スタッフ日記

司法書士のお仕事紹介~債務整理編⑥ 自己破産(その1)~

  2020/10/02    ブログ

こんにちは。粒来です。

 

今回からは,債務整理の奥の手,自己破産の制度についてご紹介します。

 

自己破産と聞いて,本記事をお読みの方はどのような印象をお持ちでしょうか?

専門家として債務整理の相談を数多く受けていると,これまでご紹介した整理の方法のうち,世間のイメージと実体との間に最も差があると思うのが,自己破産の手続きです。

 

ありがちな誤解としては,

 

①保有するすべての財産を処分されてしまう

→ 確かに,一定以上の財産があれば,換価され,債権者に配当金として支払われることになります。

しかし,生活や教育に必要な家財道具・学習用品、当面の生活に必要な額の現金などは,法律上,破産しても保有を続けられるルールになっており,その結果,まったく財産を失わずに済む方も多くいらっしゃいます。

また,問題になるのはあくまで破産する方自身の財産のみで,他人の財産については,たとえ家族のものでも,原則として債権者から守られます。

 

②勤務先に,破産した事実が知られてしまう

→ 職場が債権者(給料の前借りをしているなど)でない限り、裁判所から勤務先に破産の事実が通知されることはありません。

破産は財産と負債の調整作業であり,そのどちらとも関係ない勤務先に連絡をしても意味がないからです。

 

③公民権がはく奪されてしまう

→ これもガセネタです。戸籍に破産の事実が記載されることはありませんし,選挙権もなくなりません。

保険外交員や警備員など,業法上,制限がかかる職業(資格)はありますが,それらはごく一部の職業で,かつ,そういった業法上の制限も裁判所が破産の手続に取りかかっている数ヶ月の間です。

 

といったものがあるでしょうか。

 

極端な話,破産をしたら人間失格,人生終了みたいなイメージを抱かれている方もいらっしゃるように思います。

しかし,当たり前ですが,国が法律で認めている制度に,そんな賭博黙示録カイジみたいな展開はありません。

 

破産は,あくまでリセット&リスタートの制度です。

 

破産をする方の中には,相談・依頼の直前にもなると,返済のために新たな借り入れをし、返済のために仕事をする状態になっている方が多くいらっしゃいます。

生活の中心が借金の返済になってしまい,せっかく働いて得たお金も,借入金の返済とギリギリの生活費ですべてなくなってしまいます。自分のお金なのに,使い途に選択の余地はありません。

そのような生活を続けることが,非常に精神的にこたえるものだというのは,想像に難くありません。

 

借金を帳消しにすることで,そのような過酷な状況から脱出してもらい,ふたたび建設的に人生を歩んでもらう契機を設けるというのが,破産の制度なのです。

 

いかがでしたでしょうか。

破産についてのネガティブなイメージを,少しは払拭できましたでしょうか?

 

今回の記事でアメをばらまいたところで,次回の記事では,そうはいっても手続上,債権者に通さなければならない筋の話など,少し厳しめの話(ムチ)をしたいと思います。

 

どのような記事か,お楽しみにお待ちください。( -`ω-)+ノシ

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編⑤ 個人再生(その3)~

  2020/08/27    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

本当は今回から自己破産の手続きのご紹介をしようと考えていましたが,人気ドラマの話題に乗っかってみます。

 

TVドラマの「半沢直樹」が大人気ですね。

物語の後半では,銀行に属する主人公が,経営再建をもくろむ航空会社を巡って,政府とバチバチやりあう様が描かれるようです。

 

そこで描かれているのは,(当事務所が日ごろ取り扱っている個人消費者の事案とは,スケールの大きさや複雑さにおいて天地ほどの差がありますが)いってみれば「企業の債務整理」です。

 

そのドラマの中で,政府側の急先鋒,筒井道隆さん演じる乃原弁護士が,非常に憎たらしいと評判のようです。

劇中,債権者に悪態をついたり机を蹴っ飛ばしたりするなど,非常に横柄な人物として描かれている同氏のセリフに,次のようなものがありました。

 

「銀行には一律7割の債権カットをお願いすることにしました。」

「返答のタイミングは、こちらから連絡します。」

 

なんと,債務者である企業から,本来お金を返さなければならない債権者に対し,一方的に債権の減額を要求し,あまつさえ自由な反論も許さないという姿勢。なんという傍若無人ぶり。

ドラマはもちろん,主人公の属する銀行(債権者)視点で進んでいくので,この弁護士の主張はいかにも不条理に映ります。

 

しかし実は,前回までの記事でご紹介した個人再生の手続きにおいては,上記と似たような債務者本位の取り扱いが,ごくごく普通になされています。

 

再生手続において,債権者は原則として一律平等に債権カットを命じられます(民事再生法231条)。そして,債権者が意見を述べる機会は,債権の金額を届け出る場面(同法94条,225条)と,債権カット等についての最終決議の場面(同法230条)の通常2回くらいしかありません。

(当事務所で依頼者の方がよく利用される,小規模個人再生の場合)

 

ドラマではこれから,安易に負債のカットを推し進めようとする乃原弁護士と,よりよい再建案を模索する半沢次長の対決が見られるのでしょう。

私は日ごろ債務者側でしか仕事をすることがないので,反対の債権者側からの視点や,上記の乃原弁護士の執務姿勢には,少し考えさせられるところがありました。

(当たり前ですが,私は机を蹴ったりしません。悪態はたまにつきますが。)

 

借金の負担を減らすのはあくまで手段であり,大事なのは,依頼者に今後,借金に頼らない安定した生活を営んでいってもらうことです。

 

そのためには,これから半沢次長が大ナタを振るうであろう,企業体質の改善(個人の債務整理でいえば,家計収支をはじめとした生活状況の改善といったところでしょうか。)を行うことも,債務の減額と同じくらい重要です。

 

債権者側から債務整理を描いたこのドラマは,私の隣で,思うさま劇中の弁護士への悪口を言っていた妻とは,たぶん違った意味で楽しめました。

 

ただ,あんたの亭主も実はこの弁護士と似たようなことをやってんだぞ,とはついぞ言い出せませんでしたが。。。

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編④ 個人再生(その2)~

  2020/08/11    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

今回の記事では,前回の記事に続き,個人再生の手続きをご紹介します。

今回は,手続きを進めるための主な条件について説明します。

専門的で地味な話になりますが,ご了承ください。

 

【条件1】破産手続開始の原因となる事実の生ずる恐れがあること

 

まず,任意整理(債務額はそのままで分割方法だけを緩和する)での解決が難しいことが必要です。

個人再生では,裁判所が債権者の請求権を半強制的にカットすることになります。

そのため,権利を制限される債権者とのバランス調整のため,任意整理で普通に支払っていける余裕のある人は,個人再生ではなく任意整理を選択することになります。

任意整理の予算(月額)の目安額は,債務総額÷60です。

毎月返済に充てられる金額が上記の目安額を下回る場合はもちろん条件を満たしますが,それだけでなく,たとえば債権者の中に長期の分割払いに協力しない会社がおり,そのせいで予算オーバーになってしまったような場合にも,同様に任意整理での解決は不可能なので,個人再生で進める条件を満たすことになります。

 

また,収支だけでなく,保有する財産の額があまりに多額でないことも必要です。

特に気をつけなければならないのが住宅です。ローンの残債務額が住宅の価値を上回る「オーバーローン」の状態であれば,住宅の資産価値は事実上ゼロなので問題はないのですが,ローンが完済間近の場合や途中で繰り上げ返済をしている場合,ローン残を差し引いても住宅の価値が残る方がいらっしゃいます。

その場合,住宅の評価額とローン残の差額がそのままご本人の財産となるので,注意が必要です。

 

【条件2】継続して又は反復して収入を得る見込みがあること

 

個人再生は,債務が免除されて終わりの破産とは異なり,減額後の債務を分割で支払っていくことが必要です。

そのため,確実に分割払いを行っていけるかどうかという点にも,裁判所の審査が及びます。

 

その点,まずポイントになるのが,現勤務先の勤続年数と雇用形態です。

だいたい勤続5年以上で正社員であれば,会社の経営状態が危ない等の事情がない限り,裁判所に安心してもらえます。

ただ,必ずその条件を満たさなければダメというものではありません。

必要なのは3~5年の期間,毎月決められた額の返済を続けていけることを理屈で説明することです。

したがって,たとえば季節や時期によって繁閑のある仕事であれば,月次だと不安定でも年間通して見れば収支が安定していると説明したり,一般的にみれば不安定な業態・勤務形態だったとしても,過去の実績や,同条件で勤務する同僚の状況から,この先も収入が安定しているであろうことを説明したりします。

そうすることで,非正規雇用や収入に波がある自営業でも,裁判所に個人再生を認めてもらえる可能性が高まります。

 

いかがでしたでしょうか。

分割払いの予算確保のさえできればよい任意整理と,返済がまったくできない場合に行う破産の手続きは,いずれも対象となる方のイメージがしやすいのですが,中間に位置する個人再生は,具体的にどのような方が対象となるのかも,他の2つと比べて分かりにくい印象があります。

また,今回触れた条件以外にも,個人再生を進めるために満たさなければならない条件が数多くあります。

したがって,個人再生で進められるかどうかは,まずは当事務所にご相談ください。

 

次回は,債務整理の最後の切り札,自己破産についてご紹介します。

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編③ 個人再生(その1)~

  2020/07/01    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

前回の記事 では,債務整理のうち,債権者と交渉して支払条件を有利にする,「任意整理」の手続きをご紹介しました。

 

今回は,任意整理では対処しきれない多額の負債がある場合に,裁判所の審査を経て法律の力で債務整理を行う「法的整理」のうち,住宅ローン支払い中の多重債務者の方にとって起死回生の一手となりうる「個人再生」をご紹介します

 

個人再生は,前回紹介した任意整理と,自己破産(まったく支払不能なので,債務を全額免除してもらう)の中間に位置する手続きです。

つまり,そのままの金額では払えないが,債務を一部免除してもらえれば継続的に支払っていける,という人のための整理方法です。

 

具体的には,対象となる負債の総額が500万円以下の場合,最大100万円まで債務を減額してもらうことができ,そのうえで,減額後の債務を原則3年間の分割で支払っていくことになります。

結果,上記の場合は,毎月の返済の予算を約3万円まで抑えることができます。

 

この個人再生の手続きの最大のメリットは,住宅ローンは手続きから除外し,それ以外の債務だけを整理の対象にできることです。

本来は,「債権者平等の原則」により,住宅ローンも他の債権者と同列に,整理の対象にしなければなりません。しかし,そうすると,住宅ローンの返済が滞るため,担保に取られている自宅を金融機関に処分されてしまいます。

 

しかし,個人再生は住宅ローンを手続きから除外できるので,住宅ローンだけは約束どおり支払いを継続し(=自宅を処分されることなく),他の債務だけを減額できます

そのため,住宅ローンの返済に窮し,他社からも借入をしているうちに債務総額が多額になってしまった方などは,特に利用する価値のある手続きとなっています。

 

なお,自己破産との比較でいうと,破産の場合,欠格や登録取消をしなければならなくなる(=仕事を続けられなくなる)資格が数多くありますが,個人再生の場合,そのような制限はありません。

(具体的には,保険外交員警備員などがそれにあたります。また司法書士弁護士もそうです。したがって,数日前に,破産したとニュースになった弁護士法人については,お察しください。

 

前回記事の事例の椎名さん(債務総額400万円,弁済原資月額4万円。司法書士)の場合も,個人再生を利用すれば,毎月の返済を予算の範囲内に抑えることができ,また,司法書士の資格を喪失することもありません。

まさにいいことずくめ。

 

では,この個人再生を利用するための要件は,ということになりますが,これについては,作文が長くなったので,次回の記事でご紹介したいと思います。

 

次回も,お楽しみにお待ちください。

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編② 任意整理~

  2020/05/28    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

突然ですが,問題です。

 

【問題】

椎名さんは,不足した生活費を消費者金融やクレジットカードの借入(年利15%)で填補しているうち,債務総額が400万円まで増えてしまいました。

椎名さんの返済の予算は,毎月4万円です。

椎名さんがこの借金を完済するには,いったい何年かかるでしょうか。

※ この事例はフィクションであり,実際の人物などとは関係がありません。

 

「400万円÷4万円=100回(8年4か月)」と答えたあなたは,すぐにクレジットカード(特にリボ払い)の利用をやめてください。

正解は,「永遠に完済できない」です。

 

借入金に限らず,利息のつく取引で分割弁済を行う場合,ほぼすべてのケースにおいて,支払ったお金はまず元金ではなく,利息や損害金に充当されます。

400万円を年利15%で借り入れた場合,1年で発生する利息は

400万円×15%=60万円

なので,1か月分の利息は,その12分の1(5万円)です。

毎月4万円を返済しても利息分の返済にも満たないので,上記のケースでは,どれだけ払っても借入金は減らず,逆に毎月1万円ずつ借金が増えていくことになります。

 

この八方ふさがりの状況を打開するのが,任意整理といわれる債務整理の方法です。

債権者と交渉して,将来発生する利息(上記の「年利15%」の部分)をカットしてもらい,返済したお金でダイレクトに借入金の元金を減らしていけるようにします。

毎月支払ったお金が借入元金に充当されれば,返済するたびに確実に借入金が減っていくので,完済するまでの見通しを非常に立てやすくなります。

 

他の債務整理の方法と比べた任意整理のメリットは,個別の借入先について,それぞれ整理するかどうかを選択できることです。

債務整理などで複数債権者の調整が必要な場合,すべて債権者を平等に扱うのが基本となりますが(いわゆる「債権者平等の原則」),任意整理はあくまで個別交渉なので,債権者の了承さえ得られれば,そこまで厳密な利害調整は求められません。

 

そのため,住宅ローンはもちろん,自動車ローンなど,債務整理をすると担保物件が引き揚げられてしまうものは介入を避け,それ以外の借金だけを整理する必要があるケースなどでは,任意整理は非常に有効です。

 

ただし,お金を借りる時の契約で,「借入金には利息が付く」「返済が遅れた場合は一括請求の対象になる」と約束してしまっている以上,たとえ司法書士が介入したとしても,その約束を一方的に反故にはできません。こちらの要望にどこまで耳を傾けてもらえるかは,最終的には債権者(借入先)次第となります。

資金に余裕がある大きな会社ほど,こちらの窮状をふまえた大きな譲歩をしてもらえる傾向はあるのですが,必ずそうというわけではなく,テレビCMに竹中有名俳優を起用しているような会社でも,驚くくらい和解の条件が渋いところもあります。

 

債務整理に協力的な債権者の場合は「将来の利息を全額カットし,5年分割まで返済を猶予する」といったところまで譲歩してもらえることが多いため,任意整理ができるかどうかは,毎月の返済の予算として,債務総額を60回(5年)で割った金額を準備できるかがひとつの目安となります。

 

これが,任意整理の手続きです。

だいたいの流れについて,ご理解いただけましたでしょうか。

 

 

ここで,「ん?ちょっと待てよ。」と思った皆さんは勘が鋭い。

 

冒頭の事例で,椎名さんの借入総額は400万円,返済の予算は月額4万円です。

任意整理を行う場合,毎月の返済に必要になると思われる金額は

400万円÷60=約6万7000円

なので,任意整理では完全に予算オーバーです。

 

このような場合,椎名さんは債務整理ができず,経営する司法書士事務所をたたんで夜逃げをするしかなくなってしまうのでしょうか。

※ この事例はフィクションであり,実際の人物などとは関係がありません。

 

 

そんなことはありません。任意整理以外にも,債務整理の選択肢はまだあります。

 

ということで,次回は,予算オーバーで任意整理で進めることが難しい方,特に住宅ローンが残った自宅を守りながら債務整理を進めたい方に非常に有効「個人再生」の手続きをご紹介します。

 

 

椎名所長,失礼をお詫び申し上げますm(_ _)m

 

 

遺言が今後より一層,あなたにとって必要な備えになります。

  2020/05/16    ブログ

司法書士の及川です。

 

今回の新型コロナウイルスの影響により,司法書士業務との関係において,主に高齢者の方々との面会が難しくなっており,迅速に法的サービスを提供できない事態に直面しております。

 

特に遺言作成の現場では,既に本人に遺したい言葉の内容を詳細に表現する体力がない場合も見受けられ,時間的に切迫しているケースも少なくありません。「後で落ち着いてから考えよう」では手遅れとなってしまうこともあるのが法律の世界。やはり,事前に対策をしておくことが何より大切だな,と改めて感じております。

 

あなたが本当に司法書士を必要としたときは,果たしてどうなっているでしょうか。

 

というより,あなたの人生が現在どのような局面にあろうとも,遺言を予め準備しておくことは,常に重要なことです。近時,国を挙げて遺言の利用の促進を図る方向での改正や新たな制度の創設がされていることも,予め遺言を作成しておくことが如何に重要であるかを示しています。

 

① 自筆証書遺言の方式要件が緩和されました。
これまでの自筆証書遺言は,遺言書の全文,日付及び氏名を自書(自ら書くことをいいます。)して,これに印を押さなければ,有効な遺言とはなりませんでした。
これが法改正により,平成31年1月13日以降は,自筆証書によって遺言をする場合でも,例外的に,自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録を添付するときは,その目録については自書しなくてもよいことになりました。

 

② 自筆証書遺言の保管制度が始まります。
自筆証書遺言の問題点として,せっかく遺言を作成しても,保管方法によっては遺言を見つけてもらえなかったり,破棄・隠匿されるかもしれないなどの心配がありました。
そこで,令和2年7月10日から,法務局において自筆証書遺言書を保管する制度が始まることになりました。

 

今回の機会に是非,遺言の作成をご検討してみてください。

 

自筆証書遺言であれば,低額で,気軽に作成することができます。遺言の書き方などについて,ご不明点がある場合は,当事務所がサポート致しますのでご連絡ください。

司法書士のお仕事紹介 ~債務整理編① コロナウイルスの影響が生活に及んでしまってる方へ~

  2020/04/30    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

新型コロナウイルスが,世界的に深刻な経済活動の停滞を招いてしまっています。

 

司法書士は,現在,第一線でウイルスに立ち向かっている医療従事者の方のように,ウイルス対策に直接の貢献をすることはできません。

しかし,コロナ禍から派生して起こる法律問題に取り組み,お困りの方の精神的・経済的な負担を減らすことで,ウイルスの二次被害を軽減し,皆様がこの難局を乗り切るお手伝いをすることは可能ではないかと考えています。

 

そこで,今回から何回かに分けて,この先,経済が疲弊することで直面する方が相当数いらっしゃると思われる,借金返済の問題(いわゆる「債務整理」)について記事にしていきます。

 

 

債務整理というと,どうしても計画性がない,お金にルーズなど,マイナスのイメージが先行してしまいますが,経験上,純粋にそのような原因で整理に至る方はそれほど多くありません。むしろ,今回のウイルス禍や失業などのように,ご自身でコントロールすることができないご事情により返済が困難になり,整理のご相談に至る方が多くいらっしゃいます。

 

そのようなご事情等により当初の計画どおりに債務の返済を行うことが難しくなった場合,債務整理を行うことになりますが,その際は, 任意整理, 個人再生, 自己破産 の3つの方法から,ご本人の資力やご事情(特定の債権者だけは支払いを継続しなければいけない,住宅ローン返済中の自宅は残したい など)にあわせ,手続選択を行うことになります。

 

簡単にいうと,任意整理は債権者と交渉して毎月の返済の負担を減らす方法であり,個人再生・自己破産は,裁判所を利用し,法律により債務の総額自体を変えてしまう(大幅に減額したり,ゼロにする)方法です。

 

それぞれの手続きに一長一短はあるのですが,なかには一般に抱かれているイメージと実体が乖離しているものもあり,また,状況が深刻にならないうちに対処した方が手続きの選択肢を広くとることができることから,債務整理は,最終的に依頼に至るかどうかに関わらず,まずは早期にご相談いただくことが重要です。

 

当事務所は,所長が1993年に開業して以来,業務としてのクレサラ問題がクローズアップされるずっと以前から,積極的に経済的に困窮している方の問題に取り組んできました。そのため,現在も一般消費者の方からの相談が非常に多く,債務整理は当事務所の仕事の柱のひとつになっています。

ご相談 は,どのような方法でも無料となっていますので,お困りの方は,ひとりで悩まず,まずは当事務所にご連絡いただければ幸いです。

 

次回からは,上記でご紹介した債務整理の各手続について,順に詳しくご紹介していきたいと思います。

 

 

本記事をご覧になっていただいた方々が,一日も早く不安のない生活に戻られることを,心から祈念いたします。

 

相続まめ知識⑥ ~死亡する順番と相続人の範囲(2)

  2020/04/07    ブログ

 

こんにちは。粒来です。

 

前回の記事 は,相次いで相続が発生した場合,お亡くなりになった順番により相続人の範囲に違いが出るというお話でした。

では,亡くなった順番が不明の場合はどうなるのか,というのが今回のお話です。

 

このケースについて,民法には次の規定があります。

 

第32条の2

数人の者が死亡した場合において,そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは,これらの者は,同時に死亡したものと推定する。

 

どちらが先に亡くなったかが不明の場合,両者が同時に亡くなったものと推定されます。

 

そして同時死亡の場合,片方が死亡した時には他方も死亡していることになるので,両名ともに,お互いの相続人にはなりません。

その結果,このケースでは前回の②と同じく,父は祖父の相続人にならず,祖母のほかは,父の相続権を代襲した子だけが,祖父の相続人になります。

 

まとめると,祖父の相続人になるのは,

●まず祖父が死亡,次に父が死亡したケース(前回の①)

→ 祖母・母・子

●まず父が死亡,次に祖父が死亡したケース(前回の②)

→ 祖母・子

●どちらが先に死亡したかが不明のケース(今回)

→ 祖母・子

 

ということになります。

 

このように,法律で定められた相続人の範囲は,亡くなるタイミングがずれただけで変わってしまう面倒なものです。

今回はシンプルな事例でしたが,実際の事案では,数次相続や代襲相続が何回も重なって,じっくり検討しないと誰が誰の相続人なのかさえ分からないものも多くあります。

 

そのように事態が複雑になってしまってから司法書士に依頼すると,当然ですが時間も費用も余分にかかります。

 

相続発生後すぐに着手することで,手続きにかかるコストを大きく減らすことができるのです。

 

 

なお,追い討ちをかけるようで恐縮ですが,このままいくと相続関係が複雑になってしまいそうな方や,既に手に負えず投げやりになってしまっている方に悲報です。

 

早ければ来年から,相続登記が罰則つきで義務化される見通しです

ついに,年貢の納め時がやってきます。

 

いざそうなってからバタバタしないよう,また少しでも傷が浅くて済むように,お心当たりの方は,すぐに当事務所にご相談ください。

 

相続まめ知識⑥ ~死亡する順番と相続人の範囲(1)

  2020/02/28    ブログ, 相続・遺言

こんにちは。粒来です。

 

ブログや事務所通信の読者の方から少しでも好意的な反響があったら,ちょっと渋々感を出しながら再開しようと準備していた「相続まめ知識」連載ですが,当然,そのような声は待てど暮らせど届きません。

 

ブログの話題が尽きてきたので,自主的に再開したいと思います(;_;)

 

今回の話題は,「死亡する順番と相続人の範囲」です。

 

 

上の相続関係で,祖父と父が相次いで亡くなってしまったケースを想定してください。

 

ポイントは,先に亡くなったのが祖父なのか父なのかによって,祖父の財産を相続できる人の範囲が異なるという点です。

 

①祖父が先に亡くなったケース

祖父が死亡すると,その相続人は祖母(祖父の妻)と父(祖父の子)です。

その後,祖父の相続について手続きをしないまま父が死亡すると,父が祖父から相続した「祖父の財産を相続する権利」は,母(父の妻)と子(父の子)が,相続人としてそのまま引き継ぎます。

その結果,祖父の相続人は,もともと祖父の相続人だった祖母と,父の死亡により祖父の財産を相続する権利を取得した3人となります。

 

②父が先に亡くなったケース

これに対し,父が先に亡くなり,その後に祖父が死亡した場合は,事情が異なります。

祖父の妻である祖母は問題なく相続人になれますが,本来,祖母と一緒に相続人になる予定だった父は既に死亡しています。そのため,父は祖父の財産を相続する権利がありません。

(権利や義務は,生きている人にしか帰属しません。)

この場合には,以前にも 相続放棄の記事 で触れたのですが,法律には「代襲相続」という規定があり(民法887条2項),それによって相続人の範囲を決定することになります。どのような規定かというと,「既に死亡してしまった人の代わりに,その子が相続する権利を承継する。」というものです。

今回でいうと,既に死亡している父の代わりに,その子が相続する権利を承継します。規定されているのは「その子」だけなので,母(父の妻)は,祖父の相続について権利をもつことはありません。

その結果,祖父の財産を相続する権利は,祖父の妻である祖母と,父の相続権を代襲した2人となります。

 

このように,祖父と父のどちらが先に亡くなるかによって,母が相続人にあたるかどうかが違ってくるのです。

換言すれば,どちらの夫が長生きするかが,この家族における嫁と姑のパワーバランスに絶大な影響を及ぼすということになります。

愛する妻のために,それぞれの夫は是が非でも長生きしなければいけません。

 

では,さらに話を掘り下げます。

非常に稀なケースにはなりますが,祖父と父,両方ともお亡くなりになっているのは明らかだけれども,どちらが先に亡くなったのかが確認できないという場合は,どうなるのでしょうか。

実は,このようなマニアックなケースについても,法律にはきちんと規定があります。

 

どういう規定かというと。。。

 

長くなってしまったので,続きは次回にします。

乞うご期待!

 

司法書士のお仕事紹介 ~不動産登記編(番外編)~

  2020/01/29    ブログ

こんにちは。粒来です。

 

先日のブログ記事 で,書面を郵送するアナログのやりとりが多いと書いた裁判手続きですが,現在,着々とIT化の準備が進められているようです。

当面は書面のやりとりを郵送ではなくインターネット経由で行うシステムを構築する方針のようですが,将来はもしかすると,出廷できない代理人司法書士のホログラム映像が法廷に出現するような,スターウォーズさながらの裁判手続が実現するやもしれません。

 

しかし,今回のブログで私が声高にPRしたいのは,日本中の司法書士がおそらく全員一致で,裁判なんかいいから早くオンライン化されてほしいと思っている,別のシステムのお話です。

 

何かというと,これ↓です。

 

不動産(固定資産)の評価証明書。

スターウォーズから急にしみったれた話になったなどと思わないでください。

 

不動産登記は,申請と同時に法務局に税金(登録免許税)を納付しなければならないことになっています。そしてこの登録免許税,不動産の固定資産評価額に税率をかけて計算される場面が多くあります。

このようなケースで法務局が不動産の評価を誤ると,税金を取りっぱぐれる事態になりますが,当然そんなことはあってはなりません。

そうすると,法務局は,管轄の不動産の評価額を網羅的に把握しているのだろうと考えるのがふつうです。

 

しかし,そんなことは全くありません。

札幌司法書士会の管内にある約60の市町村のうち,法務局が個別の不動産の評価額を把握しているのは,実は12市町村だけです。

 

では,残りの市町村の不動産のときにどうしているかというと,登記申請の関係者(当事者)が,事前に自治体の窓口で不動産の評価についての証明書を発行してもらい,それを登記申請の際に法務局に提出するという,極めてアナログな形が取られています。

 

しかも,この固定資産評価証明書,登記が独占業務であるにもかかわらず,司法書士が職権で取得することは認められていません(怒)

 

個人情報保護の観点から,私人が所有する不動産の評価額は,慎重に取り扱うべきとのことのようです。

理屈は分かるのですが,個人情報も何も,全国民に公開されている登記簿を取れば,その不動産の所有者はおろか,その所有者がいつ,どこの金融機関でいくらのローンを組んだかまで一目瞭然です。

不動産の評価額だけ死守したところで頭隠して尻隠さずだと思うのですが,残念ながら今のところこの運用が改まる兆しはありません。

 

裁判のように大がかりなものではなく,自治体で既に管理しているデータを,法務局や関係者に開示するだけのシステムです。頑張ればすぐにでもできそうな気がするのですが,オンライン化の恩恵を受けるのがほとんど司法書士だけだからでしょうか,まったく話が進む気配がありません。

 

1日も早くオンライン化が実現されることで,申請書類をすべて揃えた後で評価証明書の取得忘れに気づき,恥を忍んで依頼者に委任状をもらう粗忽な司法書士(私とは言っていません(; ̄3 ̄)~♪)がいなくなることを,心から願っています。