,私も担当者として相談会に参加しました。

 

普段,債務整理の相談を受けていると,

すでに消滅時効が完成して支払いを免れるはずの昔の借金について,貸金業者や債権回収会社(サービサー)から請求を受けて,支払ってしまった,というケースを見かけることがあります。

 

また,親が亡くなって3カ月以上経過してから借金の存在が発覚した場合に,その時点からでも「相続放棄」を検討する余地があるにもかかわらず,債権者の請求どおりに支払っているケースも見かけることがあります。

 

いずれも,司法書士や弁護士に事前に相談していれば,消滅時効の援用や相続放棄の手続きをとることで,支払いを免れることができたケースです。

このような昔の借金が元になった悩みやトラブルについて,相談会を開催しました。

 

債権回収会社からの請求書が届いた場合に,業者に連絡をとる前に,請求書の内容をよく見てください。

 

・元本は数十万円なのに,損害金は100万円を超えている

・最後に借りた日,返した日が,5年以上前である

・「連絡がない場合は法的手続きをとる」と記載しているのに,「和解に応じる用意がある」「〇〇万円に減額する」などの記載がある

 

このような場合,債権が時効により消滅している可能性が高いです。

消滅時効援用の通知を送ることで,借金を支払う必要がなくなります。

ただし,せっかく消滅時効の期間が経過していても,借金があることを認めてしまうと(例えば1000円でも支払ってしまう),消滅時効の手続きをとることができなくなってしまいます。

したがって,長期間支払いをストップしていた業者から請求書が届いた場合,業者に連絡をとる前に,まずは司法書士や弁護士に相談をしてください。

2015年1月8日 旧ブログ掲載記事


ヤミ金と司法書士


 

こんにちは。椎名です。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

数年前に比べ、いわゆる「ヤミ金」の被害は大分少なくなってきました。

ヤミ金とは、いろいろ種類があるのですが大雑把に言えば、

数万円程度の少額を、出資法違反の年数百%から数千%の利率で貸し付け、

返すことが出来なくなると本人や周囲に脅しの電話等をして

取立をする犯罪者のことです。

ほとんどのヤミ金は、携帯電話の番号しか分かりません。

 

弊事務所では、10年以上前からヤミ金事件を扱っているのですが、

不法原因給付なのでヤミ金には一切支払いをしない

という原則で事件を解決しています。

少しでも支払うと、まだ金を取れると考えて

ヤミ金の嫌がらせがひどくなる場合もあります。

 

司法書士の事務所によってはヤミ金事件を扱わない事務所があります。

 

簡裁訴訟代理権のない司法書士事務所で、登記事件に特化している場合は、

それはそれでひとつの行き方かと思います。

 

簡裁訴訟代理権がある事務所で、ヤミ金事件を扱わない事務所については、

私は好ましく思いません。

せっかく簡裁訴訟代理権を取得しているのに

なんでヤミ金の被害者のために使わないのでしょうか。

少額で、司法書士の代理権の範囲で、困っている人のためになる、

という司法書士にぴったりの仕事だと思います。

まして、難しい論点があるわけでもない。

ヤミ金業者はいわゆる反社会的勢力の人間が多いので、

話すのや嫌がらせがいやだからでしょうか。

それとも、お金にならない仕事だからでしょうか。

司法書士の資格を取得して、

通常の仕事をすればある程度恵まれた報酬を頂くことが出来ます。

だからこそ、いやな仕事やお金にならない仕事もしなければいけないと思います。

 

また、ヤミ金事件を扱っていても報酬が高かったり、

事件の処理の方法が不適切と思われる事務所があります。

 

報酬を1件につき5万円も6万円も取る事務所があります。

ヤミ金に返済して完済になる金額が3万円なのに、

報酬が5万円てどういうことなのでしょう。

そんなところに依頼する人がいるのかと思ったら、実際にいる様で、

司法書士事務所からの報酬の取り立てに困っていると

相談を受けることがあります。

司法書士の報酬は自由化されているとは言え、

本末転倒な報酬額に怒りと笑いを禁じ得ません。

困っている人につけ込むな馬鹿!と言いたいです。

 

そう言う事務所に限って、

ヤミ金に対して支払う和解をしていたりします。

 

ヤミ金事件をどう扱っているかによって、

その事務所の体質がある程度分かると思います。