スタッフ日記

相続登記(不動産の名義変更)の義務化がスタート 令和6年4月1日開始

  2022/03/13    相続・遺言

こんにちは,司法書士の髙井和馬です。

 

民法・不動産登記法等の改正により,相続登記が義務化されることになりました。
相続登記とは,土地や建物,マンションなどの所有者が亡くなった際に相続人の名義に変えるために法務局へ所有権移転登記の申請手続をすることです。いわゆる,不動産の名義変更と言われているものです。

 

これまで,権利に関する登記(不動産の名義変更など)は,基本的に当事者に対して公法上の申請義務を負わせていませんでした。相続登記の申請が義務とされていないため,すぐに相続登記をしないケースが多く,長い期間を経ることにより,相続関係者の数も増え,土地の所有者が容易に特定できなくなるという事態が生じていました。所有者が分からないと売買などの取引をすることができず,再開発や公共事業の支障ともなっていました。

 

このような所有者不明土地の問題を解消する方法として相続登記の義務化が議論されるようになり,今般の法改正となりました。

 

相続登記が義務化されたことにより,相続登記の申請に期限が定められ,相続や遺贈により不動産を取得した相続人に対し,自己のために相続があったことを知り,かつ,その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が義務付けられました。

 

また,「正当な理由」がないのに登記申請義務に違反した場合には,10万円以下の過料の適用対象となります。なお,「正当な理由」の具体的な類型については,通達等であらかじめ明確化する予定とされております。

 

相続登記の義務化は令和6年4月1日に施行されます。そして,相続登記の義務化は,施行日前に相続の開始があった場合についても適用されます(遡及適用)。

 

相続登記は,相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり,相続人が多数いる場合には相続人を特定するために,たくさんの戸除籍謄本を収集する必要があり,手続に時間がかかる場合もあります。相続登記の未了の物件があり,手続にお悩みの場合は,早い時期に司法書士にご相談することをお勧めいたします。