スタッフ日記

サンタさんと資本主義

  2020/12/03    ブログ

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

今回も自己破産の記事を書いて,年内で債務整理のお仕事紹介の連載を締めようと思っていましたが,時事ネタで印象深い出来事がありました。

時期的に今回が今年最後の記事になるかもしれないので,予定を変更します。

 

私事ですが,粒来家には子どもが3人います(6歳,4歳,1歳)。

しかも,何の因果か3人そろって12月生まれなので,クリスマス→お正月と,そうでなくてもお子様のお楽しみイベントが続く年末年始,我が家の子ども達には空前のバブルが訪れます。

(そして,もちろん親はその分不景気になります。)

 

それらのイベントの中で最もやっかいなのが,どこのご家庭もそうだと思いますが,サンタさんがプレゼントをくれるクリスマスです。

サンタさんは,どこからともなく子どもがほしがっているものを察知してピンポイントで届けてくれる至高の存在です。自前の工場でおもちゃを生産しているという説もあります。

したがって,サンタさんの辞書に「品薄・在庫切れ」の文字はありません(たぶん)。

 

そのため,例年この時期になると,可能な限り面倒くさいものを希望されないように巧みに子ども達を洗脳説得しているのですが,ついに今年,年貢の納め時がやってきてしまいました。

巣ごもりの影響もあって爆発的にヒットし,コラボ商品はことごとく即日完売,全国の子どもと転売ヤーを虜にした,「鬼滅の刃」です。

 

クリスマスシーズンが始まる前から嫌な予感はしていたのですが,やはりここに来て,聞いた瞬間に入手困難とわかるコラボおもちゃを希望し始めました。

しかも言い出したのが長男。もう6歳です。去年までなら謎のロジックで完封して事なきを得ることができたかもしれませんが,誰に似たのかもう言い出したら聞きません。

 

結果,ほしいならもっと早く言ってよと言いたい気持ちをぐっとこらえ,サンタは(今年はインターネット上を)奔走することになります。

 

しかし当然,どこのおもちゃ店にも商品はありません。

フリマサイトなどでは,定価の2倍近い金額で出品されていたりするのですが,そういうのはなんとなく買うのが憚られます。

 

そんななか,とある筋から,自宅から少し離れた住宅街にあるおもちゃ屋さんが穴場との情報を得たので,行ってみることにしました。

 

ナビを頼りに着いた先は,おもちゃの卸と小売りを営んでいる小さなお店です。

ショッピングモールに入った大資本のおもちゃ店とは違った慎ましいたたずまいで,しかもロケーションが,なんと刑務所の目の前です。

道路一本挟んで子どもの夢と大人の現実が対峙している様に,人生の無常を感じずにはいられません。

 

店主がレジ下の隠しボタンを押した途端におもちゃの棚がひっくり返って,瞬時に銃火器のラインナップに早変わりしたりしないだろうかと,失礼なことを考えながらお店の軒先をくぐると,ぱっと目につく場所に,なんと息子の欲しがっていたおもちゃが陳列してあります。

 

しかも驚きなのがその値段。定価よりも1割以上値引かれて販売されています。

ネットでは足下を見るような高値で取引されている商品です。定価で販売しても飛ぶように売れるのは明らかなのに,です。

 

お店には,店主と思われる年配のご夫婦と,ご夫婦の息子さんでしょうか(違ったらごめんなさい),私と同年輩の男性がいました。私の抱えているおもちゃを見るなり,「それ,どこに行ってもなかったでしょ。」とフレンドリーに話しかけてくれます。

 

お目当てのものを見つけた高揚感もあいまって,確かにどこにも在庫がなかったことや,クリスマスなので在庫切れの言い訳ができないことなどをとりとめもなく話してしまいましたが,お店の人は皆嬉しそうに聞いてくれます。

 

ああ,この人達は本当に子どもとおもちゃが好きでこの仕事をしているんだろうなと思いました。

(本物のサンタさんなんじゃないかと思った。)

 

コロナ禍の影響もあって,時代はEコマース全盛です。

それらは,指一本で買い物ができるすばらしい利便性がある一方で,売れ行きにより価格が自動的に変動するアルゴリズムを採用したり,買い占めや転売が横行するなど,やり方が極めて合理的かつ商業主義的で,そこに上記のおもちゃ屋さんのような,信念や矜恃が差し挟まる余地は少ないように思います。

 

それが資本主義だと言われればそのとおりなのですが,私は単純なので,目先の利潤よりも仕事に対する熱意を重んじた結果であろう,今回の出来事がとても心に響きました。

あらためて,人対人の仕事のなんたるかを教えてもらえた気がします。

 

そういうわけで,今後,我が家では子どもがおもちゃをほしがった時には,まずは必ずそのお店に連れて行こうと心に決めました。

 

本記事をご覧になっていただいた方で,ご興味のある方も,ぜひ一度,そのおもちゃ屋さん(下記)に足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

誓って言いますが,ステマではありません。笑

 

有限会社たけだ 札幌店

札幌市東区伏古3条5丁目4-22