スタッフ日記

相続まめ知識① ~相続放棄の思わぬ落とし穴(後編)

こんにちは。粒来です。

 

前回の続きです。

 

「亡くなった夫には自宅不動産とともに借金がある。不動産も借金も妻である自分が引き継ぐことにしたが,万一にも亡夫の借金のことでひとりっ子の息子には迷惑をかけたくない。そこで,遺産分割協議でなく,息子に相続放棄をしてもらうことにした。」

この場合に息子さんが相続放棄をすると,一体どうなるのか。

 

前回のブログで,相続放棄をすると,被相続人との関係で「最初からその人が存在しなかった」ことになると説明しました。
そうすると,今回,ひとりっ子の息子さんが相続放棄をすると,亡くなったご主人には「財産を相続すべきお子さんが,もともといなかった」ことになります。
つまり,今回の相続は「お子さんのいない夫婦」と同じ取り扱いになります。

 

法律上,お子さんがいる夫婦の場合,相続人の範囲は「配偶者と子」です。
では,お子さんがいない夫婦の場合,残った配偶者だけが相続人になるかというと,そうではありません。この場合,「被相続人の直系尊属(親など)」または「被相続人の兄弟姉妹」が,お子さんに代わり,繰り上がって相続人になるのです。

 

今回,被相続人の奥さんは,プラスもマイナスも,被相続人の財産も自分に集約させようと考えていました。しかし,そのために息子さんの相続放棄という選択をしてしまうと,相続財産を集約させるどころか,一般的に息子さんよりも関係の希薄な,ご主人の親御さんやご兄弟を,相続関係に巻き込むことになってしまうのです。

 

これで新たに相続人になった人達がみな元気で協力的であればまだ救いがありますが,折り合いが悪い方や認知症の方がいて,とても相続について話し合える状況ではなかったら,どうなってしまうでしょうか。

最悪の場合,不動産の名義変更はできず,債権者はご主人の親御さんやご兄弟相手に取り立てを始めるという,当初の思惑とは真逆の結果を招いてしまうことになります。

 

 

相続放棄を検討する際は,3か月という短い熟慮期間もあいまって,どうしても亡くなった方の財産や負債の状況ばかりに目が行きがちです。

しかし,財産ばかりに気を取られて相続関係の検討を怠ると,今回のような落とし穴にはまってしまうことがあるので,注意が必要です。

 

 

ということで,今回は相続放棄の注意点についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。

「生兵法はケガの元。やっぱり相続は司法書士に依頼しよう!」と思っていただけたのであれば,もうけもの幸いです。

 

早くも連載ものにすると宣言したことを後悔し始めていますが,次回以降もネタの続く限り,皆様のためになる相続まめ知識を提供していきたいと思います。

ぜひ,お楽しみにお待ちください!

 

玄人好みの「合同会社」

  2018/01/10    ブログ, 司法書士全般, 登記

あけましておめでとうございます。粒来です。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

最近,といっても昨年の話ですが,ご依頼をいただいて「合同会社」の設立登記を行いました。

会社=株式会社というイメージが強いので耳慣れない方もいらっしゃるかと思いますが,日本で「会社」と呼ばれるものは4つの形があり,合同会社もそのうちのひとつです。

平成18年の法律改正で新しくできた形なのですが,特に起業して間もない小規模な事業や,顧客や取引先との信頼関係が十分にある方が会社を設立する場合,株式会社よりもメリットが多いケースも多く,弊所でもご依頼が増えています。

 

株式会社と合同会社には,おもに次の違いがあります。

 

1.会社に対する発言力

株式会社は,「お金を出したら口も出す」を地で行く組織形態です。出資者(お金を出した人)は会社の株主として,出資金額に応じた発言力をもちます。

これに対して合同会社では,出資者(社員)の発言力は,会社独自のルールで自由に決めることができます。単純に社員の頭割りによる多数決にすることもできますし,出資の金額が少なくても実力のある特定の社員の発言力だけを高めることもできます。

 

2.業務執行(会社の運営)を誰がするか

株式会社は,多数の出資者から広くお金を集めて事業を行う前提で組織設計されているので,出資者(株主)自身ではなく,株主が多数決で選んだ取締役が会社を運営します。

一方,合同会社は,仲間内でお金を出し合って事業を行うという前提で組織設計されているため,原則として出資者(社員)がそのまま会社を運営します。

 

3.登記費用

これが地味に大きいところなのですが,会社設立にかかる登記費用は,株式会社の場合,実費だけで最低20万円はかかります。一方,合同会社では,必ずかかる実費は6万円程度です。

また,会社設立後も,株式会社では最長でも10年に1度,役員の変更登記を行う義務があり(メンバーに変更がなくても登記する必要がある),これを怠ると裁判所から罰金(過料)を課せられます。しかし,合同会社では社員に任期がないため,定期的な役員変更登記は不要です。

 

合同会社の弱点としては,一般の認知度やイメージで株式会社に劣ることが挙げられます。しかし,身近な例でいうと,スーパーマーケットの西友,インターネット通販のAmazonの日本法人や,弊所の司法書士 及川が愛してやまないアップル社(iPhoneの会社)の日本法人も合同会社です。あとは調べてびっくりしましたが,アイドルグループ「乃木坂46」の所属事務所も合同会社のようです。

 

我々現場の専門家がPRをしていくことで認知度やイメージが向上し,これから事業を行う方の選択肢を増やすことにつながれば,専門家冥利に尽きるというものです。

会社設立の際は,お気軽に司法書士までご相談ください!

 

ADRってご存知ですか?

  2017/04/20    ブログ, 司法書士全般, 研修会

こんにちは。粒来です。

 

今週の土曜日,札幌司法書士会のADRセンターの研修に参加してこようと思っています。

 

ADRというのは「裁判外紛争解決手続」の略で,法務省のHPでは

「民事上の紛争を,当事者と利害関係のない公正中立な第三者が,当事者双方の言い分をじっくり聴きながら,専門家としての知見を生かして,柔軟な和解解決を図るもの」と説明されています。

 

司法書士には,争いの目的となっているものの価格が140万円以下の民事上の紛争について,法律相談に応じたり当事者を代理したりする権限がありますが,そのような問題には,必ずしもゴリゴリの強硬手段(裁判手続)で解決を図るのがベストとはいえないものもあります。

 

裁判所は請求する権利の有無について判断してもらう場なので,必然的に,重要視されるのは請求を基礎づける事実(要件事実)があるかないかという点になります。当事者の感情的な対立や紛争の背景というのは,裁判においては余分な情報にすぎず,あまり大きく取り扱ってはもらえません。

 

しかし,裁判所に認めてもらった権利を実現できるかどうかは,権利を認めてもらうこととは別問題です。裁判で勝訴判決を得ても,その結果に相手が納得せず義務の履行を拒まれてしまうと,結局,当事者の希望が実現できずに手続きが終わってしまうこともあります。

これでは,紛争が「処理」されただけで,最終的な「解決」には至ったとはいえません。

 

そのため,当事者(特に請求の相手方)にいかに納得してもらうか,というのも,最終的な紛争の「解決」には大事なことになります。そのために裁判上はあまり重視されない,当事者の感情面にもスポットをあてて問題解決を図りましょう,というのがADR手続の理念です。たぶん。

 

たぶんと書いたのは,今回私が研修に参加する動機が,会のADRセンターの登録の更新期限が迫っており,登録更新のための単位が足りていないことだからです。

最後に研修を受けたのもだいぶ昔の話で,正直,機関設計や手続きの流れの細かいところは忘れてしまいました。

 

上記のとおり(おそらく)高尚な理念のもとに運営されているADR手続なので,いい加減なのは私だけ,みたいな状況で恥をかくことのないよう,せめて真面目に受講してこようと思っています。

 

依頼者との信頼関係

  2017/01/04    司法書士全般

こんにちは。椎名です。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

司法書士という仕事をして行く上で,一番大切なのは依頼者との信頼関係であると考えています。

 

そのために,私が心がけているのは,まず依頼者本人の話を良く聞くと言うことです。

相談を受けるときには,8割は依頼者の話を聞き,私が話すのは2割くらいという感じです。なにしろ,事実を一番よくわかっているのは依頼者本人なのだから,こちらがあまり話し過ぎては,聞ける話も聞けなくなってしまいます。

また,話の内容は正確に聞かなければなりません。

不明確な部分があれば,勝手にこうだろうと解釈したりせずに確認しなければなりません。

 

話を良く聞き事実を把握してから,依頼者の立場に立って考えます。

もし自分がその人の立場ならどう考えるだろうか,どう感じるだろうか,と出来るだけ想像力を働かせます。

 

相手の話を良く聞くことと,相手の立場に立って考えることが信頼関係を構築して行くための最初の一歩かと思います。

これは,何も司法書士業務に限ったことではないかもしれません。

 

その上で,業務を迅速に処理したり,進捗報告をしたり,約束を必ず守ることなどは,勿論大切です。

 

 

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正月は,網走に行ってきました。宿泊先のホテルでの餅つきです。