こんばんは,高井です。
先日,札幌司法書士会の研修会で,平成18年から平成27年までの裁判件数の推移について,お話を聴く機会がありました。
地方裁判所においても,簡易裁判所においても,通常訴訟の件数は減少傾向にあるのに対し,労働審判の申立件数は,増加傾向にあるということでした。
平成18年(労働審判がスタートした年)は,労働審判の件数は,877件でしたが,その後,平成20年には2052件,平成23年には3589件,平成27年には3679件と,年々増加をしております。
訴訟件数自体は減る中,労働審判の件数は増加しており,今,労働問題が年々増加していることが裁判件数の推移から見ても分かります。
この労働審判というのは,どのような手続かといいますと,労働問題を解決するための設けられた調停手続です。
手続にも特徴があり,3回以内の期日で審理が終結するため,スピーディーに問題解決を図ることができます。
手続を実施するのも,裁判官だけでなく,労働問題に詳しい民間の方が2名加わり,合計3人で手続を進めていきます。そのため,裁判のように,かたちにとらわれずに柔軟に手続きが進行していきます。
さらに,民事調停と異なり,話がまとまらない場合は,審判というかたちで裁判所の判断が示されます。そのため,紛争解決の実効性があると言われています(民事調停では,話がまとまらないと調停不成立となり,何の判断も示されません)。
司法書士は,この労働審判手続において,労働審判申立書を作成するというかたちで支援しております。当事務所では,単に申立書を作成するだけでなく,審判期日にも同行して,一緒になって問題解決を図っております。
依頼者の中には,裁判所に行くのも初めてという方もいらっしゃいますが,皆さん,真正面から問題に向き合って,ご自身の力で適切に問題解決をされています。
この労働審判という手続は,上記のとおり,民間の方2名が手続に参加されるため,通常の裁判と違ったかたちで,かたちにとらわれずに柔軟に手続が進んでいきます。
また,ほとんどのケースでは,給料を払わない会社,不当解雇をした会社の側に問題があることが多く,労働者のペースで期日が進んでいくので,依頼者本人が手続きに関与していくにも,大きな負担はありません。
労働審判を利用した依頼者のお話を聞くと,裁判所が自分の話をきちんと聞いてくれたということで,手続自体の満足度も高いように感じております。