スタッフ日記

司法書士のお仕事紹介~商業登記編① 総論~

  2021/02/22    ブログ, 登記

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

今回からは,司法書士の取り扱う仕事のうち,「商業登記」の業務についてご紹介していきます。

 

簡易裁判所での訴訟業務について代理権が与えられて20年近くが経ちますが,依然として「司法書士=登記の専門家」というイメージが非常に強くあるように思います。

 

事実,取り扱う事件全体の件数をみても,司法書士の主戦場が圧倒的に登記業務であることは間違いないのですが,そこで一般の方がイメージされる登記業務とは,主に不動産についてのもの(自宅の新築,住宅ローンの借り換えや完済など)ではないでしょうか。

しかし実は,司法書士が取り扱う登記には,不動産登記だけでなく,商業登記というものもあります。

 

商業登記とは,ざっくりいうと会社や法人に関する登記です。

その会社が何を事業目的とするもので,どこにあり,誰が役員なのかなどは,すべて法務局に届け出て一般に公示する制度となっています。

(一度は名前を聞いたことのある有名な会社についても,法務局に行けば,誰でも登記されている情報を確認することができるようになっています。)

 

地獄の受験生時代のことはあまり思い出したくありませんが,司法書士の資格試験でも,実体法である会社法とあわせると,マークシートの択一問題が16問(70問中)+記述式試験が1問と,会社や商業登記についての問題は試験の多くのウェイトを占めており,それだけ司法書士制度上も,商業登記業務は重視されています。

 

商業登記が不動産登記と大きく違うのは,登記をすることが義務とされていることにあります。

不動産登記制度の目的は,「国民の権利の保全を図り,もって取引の安全と円滑に資すること」(不動産登記法第1条)とされています。

私人の権利保護が主な目的なので,登記による保護を受けるかどうかはある程度自由(自己責任)となっています。

 

一方で,商業登記制度の目的は,「商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資すること」(商業登記法第1条)なっており,主な目的は公益的なもの(会社などに対する世間一般の信用)となっています。

そこで,会社に関する登記をすることは当事者の義務とされており,後日別の記事で詳しく触れますが,登記をしないことに対し,過料(罰金みたいなもの)まで準備されています。

 

そんな商業登記制度について,今回から,何回か連載をしていきたいと思います。

 

今回の記事は制度に関する総論的な説明だったため,どうしても無味乾燥な内容になってしまいました。

しかし,次回からは,登記をしないことに対するペナルティ知って得する登録免許税の節約方法など,少しでも実践的で興味をもっていただける内容にしようと考えています。

 

どのような記事か,お楽しみにお待ちください。