スタッフ日記

司法書士のお仕事紹介~商業登記編① 総論~

  2021/02/22    ブログ, 登記

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

今回からは,司法書士の取り扱う仕事のうち,「商業登記」の業務についてご紹介していきます。

 

簡易裁判所での訴訟業務について代理権が与えられて20年近くが経ちますが,依然として「司法書士=登記の専門家」というイメージが非常に強くあるように思います。

 

事実,取り扱う事件全体の件数をみても,司法書士の主戦場が圧倒的に登記業務であることは間違いないのですが,そこで一般の方がイメージされる登記業務とは,主に不動産についてのもの(自宅の新築,住宅ローンの借り換えや完済など)ではないでしょうか。

しかし実は,司法書士が取り扱う登記には,不動産登記だけでなく,商業登記というものもあります。

 

商業登記とは,ざっくりいうと会社や法人に関する登記です。

その会社が何を事業目的とするもので,どこにあり,誰が役員なのかなどは,すべて法務局に届け出て一般に公示する制度となっています。

(一度は名前を聞いたことのある有名な会社についても,法務局に行けば,誰でも登記されている情報を確認することができるようになっています。)

 

地獄の受験生時代のことはあまり思い出したくありませんが,司法書士の資格試験でも,実体法である会社法とあわせると,マークシートの択一問題が16問(70問中)+記述式試験が1問と,会社や商業登記についての問題は試験の多くのウェイトを占めており,それだけ司法書士制度上も,商業登記業務は重視されています。

 

商業登記が不動産登記と大きく違うのは,登記をすることが義務とされていることにあります。

不動産登記制度の目的は,「国民の権利の保全を図り,もって取引の安全と円滑に資すること」(不動産登記法第1条)とされています。

私人の権利保護が主な目的なので,登記による保護を受けるかどうかはある程度自由(自己責任)となっています。

 

一方で,商業登記制度の目的は,「商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資すること」(商業登記法第1条)なっており,主な目的は公益的なもの(会社などに対する世間一般の信用)となっています。

そこで,会社に関する登記をすることは当事者の義務とされており,後日別の記事で詳しく触れますが,登記をしないことに対し,過料(罰金みたいなもの)まで準備されています。

 

そんな商業登記制度について,今回から,何回か連載をしていきたいと思います。

 

今回の記事は制度に関する総論的な説明だったため,どうしても無味乾燥な内容になってしまいました。

しかし,次回からは,登記をしないことに対するペナルティ知って得する登録免許税の節約方法など,少しでも実践的で興味をもっていただける内容にしようと考えています。

 

どのような記事か,お楽しみにお待ちください。

 

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編⑧ 自己破産(その3)~

  2021/01/18    ブログ, 債務整理

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

今回は,前々回の記事 に引き続き,破産手続における裁判所のチェックポイントをご紹介します。

 

③返済が不可能になった理由や債務形成の経緯が,審査の対象になります。

贅沢品の購入や遊興費,ギャンブル,一攫千金を狙った株やFX取引などの浪費が原因の場合は,法律上,免責不許可事由とされています(破産法252条1項)。

また,生活費の穴埋めで借入金が増えた場合も,あまりにハイペースで借入をしたりしていると,借入当時,返済の見通しについてどう考えていたのかを問われることがあります。

 

④債務整理開始後に,どのように生活再建に取り組んでいるかも見られます。

債務形成の事情を問われるといっても,裁判所は過去の過ちに関しては,ある程度であれば寛容に取り扱ってくれます。

債務整理前に起こってしまっていることは後から変えようがなく,また,破産に至るほど大きな借金のある方だと,返済に追われて泣く泣くルール違反を犯してしまうことも往々にしてあるからです。

免責不許可事由があったとしても,債務整理後の対応が真摯であるなど見るべきところがあれば,裁判所の裁量で免責を受けられる余地が残されているのです(破産法252条2項)。

一方で,債務整理開始後の行動はシビアに審査されます。

債務整理の開始後もだらだらと債務形成の原因となったことを続けたり,破産を希望しながら,財産を隠したり裁判所に虚偽の説明をしたりと不誠実なことをやっていると,裁判所に反省の色なしと評価され,大変なことになります。

 

破産で免責を受けることができれば,借金はほぼすべて帳消しになるので,借り手にとって,これほど効果的な借金問題の解決方法はありません。

しかし,その絶大なメリットを享受するためには,当然ですが,それに値するような筋を貸し手や裁判所に対して通す必要があるということです。

 

いかがでしたでしょうか。

これまでの8回の債務整理の記事を通してお伝えしたかったのは,お金の問題は,なんとかなるということです。

もちろん,債務整理が貸し手の権利を制限する手続きである以上,借り手の都合や希望だけを優先して進めることはできません。しかし,借り手にそれまでの自分の生活を振り返り,債務の負担よりも優先度の低いものをそぎ落とす作業を行う意志があれば,借金の問題は,その状況に応じた解決の道が用意されています。

 

小難しい話もたくさんありましたが,ご相談内容に応じたアドバイスを行い,方針決定のお手伝いをするのは我々司法書士の仕事です。

債務の返済に困ったら,まずはお気軽に,弊事務所までご相談いただければと思います。

 

サンタさんと資本主義

  2020/12/03    ブログ

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

今回も自己破産の記事を書いて,年内で債務整理のお仕事紹介の連載を締めようと思っていましたが,時事ネタで印象深い出来事がありました。

時期的に今回が今年最後の記事になるかもしれないので,予定を変更します。

 

私事ですが,粒来家には子どもが3人います(6歳,4歳,1歳)。

しかも,何の因果か3人そろって12月生まれなので,クリスマス→お正月と,そうでなくてもお子様のお楽しみイベントが続く年末年始,我が家の子ども達には空前のバブルが訪れます。

(そして,もちろん親はその分不景気になります。)

 

それらのイベントの中で最もやっかいなのが,どこのご家庭もそうだと思いますが,サンタさんがプレゼントをくれるクリスマスです。

サンタさんは,どこからともなく子どもがほしがっているものを察知してピンポイントで届けてくれる至高の存在です。自前の工場でおもちゃを生産しているという説もあります。

したがって,サンタさんの辞書に「品薄・在庫切れ」の文字はありません(たぶん)。

 

そのため,例年この時期になると,可能な限り面倒くさいものを希望されないように巧みに子ども達を洗脳説得しているのですが,ついに今年,年貢の納め時がやってきてしまいました。

巣ごもりの影響もあって爆発的にヒットし,コラボ商品はことごとく即日完売,全国の子どもと転売ヤーを虜にした,「鬼滅の刃」です。

 

クリスマスシーズンが始まる前から嫌な予感はしていたのですが,やはりここに来て,聞いた瞬間に入手困難とわかるコラボおもちゃを希望し始めました。

しかも言い出したのが長男。もう6歳です。去年までなら謎のロジックで完封して事なきを得ることができたかもしれませんが,誰に似たのかもう言い出したら聞きません。

 

結果,ほしいならもっと早く言ってよと言いたい気持ちをぐっとこらえ,サンタは(今年はインターネット上を)奔走することになります。

 

しかし当然,どこのおもちゃ店にも商品はありません。

フリマサイトなどでは,定価の2倍近い金額で出品されていたりするのですが,そういうのはなんとなく買うのが憚られます。

 

そんななか,とある筋から,自宅から少し離れた住宅街にあるおもちゃ屋さんが穴場との情報を得たので,行ってみることにしました。

 

ナビを頼りに着いた先は,おもちゃの卸と小売りを営んでいる小さなお店です。

ショッピングモールに入った大資本のおもちゃ店とは違った慎ましいたたずまいで,しかもロケーションが,なんと刑務所の目の前です。

道路一本挟んで子どもの夢と大人の現実が対峙している様に,人生の無常を感じずにはいられません。

 

店主がレジ下の隠しボタンを押した途端におもちゃの棚がひっくり返って,瞬時に銃火器のラインナップに早変わりしたりしないだろうかと,失礼なことを考えながらお店の軒先をくぐると,ぱっと目につく場所に,なんと息子の欲しがっていたおもちゃが陳列してあります。

 

しかも驚きなのがその値段。定価よりも1割以上値引かれて販売されています。

ネットでは足下を見るような高値で取引されている商品です。定価で販売しても飛ぶように売れるのは明らかなのに,です。

 

お店には,店主と思われる年配のご夫婦と,ご夫婦の息子さんでしょうか(違ったらごめんなさい),私と同年輩の男性がいました。私の抱えているおもちゃを見るなり,「それ,どこに行ってもなかったでしょ。」とフレンドリーに話しかけてくれます。

 

お目当てのものを見つけた高揚感もあいまって,確かにどこにも在庫がなかったことや,クリスマスなので在庫切れの言い訳ができないことなどをとりとめもなく話してしまいましたが,お店の人は皆嬉しそうに聞いてくれます。

 

ああ,この人達は本当に子どもとおもちゃが好きでこの仕事をしているんだろうなと思いました。

(本物のサンタさんなんじゃないかと思った。)

 

コロナ禍の影響もあって,時代はEコマース全盛です。

それらは,指一本で買い物ができるすばらしい利便性がある一方で,売れ行きにより価格が自動的に変動するアルゴリズムを採用したり,買い占めや転売が横行するなど,やり方が極めて合理的かつ商業主義的で,そこに上記のおもちゃ屋さんのような,信念や矜恃が差し挟まる余地は少ないように思います。

 

それが資本主義だと言われればそのとおりなのですが,私は単純なので,目先の利潤よりも仕事に対する熱意を重んじた結果であろう,今回の出来事がとても心に響きました。

あらためて,人対人の仕事のなんたるかを教えてもらえた気がします。

 

そういうわけで,今後,我が家では子どもがおもちゃをほしがった時には,まずは必ずそのお店に連れて行こうと心に決めました。

 

本記事をご覧になっていただいた方で,ご興味のある方も,ぜひ一度,そのおもちゃ屋さん(下記)に足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

誓って言いますが,ステマではありません。笑

 

有限会社たけだ 札幌店

札幌市東区伏古3条5丁目4-22

 

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編⑦ 自己破産(その2)~

  2020/11/04    ブログ, 債務整理

こんにちは。司法書士の粒来です。

 

今回も 前回記事 に続いて,自己破産の手続きについてご紹介します。

 

自己破産をすると,一部の例外を除くすべての負債の返済義務がなくなります。

しかし,それは別にお金を貸した債権者が悪いことをしたために裁判所に懲らしめられるわけではありません。法律上問題なく主張できるはずの権利を,債務者からの申立により一方的に請求できなくされてしまうのです。

 

つまり自己破産は,債権者にほぼ全面的に泣いてもらい,その犠牲の上に債務者の経済的な再生を図る手続であるということができます。

 

したがって,破産を審査する裁判所も,債務者にばかり肩入れはできません。

申立書の内容などから,債権者の犠牲の上に債務者を保護するに足りる事情があるかどうかを審査する必要があります。

(その結果,内容に問題がなければ免責が許可されますが,問題が多い場合は,免責を不許可とされる(破産しても借金がなくならない)こともあります。)

 

具体的なポイントとしては,

①一定以上の財産をもっていると,破産の前提として配当(債権者への分配)の対象になります。

前回記事で,生活に必要な家財道具などは処分の対象とならないと説明しました。しかし,あまりに多くの財産を破産者に持たせたままで借金だけを帳消しにするのでは,債権者にとって不公平です。

そのため,債務者が一定の基準を超える財産を保有している場合は,免責を受ける前提として超過分の財産が換価され,債権者に分配されることになります。

②全ての債権者を,一律で手続きの対象とする必要があります。

破産により返済を受けられなくなってしまうのが原則であるにもかかわらず,一部の債権者だけが債務者から支払いを受け続けられるとなると,返済を受けられない債権者は到底納得ができません。そのため,借入の内容を問わず,すべての債務について返済をストップする必要があります。

債権者が消費者金融やクレジットカード会社だけの場合はそれほど問題になりませんが,債務整理をすると車を引き揚げられてしまう自動車ローンや,親族・知人からの借入がある場合でも,それらの債務だけを支払ってしまうことは許されません。

 

以上のポイントは,いずれもお金を貸した側の視点で考えると普通のことなのですが,債務者視点に偏っていると,どうしても単なる手続進行上の「不都合」として捉えてしまいがちになります。

依頼者(債務者)の方が,近視眼的に自分の有利になるように話を進めたくなるのはある意味当然だと思いますが,専門家として破産手続に関与する以上は,依頼者から一歩離れて手続全体を俯瞰し,どう進めるのが最も依頼者のメリットになるのか(裁判所の審査をスムーズに進め,依頼者が最終的に免責を勝ち取れるのか)を考える必要があります。

(結果,依頼者の方に冷たいと思われることもあるかも知れませんが,ひとえに依頼者のためです。)

 

我々司法書士の板挟みの事情と苦しい胸の内(言い過ぎました。)について,ご理解いただけたなら幸いです。

次回も,破産手続における裁判所のチェックポイントについてお話を進めていきます。

どのような記事か,お楽しみにお待ちください。( -`ω-)+ノシ

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編⑥ 自己破産(その1)~

  2020/10/02    ブログ

こんにちは。粒来です。

 

今回からは,債務整理の奥の手,自己破産の制度についてご紹介します。

 

自己破産と聞いて,本記事をお読みの方はどのような印象をお持ちでしょうか?

専門家として債務整理の相談を数多く受けていると,これまでご紹介した整理の方法のうち,世間のイメージと実体との間に最も差があると思うのが,自己破産の手続きです。

 

ありがちな誤解としては,

 

①保有するすべての財産を処分されてしまう

→ 確かに,一定以上の財産があれば,換価され,債権者に配当金として支払われることになります。

しかし,生活や教育に必要な家財道具・学習用品、当面の生活に必要な額の現金などは,法律上,破産しても保有を続けられるルールになっており,その結果,まったく財産を失わずに済む方も多くいらっしゃいます。

また,問題になるのはあくまで破産する方自身の財産のみで,他人の財産については,たとえ家族のものでも,原則として債権者から守られます。

 

②勤務先に,破産した事実が知られてしまう

→ 職場が債権者(給料の前借りをしているなど)でない限り、裁判所から勤務先に破産の事実が通知されることはありません。

破産は財産と負債の調整作業であり,そのどちらとも関係ない勤務先に連絡をしても意味がないからです。

 

③公民権がはく奪されてしまう

→ これもガセネタです。戸籍に破産の事実が記載されることはありませんし,選挙権もなくなりません。

保険外交員や警備員など,業法上,制限がかかる職業(資格)はありますが,それらはごく一部の職業で,かつ,そういった業法上の制限も裁判所が破産の手続に取りかかっている数ヶ月の間です。

 

といったものがあるでしょうか。

 

極端な話,破産をしたら人間失格,人生終了みたいなイメージを抱かれている方もいらっしゃるように思います。

しかし,当たり前ですが,国が法律で認めている制度に,そんな賭博黙示録カイジみたいな展開はありません。

 

破産は,あくまでリセット&リスタートの制度です。

 

破産をする方の中には,相談・依頼の直前にもなると,返済のために新たな借り入れをし、返済のために仕事をする状態になっている方が多くいらっしゃいます。

生活の中心が借金の返済になってしまい,せっかく働いて得たお金も,借入金の返済とギリギリの生活費ですべてなくなってしまいます。自分のお金なのに,使い途に選択の余地はありません。

そのような生活を続けることが,非常に精神的にこたえるものだというのは,想像に難くありません。

 

借金を帳消しにすることで,そのような過酷な状況から脱出してもらい,ふたたび建設的に人生を歩んでもらう契機を設けるというのが,破産の制度なのです。

 

いかがでしたでしょうか。

破産についてのネガティブなイメージを,少しは払拭できましたでしょうか?

 

今回の記事でアメをばらまいたところで,次回の記事では,そうはいっても手続上,債権者に通さなければならない筋の話など,少し厳しめの話(ムチ)をしたいと思います。

 

どのような記事か,お楽しみにお待ちください。( -`ω-)+ノシ

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編⑤ 個人再生(その3)~

  2020/08/27    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

本当は今回から自己破産の手続きのご紹介をしようと考えていましたが,人気ドラマの話題に乗っかってみます。

 

TVドラマの「半沢直樹」が大人気ですね。

物語の後半では,銀行に属する主人公が,経営再建をもくろむ航空会社を巡って,政府とバチバチやりあう様が描かれるようです。

 

そこで描かれているのは,(当事務所が日ごろ取り扱っている個人消費者の事案とは,スケールの大きさや複雑さにおいて天地ほどの差がありますが)いってみれば「企業の債務整理」です。

 

そのドラマの中で,政府側の急先鋒,筒井道隆さん演じる乃原弁護士が,非常に憎たらしいと評判のようです。

劇中,債権者に悪態をついたり机を蹴っ飛ばしたりするなど,非常に横柄な人物として描かれている同氏のセリフに,次のようなものがありました。

 

「銀行には一律7割の債権カットをお願いすることにしました。」

「返答のタイミングは、こちらから連絡します。」

 

なんと,債務者である企業から,本来お金を返さなければならない債権者に対し,一方的に債権の減額を要求し,あまつさえ自由な反論も許さないという姿勢。なんという傍若無人ぶり。

ドラマはもちろん,主人公の属する銀行(債権者)視点で進んでいくので,この弁護士の主張はいかにも不条理に映ります。

 

しかし実は,前回までの記事でご紹介した個人再生の手続きにおいては,上記と似たような債務者本位の取り扱いが,ごくごく普通になされています。

 

再生手続において,債権者は原則として一律平等に債権カットを命じられます(民事再生法231条)。そして,債権者が意見を述べる機会は,債権の金額を届け出る場面(同法94条,225条)と,債権カット等についての最終決議の場面(同法230条)の通常2回くらいしかありません。

(当事務所で依頼者の方がよく利用される,小規模個人再生の場合)

 

ドラマではこれから,安易に負債のカットを推し進めようとする乃原弁護士と,よりよい再建案を模索する半沢次長の対決が見られるのでしょう。

私は日ごろ債務者側でしか仕事をすることがないので,反対の債権者側からの視点や,上記の乃原弁護士の執務姿勢には,少し考えさせられるところがありました。

(当たり前ですが,私は机を蹴ったりしません。悪態はたまにつきますが。)

 

借金の負担を減らすのはあくまで手段であり,大事なのは,依頼者に今後,借金に頼らない安定した生活を営んでいってもらうことです。

 

そのためには,これから半沢次長が大ナタを振るうであろう,企業体質の改善(個人の債務整理でいえば,家計収支をはじめとした生活状況の改善といったところでしょうか。)を行うことも,債務の減額と同じくらい重要です。

 

債権者側から債務整理を描いたこのドラマは,私の隣で,思うさま劇中の弁護士への悪口を言っていた妻とは,たぶん違った意味で楽しめました。

 

ただ,あんたの亭主も実はこの弁護士と似たようなことをやってんだぞ,とはついぞ言い出せませんでしたが。。。

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編④ 個人再生(その2)~

  2020/08/11    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

今回の記事では,前回の記事に続き,個人再生の手続きをご紹介します。

今回は,手続きを進めるための主な条件について説明します。

専門的で地味な話になりますが,ご了承ください。

 

【条件1】破産手続開始の原因となる事実の生ずる恐れがあること

 

まず,任意整理(債務額はそのままで分割方法だけを緩和する)での解決が難しいことが必要です。

個人再生では,裁判所が債権者の請求権を半強制的にカットすることになります。

そのため,権利を制限される債権者とのバランス調整のため,任意整理で普通に支払っていける余裕のある人は,個人再生ではなく任意整理を選択することになります。

任意整理の予算(月額)の目安額は,債務総額÷60です。

毎月返済に充てられる金額が上記の目安額を下回る場合はもちろん条件を満たしますが,それだけでなく,たとえば債権者の中に長期の分割払いに協力しない会社がおり,そのせいで予算オーバーになってしまったような場合にも,同様に任意整理での解決は不可能なので,個人再生で進める条件を満たすことになります。

 

また,収支だけでなく,保有する財産の額があまりに多額でないことも必要です。

特に気をつけなければならないのが住宅です。ローンの残債務額が住宅の価値を上回る「オーバーローン」の状態であれば,住宅の資産価値は事実上ゼロなので問題はないのですが,ローンが完済間近の場合や途中で繰り上げ返済をしている場合,ローン残を差し引いても住宅の価値が残る方がいらっしゃいます。

その場合,住宅の評価額とローン残の差額がそのままご本人の財産となるので,注意が必要です。

 

【条件2】継続して又は反復して収入を得る見込みがあること

 

個人再生は,債務が免除されて終わりの破産とは異なり,減額後の債務を分割で支払っていくことが必要です。

そのため,確実に分割払いを行っていけるかどうかという点にも,裁判所の審査が及びます。

 

その点,まずポイントになるのが,現勤務先の勤続年数と雇用形態です。

だいたい勤続5年以上で正社員であれば,会社の経営状態が危ない等の事情がない限り,裁判所に安心してもらえます。

ただ,必ずその条件を満たさなければダメというものではありません。

必要なのは3~5年の期間,毎月決められた額の返済を続けていけることを理屈で説明することです。

したがって,たとえば季節や時期によって繁閑のある仕事であれば,月次だと不安定でも年間通して見れば収支が安定していると説明したり,一般的にみれば不安定な業態・勤務形態だったとしても,過去の実績や,同条件で勤務する同僚の状況から,この先も収入が安定しているであろうことを説明したりします。

そうすることで,非正規雇用や収入に波がある自営業でも,裁判所に個人再生を認めてもらえる可能性が高まります。

 

いかがでしたでしょうか。

分割払いの予算確保のさえできればよい任意整理と,返済がまったくできない場合に行う破産の手続きは,いずれも対象となる方のイメージがしやすいのですが,中間に位置する個人再生は,具体的にどのような方が対象となるのかも,他の2つと比べて分かりにくい印象があります。

また,今回触れた条件以外にも,個人再生を進めるために満たさなければならない条件が数多くあります。

したがって,個人再生で進められるかどうかは,まずは当事務所にご相談ください。

 

次回は,債務整理の最後の切り札,自己破産についてご紹介します。

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編③ 個人再生(その1)~

  2020/07/01    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

前回の記事 では,債務整理のうち,債権者と交渉して支払条件を有利にする,「任意整理」の手続きをご紹介しました。

 

今回は,任意整理では対処しきれない多額の負債がある場合に,裁判所の審査を経て法律の力で債務整理を行う「法的整理」のうち,住宅ローン支払い中の多重債務者の方にとって起死回生の一手となりうる「個人再生」をご紹介します

 

個人再生は,前回紹介した任意整理と,自己破産(まったく支払不能なので,債務を全額免除してもらう)の中間に位置する手続きです。

つまり,そのままの金額では払えないが,債務を一部免除してもらえれば継続的に支払っていける,という人のための整理方法です。

 

具体的には,対象となる負債の総額が500万円以下の場合,最大100万円まで債務を減額してもらうことができ,そのうえで,減額後の債務を原則3年間の分割で支払っていくことになります。

結果,上記の場合は,毎月の返済の予算を約3万円まで抑えることができます。

 

この個人再生の手続きの最大のメリットは,住宅ローンは手続きから除外し,それ以外の債務だけを整理の対象にできることです。

本来は,「債権者平等の原則」により,住宅ローンも他の債権者と同列に,整理の対象にしなければなりません。しかし,そうすると,住宅ローンの返済が滞るため,担保に取られている自宅を金融機関に処分されてしまいます。

 

しかし,個人再生は住宅ローンを手続きから除外できるので,住宅ローンだけは約束どおり支払いを継続し(=自宅を処分されることなく),他の債務だけを減額できます

そのため,住宅ローンの返済に窮し,他社からも借入をしているうちに債務総額が多額になってしまった方などは,特に利用する価値のある手続きとなっています。

 

なお,自己破産との比較でいうと,破産の場合,欠格や登録取消をしなければならなくなる(=仕事を続けられなくなる)資格が数多くありますが,個人再生の場合,そのような制限はありません。

(具体的には,保険外交員警備員などがそれにあたります。また司法書士弁護士もそうです。したがって,数日前に,破産したとニュースになった弁護士法人については,お察しください。

 

前回記事の事例の椎名さん(債務総額400万円,弁済原資月額4万円。司法書士)の場合も,個人再生を利用すれば,毎月の返済を予算の範囲内に抑えることができ,また,司法書士の資格を喪失することもありません。

まさにいいことずくめ。

 

では,この個人再生を利用するための要件は,ということになりますが,これについては,作文が長くなったので,次回の記事でご紹介したいと思います。

 

次回も,お楽しみにお待ちください。

 

司法書士のお仕事紹介~債務整理編② 任意整理~

  2020/05/28    ブログ, 債務整理

こんにちは。粒来です。

 

突然ですが,問題です。

 

【問題】

椎名さんは,不足した生活費を消費者金融やクレジットカードの借入(年利15%)で填補しているうち,債務総額が400万円まで増えてしまいました。

椎名さんの返済の予算は,毎月4万円です。

椎名さんがこの借金を完済するには,いったい何年かかるでしょうか。

※ この事例はフィクションであり,実際の人物などとは関係がありません。

 

「400万円÷4万円=100回(8年4か月)」と答えたあなたは,すぐにクレジットカード(特にリボ払い)の利用をやめてください。

正解は,「永遠に完済できない」です。

 

借入金に限らず,利息のつく取引で分割弁済を行う場合,ほぼすべてのケースにおいて,支払ったお金はまず元金ではなく,利息や損害金に充当されます。

400万円を年利15%で借り入れた場合,1年で発生する利息は

400万円×15%=60万円

なので,1か月分の利息は,その12分の1(5万円)です。

毎月4万円を返済しても利息分の返済にも満たないので,上記のケースでは,どれだけ払っても借入金は減らず,逆に毎月1万円ずつ借金が増えていくことになります。

 

この八方ふさがりの状況を打開するのが,任意整理といわれる債務整理の方法です。

債権者と交渉して,将来発生する利息(上記の「年利15%」の部分)をカットしてもらい,返済したお金でダイレクトに借入金の元金を減らしていけるようにします。

毎月支払ったお金が借入元金に充当されれば,返済するたびに確実に借入金が減っていくので,完済するまでの見通しを非常に立てやすくなります。

 

他の債務整理の方法と比べた任意整理のメリットは,個別の借入先について,それぞれ整理するかどうかを選択できることです。

債務整理などで複数債権者の調整が必要な場合,すべて債権者を平等に扱うのが基本となりますが(いわゆる「債権者平等の原則」),任意整理はあくまで個別交渉なので,債権者の了承さえ得られれば,そこまで厳密な利害調整は求められません。

 

そのため,住宅ローンはもちろん,自動車ローンなど,債務整理をすると担保物件が引き揚げられてしまうものは介入を避け,それ以外の借金だけを整理する必要があるケースなどでは,任意整理は非常に有効です。

 

ただし,お金を借りる時の契約で,「借入金には利息が付く」「返済が遅れた場合は一括請求の対象になる」と約束してしまっている以上,たとえ司法書士が介入したとしても,その約束を一方的に反故にはできません。こちらの要望にどこまで耳を傾けてもらえるかは,最終的には債権者(借入先)次第となります。

資金に余裕がある大きな会社ほど,こちらの窮状をふまえた大きな譲歩をしてもらえる傾向はあるのですが,必ずそうというわけではなく,テレビCMに竹中有名俳優を起用しているような会社でも,驚くくらい和解の条件が渋いところもあります。

 

債務整理に協力的な債権者の場合は「将来の利息を全額カットし,5年分割まで返済を猶予する」といったところまで譲歩してもらえることが多いため,任意整理ができるかどうかは,毎月の返済の予算として,債務総額を60回(5年)で割った金額を準備できるかがひとつの目安となります。

 

これが,任意整理の手続きです。

だいたいの流れについて,ご理解いただけましたでしょうか。

 

 

ここで,「ん?ちょっと待てよ。」と思った皆さんは勘が鋭い。

 

冒頭の事例で,椎名さんの借入総額は400万円,返済の予算は月額4万円です。

任意整理を行う場合,毎月の返済に必要になると思われる金額は

400万円÷60=約6万7000円

なので,任意整理では完全に予算オーバーです。

 

このような場合,椎名さんは債務整理ができず,経営する司法書士事務所をたたんで夜逃げをするしかなくなってしまうのでしょうか。

※ この事例はフィクションであり,実際の人物などとは関係がありません。

 

 

そんなことはありません。任意整理以外にも,債務整理の選択肢はまだあります。

 

ということで,次回は,予算オーバーで任意整理で進めることが難しい方,特に住宅ローンが残った自宅を守りながら債務整理を進めたい方に非常に有効「個人再生」の手続きをご紹介します。

 

 

椎名所長,失礼をお詫び申し上げますm(_ _)m

 

 

遺言が今後より一層,あなたにとって必要な備えになります。

  2020/05/16    ブログ

司法書士の及川です。

 

今回の新型コロナウイルスの影響により,司法書士業務との関係において,主に高齢者の方々との面会が難しくなっており,迅速に法的サービスを提供できない事態に直面しております。

 

特に遺言作成の現場では,既に本人に遺したい言葉の内容を詳細に表現する体力がない場合も見受けられ,時間的に切迫しているケースも少なくありません。「後で落ち着いてから考えよう」では手遅れとなってしまうこともあるのが法律の世界。やはり,事前に対策をしておくことが何より大切だな,と改めて感じております。

 

あなたが本当に司法書士を必要としたときは,果たしてどうなっているでしょうか。

 

というより,あなたの人生が現在どのような局面にあろうとも,遺言を予め準備しておくことは,常に重要なことです。近時,国を挙げて遺言の利用の促進を図る方向での改正や新たな制度の創設がされていることも,予め遺言を作成しておくことが如何に重要であるかを示しています。

 

① 自筆証書遺言の方式要件が緩和されました。
これまでの自筆証書遺言は,遺言書の全文,日付及び氏名を自書(自ら書くことをいいます。)して,これに印を押さなければ,有効な遺言とはなりませんでした。
これが法改正により,平成31年1月13日以降は,自筆証書によって遺言をする場合でも,例外的に,自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録を添付するときは,その目録については自書しなくてもよいことになりました。

 

② 自筆証書遺言の保管制度が始まります。
自筆証書遺言の問題点として,せっかく遺言を作成しても,保管方法によっては遺言を見つけてもらえなかったり,破棄・隠匿されるかもしれないなどの心配がありました。
そこで,令和2年7月10日から,法務局において自筆証書遺言書を保管する制度が始まることになりました。

 

今回の機会に是非,遺言の作成をご検討してみてください。

 

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