こんにちは。粒来です。
先日のブログ記事 で,書面を郵送するアナログのやりとりが多いと書いた裁判手続きですが,現在,着々とIT化の準備が進められているようです。
当面は書面のやりとりを郵送ではなくインターネット経由で行うシステムを構築する方針のようですが,将来はもしかすると,出廷できない代理人司法書士のホログラム映像が法廷に出現するような,スターウォーズさながらの裁判手続が実現するやもしれません。
しかし,今回のブログで私が声高にPRしたいのは,日本中の司法書士がおそらく全員一致で,裁判なんかいいから早くオンライン化されてほしいと思っている,別のシステムのお話です。
何かというと,これ↓です。
不動産(固定資産)の評価証明書。
スターウォーズから急にしみったれた話になったなどと思わないでください。
不動産登記は,申請と同時に法務局に税金(登録免許税)を納付しなければならないことになっています。そしてこの登録免許税,不動産の固定資産評価額に税率をかけて計算される場面が多くあります。
このようなケースで法務局が不動産の評価を誤ると,税金を取りっぱぐれる事態になりますが,当然そんなことはあってはなりません。
そうすると,法務局は,管轄の不動産の評価額を網羅的に把握しているのだろうと考えるのがふつうです。
しかし,そんなことは全くありません。
札幌司法書士会の管内にある約60の市町村のうち,法務局が個別の不動産の評価額を把握しているのは,実は12市町村だけです。
では,残りの市町村の不動産のときにどうしているかというと,登記申請の関係者(当事者)が,事前に自治体の窓口で不動産の評価についての証明書を発行してもらい,それを登記申請の際に法務局に提出するという,極めてアナログな形が取られています。
しかも,この固定資産評価証明書,登記が独占業務であるにもかかわらず,司法書士が職権で取得することは認められていません(怒)。
個人情報保護の観点から,私人が所有する不動産の評価額は,慎重に取り扱うべきとのことのようです。
理屈は分かるのですが,個人情報も何も,全国民に公開されている登記簿を取れば,その不動産の所有者はおろか,その所有者がいつ,どこの金融機関でいくらのローンを組んだかまで一目瞭然です。
不動産の評価額だけ死守したところで頭隠して尻隠さずだと思うのですが,残念ながら今のところこの運用が改まる兆しはありません。
裁判のように大がかりなものではなく,自治体で既に管理しているデータを,法務局や関係者に開示するだけのシステムです。頑張ればすぐにでもできそうな気がするのですが,オンライン化の恩恵を受けるのがほとんど司法書士だけだからでしょうか,まったく話が進む気配がありません。
1日も早くオンライン化が実現されることで,申請書類をすべて揃えた後で評価証明書の取得忘れに気づき,恥を忍んで依頼者に委任状をもらう粗忽な司法書士(私とは言っていません(; ̄3 ̄)~♪)がいなくなることを,心から願っています。