こんにちは。司法書士の粒来です。
今回は前回記事に引き続き,商業登記申請にかかるお金のお話です。
しかも今回は,負担しても一文の得にもならない「罰金」についてです。
前回記事 は,商業登記は数件に分けて申請するよりまとめて1件で申請したほうがお得になるという話でした。
そうすると,商業登記は放っておけるだけ放っておいて,どうしても必要に迫られた時にまとめてやるのがいちばんお得なんじゃないかと考えてしまう方がいらっしゃるかもしれません。
しかし,そうは問屋が卸しません。
商業登記についての最初の記事 で,商業登記制度の目的は会社に対する世間一般の信用の維持にあると書きました。
そうすると,商業登記記録の内容は常に正しくなければならないということになります。
登記の情報がいつ時点のものか分からない古くて不正確なものかもしれないとなると,そんな登記を信用して取引をして大丈夫なのかという話になってしまいます。
そのため,商業登記では法律上,登記事項に変更が生じてから2週間以内に登記をすることが義務づけられており(会社法第915条),それを怠った場合は100万円以下の過料に処せられることになっています(会社法第976条)。
特にやっかいなのが,平成18年の会社法施行により,任期が2年から最長10年まで伸長された,株式会社の役員の変更登記です。
任期を伸ばせば登記の回数が減ってコスト削減につながるため,少なくとも私が設立登記を担当した株式会社はほとんど,役員の任期を最長の10年に設定しています。しかし,そうすると今度は,利益を上げるために商売に集中しなければならない事業者の方が,10年に一度しか来ない登記のタイミングを忘れず管理できるのかという問題が生じます。
(誤解されがちですが,役員変更は他の登記と違い,メンバーに変更がなくても任期更新の登記をしなければなりません。これも落とし穴の一つです。)
現状,登記を怠ったことについて実際に過料のペナルティが発動されるのは,よりによって一番引っかかりやすいこの役員変更の登記だけといわれています。
実際は2週間を過ぎたからといって直ちに過料に処される運用にはなっていないようですが,年単位で放置するとさすがに問題になってきます。
過料が来る場合,登記を忘れていた年数×1~3万円くらいの金額になることが多いようです。
したがって,もし5年間登記するのを忘れてしまうと,最悪15万円くらいの過料が来る計算になります。
これはちょっと忘れるわけにはいきません。
じゃあ,どうすればよいかという話ですよね。
毎度しつこくて大変恐縮ですが。。。
やっぱり,登記は司法書士に任せてください。
ということに尽きます。
当事務所の場合,ふつうの役員変更登記にかかる司法書士費用(実費を除く)はせいぜい2~3万円です。
この費用で,法務局に対する登記申請はもちろん,別途作成しなければならない株主総会議事録や株主リストなどの作成も行います。ご希望があれば,次回の登記前のタイミングでリマインドを差し上げることも可能です。
2~3万円という金額を軽んじるつもりはありませんが,この金額で10年間,余計な登記や罰金のことを考えず本業に集中できると考えれば,費用対効果は悪くないのではないかと思います。
いかがでしょうか。
だんだんと,商業登記は司法書士に任せようという気持ちになってきましたでしょうか。
ぜひそのお気持ちをそのままに,今すぐ定款と登記事項証明書を握りしめて当事務所にご相談いただければ幸いです。
なお,本記事を見て,「結局ポジショントークかよ,やっぱり司法書士は信用できねぇ。登記なんて自分でできらぁ!過料くらい払ってやらぁ!」とかお考えになったひねくれ者剛胆な会社経営者の方。
私は登記を忘れたことに対するペナルティが,罰金だけで済むなんて一言も言っていません。
登記懈怠が度を過ぎてしまうとどうなるか。
次回の記事は,もっと面倒で恐ろしい「みなし解散」についてです。
どのような記事か,お楽しみにお待ちくださいΨ(`∀´)Ψヒヒヒ Ψ(`∀´)Ψヒヒヒ