こんにちは。粒来です。
前回の記事 は,不動産決済の場で平静を装っている司法書士が内心実は神経をすり減らしているというお話でしたが,今回は,そんな不動産決済の場で,実際にあった怖い話です。
前回,司法書士は不動産取引において「人」「物」「意思」の確認をしているとご紹介しました。
このうち「人」の確認は,一般的に,当事者ご本人しか持ち得ない身分証の原本の提示を受け,疑わしい点がないか確認する方法で行います。
しかし,不動産は高額なので,時折,売却の権限がないのに売主になりすまし,売買代金を騙し取ってやろうと企む輩が出現します(積水ハウス事件が記憶に新しい,いわゆる「地面師詐欺」)。
司法書士も,明らかな書類の偽造を見逃したりすると当然ペナルティーを受けるため,見た目が本物っぽいか以外にも,何カ所か確認のポイントを設けて身分証などをチェックしています。
そんな中,ある不動産取引の場で,売主さんからご本人確認資料として運転免許証の提示を受けました。
提示された免許証がゴールドでなく青色だったので,この人はいったいどんな交通違反をしたんだろうと,本人確認とは全然関係のない余計なことを考えていたところ,ふと,免許証の有効期限が交付の5年後であることに気がつきました。
運転免許証をお持ちの方はご存じかと思いますが,一般的に,ゴールド免許は更新が5年おきで済みますが,青色の免許証の更新は5年ではなく3年です。
したがって,青色の免許証の有効期限は,ふつうは3年間のはずなのです。
冒頭にも書きましたが,不動産決済の場で,司法書士は基本的に平静を装うものです。
例にもれず私も平静を装っていましたが,内心は?の嵐です。
これがもし偽造免許証の詐欺事案だったとしたら,関係当事者が大きな損害を被ってしまいます。
そして,こんなケアレスミスを看過した私にも,責任がないはずがありません(←ここが重要)。
結局この時は,その場でインターネットを検索し,警察署のウェブサイトに『過去5年間に軽微な違反(3点以下)1回の方は,青色免許証でも有効期間が5年間になる』と紹介されているのを発見しました。
それとなく売主さんに事情を聞いてみたところ,上記の情報と同旨のお話をされたので,ほっと一安心し,不動産決済はつつがなく終わりました。
(ドタバタしたのは,私の内心だけ)
司法書士の仕事は不動産登記の専門知識だけでなく,こんな一般常識も必要なのかと痛感した1日でした。
以上,今回は不動産決済で実際にあった怖い話をご紹介しました。
最後までお読みいただいた方の中には,「司法書士はその程度のエピソードで怖いとか騒いでいるのか。」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし,実際,司法書士人生で最もビビった時の話は,とてもじゃないですがこんなブログで笑い話にできるような話ではなかったので,書けなかっただけです。
お察しいただければ幸いです。
|ω・`)チラッ