こんにちは。粒来です。
ブログや事務所通信の読者の方から少しでも好意的な反響があったら,ちょっと渋々感を出しながら再開しようと準備していた「相続まめ知識」連載ですが,当然,そのような声は待てど暮らせど届きません。
ブログの話題が尽きてきたので,自主的に再開したいと思います(;_;)
今回の話題は,「死亡する順番と相続人の範囲」です。
上の相続関係で,祖父と父が相次いで亡くなってしまったケースを想定してください。
ポイントは,先に亡くなったのが祖父なのか父なのかによって,祖父の財産を相続できる人の範囲が異なるという点です。
①祖父が先に亡くなったケース
祖父が死亡すると,その相続人は祖母(祖父の妻)と父(祖父の子)です。
その後,祖父の相続について手続きをしないまま父が死亡すると,父が祖父から相続した「祖父の財産を相続する権利」は,母(父の妻)と子(父の子)が,相続人としてそのまま引き継ぎます。
その結果,祖父の相続人は,もともと祖父の相続人だった祖母と,父の死亡により祖父の財産を相続する権利を取得した妻と子の3人となります。
②父が先に亡くなったケース
これに対し,父が先に亡くなり,その後に祖父が死亡した場合は,事情が異なります。
祖父の妻である祖母は問題なく相続人になれますが,本来,祖母と一緒に相続人になる予定だった父は既に死亡しています。そのため,父は祖父の財産を相続する権利がありません。
(権利や義務は,生きている人にしか帰属しません。)
この場合には,以前にも 相続放棄の記事 で触れたのですが,法律には「代襲相続」という規定があり(民法887条2項),それによって相続人の範囲を決定することになります。どのような規定かというと,「既に死亡してしまった人の代わりに,その子が相続する権利を承継する。」というものです。
今回でいうと,既に死亡している父の代わりに,その子が相続する権利を承継します。規定されているのは「その子」だけなので,母(父の妻)は,祖父の相続について権利をもつことはありません。
その結果,祖父の財産を相続する権利は,祖父の妻である祖母と,父の相続権を代襲した子の2人となります。
このように,祖父と父のどちらが先に亡くなるかによって,母が相続人にあたるかどうかが違ってくるのです。
換言すれば,どちらの夫が長生きするかが,この家族における嫁と姑のパワーバランスに絶大な影響を及ぼすということになります。
愛する妻のために,それぞれの夫は是が非でも長生きしなければいけません。
では,さらに話を掘り下げます。
非常に稀なケースにはなりますが,祖父と父,両方ともお亡くなりになっているのは明らかだけれども,どちらが先に亡くなったのかが確認できないという場合は,どうなるのでしょうか。
実は,このようなマニアックなケースについても,法律にはきちんと規定があります。
どういう規定かというと。。。
長くなってしまったので,続きは次回にします。
乞うご期待!