スタッフ日記

昔の借金が突然請求された!

  2016/11/16    債務整理

こんにちは,高井です。

過去のスタッフ日記でも紹介しましたが,

11月3日(木),札幌司法書士会で,

 

過去の借金の請求で困っている方のための!

「昔の借金110番」

 

という電話相談会を開催しました。

 

債務整理の相談を受けていると,確かに,

「債権回収会社(サービサー)から,突然,昔の借金を請求された,どのように対応したらよいだろうか」という相談を受ける機会は,多少ではありますが,増えているような気がします。

 

今回,電話相談会を開催するにあたって,債権回収会社(サービサー)による請求の特徴を,私なりに分析したところ,次の3つの特徴があげられるかなと思いますので,ご紹介させていただきます。

 

【その1】

大量に譲り受けた債権について支払請求をするので,中には消滅時効期間が完成しているものもある。

 

サービサーが譲り受けた債権は,商事債権(商法522条)がほとんどであり,債権の消滅時効期間は5年となります。

しかし,譲り受けた債権の中には,もともとの債権が信用金庫や労働金庫,個人のサラ金業者の場合もあります。この場合は,「商行為によって生じた債権」に該当せず,消滅時効期間は10年となります。

したがって,サービサーから請求を受けても,5年経っているから時効で解決できるというわけではなく,もともとの債権者がどこなのかというのを確認することが重要となります。

また,サービサーや貸金業者からの督促状には,「連絡がない場合は法的手続きをとる」と記載があるのに,「和解に応じる用意がある」「〇〇万円に減額する」などの記載がみらることがあります。

これを見て,サービサーに直接連絡をしてしまうと,一部返済などの時効中断措置をとられることがありますので,とにかく,請求書が届いたら,司法書士や弁護士に相談することが大切です。

 

【その2】

サービサーが提起する大量の譲受債権請求事件(裁判手続)の中には,債務者対抗要件に関し,証拠不十分なものも存在する。

 

サービサーが債務者に対し,「自分が債権者である(債権譲渡の対抗要件を具備した)」と主張するには,各債権譲渡それぞれについて,債務者に対し,債権譲渡の通知をしたことを立証しなければなりません。中には,債権譲渡が3度も4度もされているものもあり,この場合は,すべての債権譲渡について,債権譲渡の通知をしたことを証明する必要があります。古い債権の場合,サービサーも中間の債権譲渡が適式にされたことを証明する書類を承継していないケースも散見されます。

したがって,名前も聞いたことのない債権者から請求を受けた場合は,「確かに借りたかもしれない」とすぐに返済をせずに,すべての債権譲渡について,債権譲渡通知が適式にされたかを確認することが重要です。

 

【その3】

裁判手続は,支払督促の手続をとることが多い。

 

サービサーは,大量の譲受債権を請求する関係上,手数料が半額で,書類審査だけで債務名義を取得できる支払督促の手続きをとることが一般的です。

この支払督促という裁判所からの書類を受け取っても,焦る必要はなく,「異議」を出すと支払督促は無効になり,自動的に通常の裁判に移行します。通常の裁判では,裁判期日が指定されて,法廷でサービサーの請求に理由があるのかどうかが判断されることになります。

ただし,「異議」をだすには2週間という期間制限がありますので,支払督促を受け取ったら,まずは司法書士や弁護士に相談するのが良いかと思います。

また,支払督促は,オンラインシステムを使って申し立てることができます。この場合,支払督促は,裁判所の封書では届かず,縦長のハガキで支払督促が送達されます。ハガキの周りを切り取って中を見るようになっていて,中に書いてある文字も小さいため,まさか,裁判所からの書類が送られてきたと思っていない方もいらっしゃるので,注意が必要です。