労働事件について ~未払残業代の請求②~
こんにちは、髙井です。
会社に対して、未払残業代等の請求を行うと、会社側からのよくある反論として、
「『〇〇手当』は、定額払いの残業代であり、すでに残業代は支払済みだから、未払賃金は存在しない。」と主張されるケースがあります。
この点について、会社が主張する「〇〇手当」が残業代の支払いとして認められるためには、雇用契約書や就業規則などで、その手当は残業代として支給している旨を明確に規定する必要があります。
したがって、会社側から、上記のような定額残業代として支払済みであるとの主張がされた場合は、就業規則などの定めをもとに、その手当の性質を検討して、割増賃金の請求を行うことになります。
一部の会社では、手当は支給しているけど、就業規則等で明確に定められていないこともあり、この場合は、「〇〇手当」が支払われていても、残業代等を請求する余地は十分にあります。
手当が支給されている場合、相談者が雇用契約書や就業規則等を持っていると、相談段階で、より正確な未払の残業代等を計算することができます。しかし、退職後に相談を受ける場合は、相談者が契約書や就業規則を持っていないことも多いので、その場合は、会社に対して、就業規則を開示するように請求することになります。
常時10人以上の労働者を使用する会社は、労働基準法上、就業規則を必ず作成しなければならないことになっています。したがって、10人以上の労働者が在籍する会社については、就業規則が作成されていることが大半ですから、この場合、会社に対して、就業規則の開示請求を行えば、就業規則の確認をすることができます。
なお、「〇〇手当」が、定額残業代の性質を有するとなった場合でも、定額残業代が実際の割増賃金よりも不足するのであれば、もちろん、その差額分を請求することができます。